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80年代にリリースされたシティポップス・アルバムにモヤモヤする

はじめに

 70年代から80年代の日本のちょっとオシャレ感のある曲が、ジャパニーズ・シティポップスとして再評価されているが、80年代にリリースされたシティポップス・アルバムは意外な内容だった。今回はその話をしよう。


1.古いカセット・ミュージックテープを発掘したら

 段ボール箱を開けたら、古いカセットテープが十数本でてきた。それは80年代のミュージックテープのような。そのなかの1本が気になった。

 そのタイトルは「シティ・ポップス・スペシャル」
(CBS SONY 26KP 1091)

 ここ数年、70年代から80年代の日本発のポピュラー曲が、ジャパニーズ・シティポップスとして再評価されている。そのトレンドは海外で高まり、来日した外国人観光客の中には中古レコード店でシティポップスのレコードを探すのを楽しみにしている人もいるそうだ。

 もともと「シティ・ポップス」という言葉は、日本では70年代から音楽雑誌などに登場していたそうで、80年代にシティポップスのアルバムがあっても不思議はない。気になるのはその中身だ、どんな曲が収録されているのだろうか。

2.80年代シティポップス・スペシャルの収録曲

 今回みつけたシティポップス・スペシャルは、アップタウン・ガール(ビリージョエル)、カサブランカ(バーディヒギンズ)、オールウェイズ・オン・マイ・マインド(ウィリーネルソン)ではじまる。

 さらに加えて、ロンリー・フリーウェイ(ラリーリー)、ユア・オンリー・ロンリー(J.D.サウザー)、シークレット・ラブ(デニースウィリアムス)、風のララバイ(アルバートハモンド)、涙に染めて(カーラボノフ)などが収録されている。

 いずれも80年代にヒットしたアメリカ発のメロディも歌声も心地よいボーカル曲を集めたコンピレーションアルバムのようだ。80年代風にいえばAORとかソフトロックだろうか?いずれにしろ、これはアメリカのポップスアルバム。

3.80年代シティポップスの日本語曲名が面白い

 それにしても80年代の日本語曲名は面白い。たとえばラリーリーの「ロンリーフリーウェイ」はいかにも原題をカタカナ化したようにみえて、じつは原題はDon't Talkだ。アルバートハモンドの「風のララバイ」の原題はYour world and my world、カーラボノフの「涙に染めて」の原題はTrouble againと、いずれも日本語曲名は原題とはすぐに結びつかない。

 あらためて日本語曲名だけをみると、ロンリー、ララバイ、涙など情緒的な言葉を一つつけ足すのが定番のような。そういえばバーディヒギンズの「カサブランカ」も郷ひろみバージョンは「哀愁のカサブランカ」だった。

4.まとめ

 今回発掘したカセットテープについて調べたら、これはアメリカン・ホットライン・シリーズの中の一つで、これ以外にロック・スペシャルやディスコ・スペシャルなどがあったことが分かった。

 つまりこのシティ・ポップス・スペシャルは、アメリカのヒット音楽からオシャレなポップス曲を紹介する企画で、いわばアメリカン・シティ・ポップス・アルバムだったのだ。

 日本語曲名もそうだが、このアルバムはツッコミどころが多いような。たとえばウィリーネルソンはスタンダードソングも歌っているが、そのルーツはカントリー。それをシティポップスのアルバムに入れてしまうのはちょっとモヤモヤしないだろうか。

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