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ちゅらごんのテーマ(歌詞)

ロロを探してあちこち行くよ
海底を歩き
ビルを引っかけ

丘の上のコンビニで
ロロは待ってるよ
きっと待ってるよ

僕が困ったときロロが助けてくれる
みんなの前で守ってくれる
ロロは僕の王様だね
ポリスも戦車も説き伏せてくれる

ちがうわ ちゅらごん
大切なのはわかりあうこと
話し合うこと
そして少しの勇気をもつこと

ロロ~ ロロ~

ロロを探して遠くまで来たよ
裸の王様の話を信じて
みんな僕のこと
怪獣なんて思わない
2歳のこどもだから

僕が困ったときロロが助けてくれる
みんなの前で守ってくれる
ロロは僕の王様だね
ポリスも戦車も説き伏せてくれる

ちがうわ ちゅらごん
大切なのはわかりあうこと
話し合うこと
そして少しの勇気をもつこと

ロロ~

【ちゅらごんのテーマの解説】

 『ちゅらごんのおつかい』という絵本をつくるために、野旗けやきが今、絵を描いています。来年のコンペで優勝する予定です。これも「壮大な計画」「緻密な空想」ではありますが。なにしろ、まだできている絵はこの上にある一枚だけで、相方の野旗けやきは今、あと16枚のために構図やタッチの習作に励んでいるみたいだから。

 私の方は、もうお話を書いて、イメージ写真つきのストーリーボードを野旗けやきに渡したのでやることがない。せいぜいLINEで励ましのメッセージを送るくらい。あと、北野天満宮に大願成就のお参りに行くくらいかな。

 それでは、野旗けやきに悪いので、私はもう少し先のことをすることにしました。この絵本が入賞すると、その一年後に絵本ができるでしょう。やがて店頭に並ぶ。するとそれを読んで、マンガにしたいという人が現れることになります。「まあ、いいよ」と野旗けやきと私は許可します。すると、アニメ化したいっていう人が出てくる、きっと。じゃあ、テレビと映画でやりますか、ってことになる。そのときに「主題歌はどんなのがいいですか? 誰か作詞家や作曲家の要望はありますか?」と来る。

 そのときに、「いや、歌詞と曲はこれで」ってこの「ちゅらごんのテーマ」を差し出すのです。この歌詞を読み、曲を聴くと、大ヒット間違いなしとプロデューサーは感激することでしょう。どうしてか? 歌詞も曲も素晴らしすぎるからです。歌詞はこれを読めばわかるでしょう。曲はお聴かせできないのが申し訳ないけど、最初のリズム、イントロ、これだけでもうチビッコは夢中になります(チビッコってまだ死語じゃないよね)。自分で言うのもなんだけど、これって谷川俊太郎の「鉄腕アトム」の主題歌を超えていますよね。♫そらをこ~え~て~、ラララ、ほ~しのか~~なた、って、あれ。♫ゆくぞ~、アトム~、って平凡な歌詞。♫じゅうま~ん、ばりき~だ、てつわんアト~ム、って、なんの教訓もない歌。

 それに比べ、この「ちゅらごんのテーマ」はどうですか?

♫ロロを探してあちこち行くよ
海底を歩き
ビルを引っかけ

 「海底(かいてい)を歩き」っていいでしょ。「海の底(そこ)歩き」のほうがいいか今もまだ迷っているんだけど。チビッコが「かいてい」って何?って思う疑問と、知ったときの驚き! こっちを採用したい。海底ってここで初めてチビッコは覚えるんです。そのあとずっと海底ときくとちゅらごんを思い出す。そういえば、鉄腕アトムにも「十万馬力」とか「科学の子」って言葉が出てきますよね。科学の子か。やっぱ、谷川俊太郎って天才だなあ。科学の子。鉄腕アトムを一言で表現しちゃってますよね。♫こころやさし、ラララ、科学の子。いつしか科学=アトムってイメージが日本国民に出来上がった。ちゅらごん=海底、じゃまだまだだな。何がまだまだかはわかりませんが。

