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「海のシンバル」あとがき
はじめまして。久々原仁介と申します。
この度は、note創作大賞2024の数ある作品の中から「海のシンバル」を読んで頂き、心より感謝申し上げます。僕のような、物書きとして未熟な者の作品を読んでいただきましたこと、感謝の念が尽きません。
僕は、あまり人と話すのが得意ではありません。
初めましてのアナタに、こんなことを言うのはおかしなことかもしれません。
それでも僕は、あなたに伝えなければならないんです。ここまで読んでくれたアナタを、僕は知らない。ともすれば、それは不誠実なことかもしれない。しかし、ここで伝えなければならないと、心がつよく叫んでいるんです。
だから僕は書かなければならないと思うのです。
東日本大震災から13年の月日が経ちました。
『あの日』からずっと、僕の震災は続いているように思います。
テレビの前で立ち尽くすことしかできなかった自身の幼さや、消えゆく命に報いることのできない無力さを、未だに僕は赦すことができません。
学校で行われる数分程度の黙祷で救われるものなど何もなかった。たかが数日で、日常に戻ることを強要されることが苦しかった。
他人のような僕らが投げかける「がんばれ」の声が、どれほど残酷だったことだろうか。
僕らが「瓦礫」と呼ぶ残骸が、誰かにとっての思い出だったんだと、知ってほしかった。
あの日、向き合うことができなかった15000人を超える命を、誰にも忘れて欲しくなかった。
それはもしかすると、エゴなのかもしれない。傲慢なのかもしれない。僕の思いは、誰かにとってのナイフかもしれない。
それでも、僕は書くことしかできない。
この矛盾を抱えて、ひたすら祈るように書いてきました。僕が書いたのは、ひとりの少女と人の顔が見れない青年の物語でした。
それが「海のシンバル」という作品でした。
この作品を、出版をするためだけに生きてきました。
しかし待っていたのは、出版という厳しさを痛感する日々です。無名の物書きが、本を書店に並べることは非常にハードルが高いことなんだと、
当時、SNSに公開していたこともあり、応募できるコンクールは決して多くはありませんでした。
そのため僕は、2022年8月にクラウドファンディングを通して全国書店流通をするためのプロジェクトを立ち上げました。
幸いにしてプロジェクトは261人という多くの支援者の方に支えられ、成功することができました。
それから2年近く、クラファンの際にお声がけ頂きました編集様と自費出版に向けての原稿の修正を行ってきました。
しかし「東日本大震災」の内容を含んでいる物語を、非当事者である僕が書いていることを理由に、出版社の企画会議に通ることが難しい現状を説明されました。
悔しかった。
震災を扱うことは難しいことは重々承知していました。それでも、僕自身を理由に「海のシンバル」という作品が日の目を浴びることができないのは、どうしても耐えられなかった。
この作品を書いたのが『僕』でなければ、本当はよかったのかもしれないと考えたときもありました。
けれど書いたのは僕なんです。だから逃げるわけにはいかないんです。
僕は「海のシンバル」を出版したい。
いつかこの作品が、『あの日』を忘れないための部品のようになることを願います。
note創作大賞には「海のシンバル」を出版まで一緒に走ってくれる出版社様を探すために応募いたしました。
これは、悪あがきであり、最後の絶叫です。
誰か、僕を見つけてください。
どうか僕を小さな歯車のように、かけがえのない部品にしてください。
それが僕の生きるすべてです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
命に辿り着くその日まで。
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