仁澪128号
巻頭言
「型」を学ぶ -真似て、真似て、真似しつくして-
第2外科・肝胆膵外科学から医学教育学に転身して17年。今年医師生活34年目ですので、外科学・教育学の在籍期間がちょうど半分ずつとなりました。この間たくさんの医学科生・研修医達と巡り合えました。彼らは非常にまじめで優秀である一方、「無駄に思えること」「しんどいように見えること」を避けるように思います。教務委員長・臨床研修センター長として、どのように接し、どんなことばを届ければ、彼らの琴線に響くのかを試行錯誤しながら日々過ごしています。
1988年、昭和63年に入局した当時、第2外科には個性豊かな先輩外科医が、まさにキラ星のごとくおられました。40歳前後のエネルギッシュな先生方のその迫力に、圧倒され続けた記憶があります。以来 17年間、いろんなことを学びました。で、「何を学んだのだろう?」と、今振り返りますと、それはさまざまな「型」だったんだと結論できます。「外科医」として、「医師」として、あるいは、「人」として生きていく上での様々な「型」を学ばせていただいたと思います。たとえば、大杉治司先生の理論的で迫力満点、ところどころ「英語」が混ざるプレゼンテーションのされ「型」はかっこよくて憧れでした。久保正二先生からは大学人としてのアカデミックなものの考え「型」、英語論文の重要性、さらにその作成「型」を学ばせていただきました。様々な処置を軽快に、スマートに、そしててきぱきされていく藤尾長久先生の振舞い「型 」も てとても素敵でした。大学内だけにとどまりません。道頓堀の川面を見ながら、様々な実地医療のあり「型」を原田繁先生から教えていただきました。組織のTOPとしての矜持の持ち「型」を橋本壽雄先生の背中から学びました。自身が悩んで、落ち込んでいた際に当時の同門会長上道哲先生からかけていただいた「大空にそびえて見ゆる高嶺にも、登れば登る道はありけり」(明治天皇)のおことばは、後輩への接し「型」のお手本となりました。もちろん恩師である木下博明、廣橋一裕両教授からも語りつくせない数多くの「型」を仕込んでいただけました。お二人の先生から、次こそ「ようやってくれたなあ」と言ってもらいたい一心で、多くの課題に対峙しました。そのおかげで、いろんな環境下でさまざまな業務を、時に効率的に、時に粘り強く行う「型」が身についたと心から感謝しています。
もう少しだけ「型」の話をさせてください。わたくしの大好きな歌舞伎役者に亡き18代目中村勘三郎氏がおられます。氏は生前ニューヨークやヨーロッパでの海外歌舞伎講演や、現代劇を織り交ぜた歌舞伎などにも挑戦され、「型破り」な歌舞伎役者だといわれておりました。ただ、生前のインタビューで「何も不思議なことはしていない。いままである歌舞伎の「型」の上に少し自分の色を混ぜているだけだ」と答えておられます。で、ここが大事なんですが、この「型」を学ぶのに、父親である17代目勘三郎氏の一挙手一頭足を「真似て、真似て、真似しつくした」とその著書の中で書かれております。「型」があるから「型破り」が映えるのです。「型」がないのはただの「型」なしにすぎません。
真似るべき多くの先輩に恵まれたわたくしはとても幸せでした。一見、無駄でしんどく思えることでも、先人のやり「型」を真似て、真似て、真似しつくして「型」を身につけるように取り組むことがとても大切だと、本学医学科生・研修医達伝えていくことがわたくしの使命であると感じています。
世間の方が求める医師を輩出するのがわたくし達の使命ですが、それには時間と手間がかかりますし、わたくし達大学教員だけでは彼らは育ちません。求める医師を育むためには、同窓会のみなさまのご理解とご協力が是非必要です。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。ありがとうございます
理事だより
サーベイヤーのお仕事
皆さんも「医療の質」という言葉を聞く機会、使う機会が少なからずあると思いますが、そもそも医療の質とは一体何でしょうか。2018年にWHO が「良質な医療」とは、「必要としている人々に根拠に基づいた医療サービスを提供し( 有効性)、医療を提供しようとしている人々に対する害を避け(安全性)、個々の好み、要求、価値に応じて提供する(応答性/患者中心性)医療」であると定義しました。
この「医療の質」を高めるために医療機関は様々な努力を行っています。第三者による評価を活用して継続的な改善に取り組むこともその一つです。日本医療機能評価機構(JCQHC )は、医療機関の第三者評価を行い、医療機関が質の高い医療を提供していくための支援を行うことを目的として、1995年に設立され、2022年11月時点では全国で 2023病院がJCQHC の認定を受けています。府中病院では1999年に初回認定を受けてから5年ごとの更新を継続し、来年度には5回目の更新を予定しています。自院の受審のためもありましが、他病院の取り組みを勉強させていただくために、私自身、3年前にJCQHC の評価調査者(サーベイヤー)の資格をとりました。サーベイヤーは診療・看護・事務の担当に分かれており、いずれも病院で指導的立場にある人が一定の教育を受けて任命されます。