 「ビルを引っかけ」ってのもいいですよね。ふつうは「ビルを壊し」とか書くんです、平凡な作詞家は。一応詩人である私はここを「ビルを引っかけ」と、あっ、知らず知らず引っかけて壊しちゃった、ごめんなさい、っていうちゅらごんの心の動きまで表現しています。やはり谷川俊太郎に続く天才は違います。

♫裸の王様の話を信じて
みんな僕のこと
怪獣なんて思わない
2歳のこどもだから

僕が困ったときロロが助けてくれる
みんなの前で守ってくれる
ロロは僕の王様だね
ポリスも戦車も説き伏せてくれる

 これは、絵本に出てくる絵のイメージが浮かんでくる感じです。「はだかの王様」の絵本じゃ、みんなは王様がはだかなのに服を着ているていで応じてくれている。ちゅらごんも怪獣みたいじゃなく、2歳のこどもって応じてくれるはず。でも、警察のパトカーや消防車、軍隊の戦車までちゅらごんのまわりに集まってくる。「あれ、みんな『はだかの王様』読んでないのかな?」とちゅらごん。

 そこへロロがやってきて、パトカーや戦車をちゅらごんの前で遮る。

 どうです? 情景が浮かぶでしょ。

 そこで「警察や軍隊」って言葉じゃなく「ポリスや戦車」って音を曲に乗せるところが好木陣太呂の技なのです。「けいさつやぐんたい」って響きから連想するイメージと「ぽりすやせんしゃ」って響きから連想するイメージって違うでしょ。チビッコはここでもポリスや戦車を初めて覚えることになります。

 それから極めつけはここのフレーズ。

♫ちがうわ ちゅらごん
大切なのはわかりあうこと
話し合うこと
そして少しの勇気をもつこと

 お母さんがチビッコに教えたい教訓がここに詰まっています。

 話し合うことと少しの勇気。これは夫婦間でも言えるかもしれません。ということで家族みんなでちゅらごんを応援したいアニメになります。

 毎週土曜の夕方に「ちゅらごん」が始まるのをテレビの前でチビッコたちはウキウキしながら待つことになります。そう、「鬼滅の刃」状態です!

 この曲のイントロが始まると各家庭は興奮の渦! みんな歌い出すのです。♫海底をあるき、ビルをひっかけ~ と。毎週、夢の30分の世界が広がります。

 えっ? 「ちゅらごんのおつかい」だけで連続アニメになるのか? という疑問ですか。そう、その通り。絵本「ちゅらごんのおつかい」は南の島から都会のコンビニへおつかいに行くちゅらごんのお話しです。しかし、これはマンガ化されるときに、毎回、あらたなストーリーができるのです。

 例えば、「ちゅらごんのお昼寝」「ちゅらごんのかけっこ」というちゅらごんの動作ものから、「ちゅらごんの長靴」「ちゅらごんのエプロン」というちゅらごんとモノとの格闘、「ちゅらごんと天国」「ちゅらごんとぱっすん」というファンタジーものまで、毎回ウキウキわくわくの連続なのです。ぱっすんは好木陣太呂の詩にでてくる河童のことです。ゲスト出演ってことですね。誰も知らないとは思いますが。

 まあ詳細はそのときになって考えます。たぶん一時間もあれば一回分のアイデアとストーリーボードはできちゃうと思います。今は忙しいのでやらないけどね。

 でも、皆さんがこの曲を聴くことになるのは、「ちゅらごん」がテレビ化されるときか、じんたろバンドがデビューしたあとですね。いや、どっかのライブハウスで聴けるかも。そのときはまだ、じんたろ兄弟バンドっていうギターとベースだけのちゃちなバンドかもしれませんが。マンガ化もされていないので、だれも「ちゅらごん」のことは知らないとは思いますが。兄と私は、頭のおかしな兄弟として「ちゅらごんのテーマ」を歌うのです。みんなに少しの勇気を与えるために。

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