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コンパクト盤があることを忘れていました

はじめに

 17㎝(7インチ)径のレコードといえばシングル盤とEP盤の二つが思い浮かぶが、じつは第三のレコードがあった。それはコンパクト盤と呼ばれていたが、いまは話題になることが少なく、忘れ去られたような。今回は、コンパクト盤とは何かの話をしよう。


1.コンパクト盤とは

 コンパクト盤は、シングル盤やEP盤と同じ17㎝(7インチ)径だが、回転数はLPと同じ33。真ん中の穴もLPと同じサイズで(つまりドーナツ盤はない)、まるでミニサイズLPのようなもの。

 内容はベストアルバムのようなものが多く、片面2曲、両面4曲を収録。ジャケットデザインを統一してシリーズ化したものが多く、シングル盤・EP盤と一味違った存在感があった。

 なおコンパクト盤という名は、レコード業界の共通用語ではないらしい。レコード各社は○○コンパクトとかコンパクト○○のように表記していたが、レコード店はこれらをまとめてコンパクト盤と呼んでいた。

2.コンパクト盤の実物

1)東芝音工の「ポピュラー・ゴールデン・コンパクト・シリーズ」

 ピーター・ポール&マリー(PPM)のアルバムは、ジャケット上部に「ポピュラー・ゴールデン・コンパクト・シリーズ」と大きな文字で表示されている。ジャケットは見開き型、レコードラベルにCOMPACTの文字。片面2曲、両面4曲を収録。レコード盤は東芝の赤いエバークリーン。

2)東芝音工の「コンパクト7」

 ルイ・アームストロングのコンパクト盤のジャケットは、紙製スリーブ、左上にコンパクト7の表示、レコードラベルにもCOMPACTの文字。片面2曲、両面4曲を収録。レコード盤は東芝の赤いエバークリーン。

3)CBSソニーのコンパクト盤

 サイモンとガーファンクルのコンパクト盤のジャケットは、紙製スリーブ。ジャケットにもレコードラベルにもコンパクトの表示はないが、付録する歌詞カード裏面の最上部に「ポピュラー・コンパクト・シリーズ」の文字がある。片面2曲、両面4曲を収録。

3.まとめ

 まずは前回のEP盤の話をアップデートすると、17㎝(7インチ)径のレコードは以下の三種類に分けられる。

  1.  シングル盤(45回転)

  2.  EP盤(45回転)

  3.  コンパクト盤(33回転)

 リスナー目線でみれば、コンパクト盤は手軽なミニベストアルバムのようなものが多く、興味をもった演奏者や歌手の作品を知るのに便利だった。ジャケットの造りもLPに似てしっかりして好ましかった。

 しかしシングル盤やEP盤と混ぜて置かれると、プレーヤーの回転数設定間違いを引き起こしがちだったような。かつてラジオ深夜放送でも、そのようなことが起きて、プロでも間違えるのかと驚いたことがあった。

 

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