実際のサーベイヤーのお仕事を紹介します。病院機能によって評価項目が異なりますが、私が担当する「一般病院2」では「書面審査」と「訪問審査」により、89項目について評価します。まずは訪問の約2週間前に受審病院が準 備する自己評価評価調 査票と現況 調査票に加えて病院の概要を示す 資料が届き、それを元に「書面審査」を行い、受審病院の状況を把握します。「訪問審査」では診療・看護・事務それぞれの2名ずつのサーベイヤーからなるチームが病院内を二日間かけて視察し、医療体制をハード、ソフトの両面から評価します。一日目は午前中に病院側からの概要説明、書類確認、合同面接調査を行い、午後からは病棟ラウンド、実際の診療におけるケアプロセス調査、そして外来訪問を行い、一日目が終了します。ホテルにもどってからすぐにサーベイヤーミーティングがあり、情報を共有して確認事項や問題点を協議します。ミーティングが済んでやっと夕食になりますが、他のサーベイヤーの皆さんと食事しながらいろいろと情報交換もでき、唯一、緊張がほぐれる時間になります。食後は自室で二日目の訪問審査に向けての最終準備をして、後は寝るだけです。二日目は2チームに分かれて病院内の各部署の訪問調査を行い、最終のサーベイヤーミーティングで書面審査・訪問審査の結果を集約し、評価・判定を検討してまとめます。最後に受審病院の職員に集まっていただき、講評および意見交換を行い、優れた取り組みや改善点などのコメントを病院にフィードバックし、かなり過密なスケジュールの訪問審査が終了します。審査後は担当した項目について評価を行います。秀でた取り組みをしている場合には“S”、適切に行われている場合には“A”、一部課題はあるが一定の水準に達してる場合には“B”、一定の水準に達していない場合は“C”とし、1週間以内に報告書を作成し提出します。病院にとっても受審の準備はかなり大変であり、膨大な数の書類やマニュアルを整備し、必要な会議や委員会を整え、不具合をあれば是正するなど、できるだけ良い評価を受けるために、職員は通常業務をこなしながらも懸命に準備します。ですから私は審査にあたって、できていないことだけを指摘するのではなく、職員の皆さんが頑張っているところもしっかりと見出し、評価するように心がけています。
このようにサーベイヤーの業務は結構ハードですが、機能評価によって少しでも病院の質の向上し、患者さんが安心して治療を受けていただければ幸いですし、そして将来、自分たちの子供や孫の世代も、その質の高い医療の恩恵を被ることができるのであれば、やりがいもあると思いつつ、まだまだ未熟ですが今後もサーベイヤーとして尽力したいと考えています。
大阪の医史蹟めぐり―31
昭和44年卒 田中祐尾
融合加速するポスト・コロナ第8波への展望
11月16日の五大紙は「コロナの国内感染10万5188人 第6波のピークを上回る」と一面に強調(図1)、ワクチン接種後の時間が経過して免疫が低下し、人の外出が緩和されたことなどによって気が緩む隙間での第8波の襲来を警告する。政府の対応策はというとオミクロン株対応ワクチンの早期接種と自測用検査キットや鎮痛解熱薬の購入を促すのが精いっぱいで極めて頼りない。
但し11月22日漸く塩野義製薬の抗コロナ薬「ゾコーバ」が緊急承認された(後述)。足掛け五年目を迎へようとするCOVID-19との付き合いは失望感諦観から免れられず、とくにここ最近一旦平癒したと思いきや、起立するだけで120回/分という頻脈、倦怠感が襲いそれが何ヵ月も続くといった新らしい後遺症が問題となっている。医療先進国日本がパンデミックから四回目の新年を迎えるに際し、せめて新しい考察がないものか。最近目にした『実験医学』 vol.39増刊号で今、時代の先端を行く研究者の対談あり、内容を要約して紹介します。嘉糠洋陸(東京慈恵医大・国立PCRセンター臨床医)・忽那賢志(国立国際医療研究センター・感染症学)・宮沢孝幸(京都大学ウイルス研究所・動物学)の三氏です。判りにくい文脈もあるのですが、学術雑誌向けの記載なら本校の城戸康年ウイルス学新任教授に登場願えればよい話であって、此処では先生の領域を侵すことなく一般大衆向け「読み物」風に纏めてみました。
■「ウイルスの多くは病原体」という先入観念は間違いで、平素ヒトの体に入って病気を起こさないウイル スが野生動物の蝙蝠・鳥・サル・飼 育ブタ・ときにはペットなどを経て 突然牙をむく(コロナに限らない)ので、普段からこれらの宿主動物に 目を向けること、反面ヒトにとって 有用なレトロウイルスなどがなぜ進 化や胎盤の作用に巧く影響するのかなどの解明も必要です。特殊なウイ ルスばかりを追い求めてはいけません。それには医学部のほか獣医学部、理学部、農学部、薬学部の連携が要ります。(宮沢)
