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2年ぶりの極論。『極論で語る麻酔科』の刊行を前に…。

こんにちは。

いち編集部のリアルです。

さて、3回に分けて、香坂先生のお話。龍華先生のお話。森田先生のお話をさせていただきました。極論で語る麻酔科』(森田泰央著、 香坂 俊監修、 龍華朱音イラスト),いよいよ刊行です。最終回は,本編の「監修者・まえがき」「目次」や一部内容を紹介します。

監修者・まえがき

 

 森田先生は「熱血」だ。

 初めて会ったのは、まだ森田先生が学生の頃だったと記憶している(ニューヨークの自分の勤務先の病院に見学にみえたとか、そんな感じだった) 。そして、そこからじつに20年が経っているわけだが、今でも氏が「熱血漢」であるという印象は変わっていない。

 森田先生は卒業後に地域医療を志し、 日本で救急医療と集中治療の現場を経て、その後(何かを感じたのか) 麻酔科を生涯の専門科として選び、 米国へと渡った。そして、 米国の麻酔専門医となったのが2018年のことである(麻酔の中での専門は心朦麻酔)。その間に立場は入れ替わり、 自分が日本にいて、 森田先生が米国で診療を行っているという状況になったが、 時折連絡をいただく際も、 氏の発する総熱量には全く変化がみられなかった。

 【極論で語る】シリーズを執筆する、 という話が持ち上がったのは2016年春<らいではなかったかと思う。 森田先生のキャリアがちょうど日本と米国で半分ずつくらいとなった時分であり、そんな立場でどのように極論を展開していくか、非常に話が盛り上がったことを覚えている( このシリーズには決まったテンプレートはなく、その執箪者次第でさまざまなカラーの書籍ができあがる)。

 そして初稿があがってきたのは2018年5月である。
 その筆致は驚くべきことに、

冷静沈着

という言葉が、びったりと来るものであった。

 おそらくは麻酔科というスペシャリティがそのようなカラーを森田先生に身に纏わせたのではないかと推測するのだが本書の内容は総じて「情熱に任せて突き進む」というよりは「謙虚に限界を知る」「ミスをしないように一歩一歩進む」「それでも困ったときは基本に立ち返る」というスタンスに貫かれている。バッションを維持しながら、その陰でこれだけのパランス感覚を身に付けたことに、まずは驚き、そして畏敬の念を覚えた。

 本書にも書かれている通り、麻酔科には他の「治療」を専門とする医師とは異なった独特のスタンスがあるように思う。 森田先生はその麻酔科ならではの考え方を場面ごとに切り出し、そこに解説を加えるという形式でそのロジックを紐解いてくれている(本シリーズの中ではおそらく最も現場色の強い内容となったのではないかと思う) 。内容についてはその後2年にわたってさまざま議論を重ねてきたが( 関係者の皆さま、 本当にありがとうございました)、 この内容、 この順番、そしてこのフォーマットが森田イズムを最も休現してくれているのではないかと思う。

 臨床麻酔の深いところは、おそらく長い年月をかけなければ到達できないものであり、 自分も含め門外漢の人間には見えにくいものかと思うが、 本書はその貴重なスナップショットを提示してくれている。 麻酔に関連する多くの方々に本書の内容が役に立つことを祈願し、 まえがきの筆を置かせていただく。

2020年6月吉日

監修者 香坂 俊

目 次

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本編の一部

76-77ページ

106-107ページ

112-113ページ


毎年多くの研修医や医学生、専門医、他科の専門医の方に愛読され、読み継がれていく「極論」。本シリーズに携わるすべての方に感謝を申し上げて、極論で語る麻酔科デビューの寿ぎの言葉とさせていただきます。


極論で語る麻酔科   書影

ご清聴(読)ありがとうございました。

2020.7.31

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