■ 臨床の医師たちも特定の科だけでは捉えきれません。パンデミック初期には感染症科と呼吸器内科が関わっていましたが、現在は循環器内科が心筋障害を、神経科が神経障害を、産婦人科、小児科など始めからチームを組んで対応します。ECMOの装着には医工学士が関わるといった状況です。(宮沢)
■ 2003年日本へ襲来しかけたSARSや2009年の新型インフルエンザ、 2014年のデング熱などのウイルスは防禦陣が万全の態勢だったにも拘わらず、なぜか数週後急速に減衰し参考となるデータを遺しませんでした。この事実からコロナを含むウイルスの蔓延は気まぐれに過ぎ去ったり、ロングスパンでの「流行り廃れ」があるようです。(嘉糠)
■ コロナウイルスの感染後の症状を経て回復したヒトの血漿を採血して中和抗体の活性値の高いヒトの分を現在70人分保存しています。女性より男性、重症度またはCRP値が高かったヒトほど抗体値が高い傾向にあり、2~3か月で抗体値は下がります。これを治療に用いるべく臨床実験が始まります。(忽那)
(筆者注:2年前トランプ大統領が コロナ陽性で急遽入院となったとき、僅か2日で退院したという例があっ たのはこの血漿の投与ではなかったかと当時のメディアが騒いだが病院側の発表には血漿投与の文言はなかった。)
■重症化したヒトの方が抗体価が高いということは、抗体ができすぎる方が重症化するということであって、事実はコロナウイルスの毒性に拠る直接障害なのか、それとも免疫系に拠る間接障害なのか、いわば暴走なのかがよく解らない。(宮沢)
■感染後のコロナウイルスの体内での状態は千差万別で、集団でヒト細胞を破壊しサッサと次の個体へ移る(図2)といった単純なものでなく、長い時は数カ月間体内から消えない症例もある。COVID-19の大きな特 徴の一つで治癒までの入院が長引く原因です。(嘉糠)
■COVID-19患者の治療過程で最も危険かつ致死率が高い症状はサイトカインストームであります。ウイルス毒素または薬剤の副作用などにより、炎症性のcytokine(分子量の小さい糖蛋白質で細胞間情報伝達分子)が大量に放出され多くは呼吸器組織の浮腫で呼吸逼迫、以後多臓器不全で死に至るのですが、此処でただ一つデキサメタゾンの投与で劇的に病的ウイルスが減って救命に至ります(全例というわけでない)。そもそもステロイド系薬は免疫を抑制する薬のはずなのに此処でも矛盾があり、この場合本来の免疫機構は一体何をしていたのか不思議です。(嘉糠)
■最後に今後の日本における感染症 と行政機能との関係構築の見直しです。此処数十年の間日本の感染症対策は米国のCD C(Center for Disease Control and Prevention)が世界の司令塔でここを手本にすれば大丈夫といった安易な態勢だった。然しながら今回のCOVID-19の上陸によって結果的に米国は2022年11 月16日現在107万5112人(日本は4 万8001人)を超える死者を出し世界一の死亡者数という現実がある。医学医療の枠を 超えた思わぬ防疫と公衆衛生の行政対策を誤った結果であった。拠り所の米国CDCをモデルにできなくなった日本は、「中立の立場で感染症対策を科学的に吟味するセンター」を起ち上げ、独自のリスクコミニュケーション機関として働く必要があります。多くの感染者の死を無駄には出来ません。(嘉糠)
■第8波で従来型インフルエンザとコロナが同時感染したときどうなるかについて。
「重症化のリスクが2倍以上になる」という英国の論文が。この場合同時に両者のワクチンを施注してよいと日本では政府が明言している。但し混合せず各々両腕に行うこと。
■抗コロナウイルス薬としては蔓延初期から「モルヌピラビル」の点滴と内服が既に多く使われている。 2022年11月22日純国産の塩野義製薬が製作した内服薬「ゾコーバ」が緊急承認された。期限は1年で有効性を審議される。コロナに感染後高熱・咳・咽頭痛など初期症状から中等度の症状に適応とされるが、十分な治験データが揃わない(厚労省指定の12症状の臨床試験にとても間に合わない)まま「見込み発車」となり、今のところ著効は保証できない。妊産婦と持病の重病者は向かない。年内に100万人分の生産を政府が契約した。
■既に米国製のラゲブリオ(メルク 社)やハキロビットパック(ファイ ザー社)などコロナ重症度の患者向 けに我が国でも投与が始まっていて、こちらは主に入院のリスクを30%以上軽減している。「ゾコーバ」 の費用は1クール約10万円と高価。 100万人分の薬価は900億円/年を 超えるがそれでも米国ファイザー社 の販売値220億ドル/年(2022)と 比べればその3%に過ぎない。日本ではコロナは感染症法「二類相当」 の感染症とされ、医療費全額が今のところ公費であり、累積が数兆円を超えるため、第五類(インフルエン ザ並み)の健保負担にしようとする動きがある。確かに4年を超える今回のコロナウイルスに因る死者数は減衰してインフルエンザに拠る死者と変わりが無くなってきている。
大阪市大医学部78年と附属病院98年の歴史- ⅩⅩⅩⅣ
北野厚生(昭44年卒)・田中祐尾(昭44年卒)
山本祐夫教授開講10周年記念教室研究業績集
―教室10年の研究を省みて―
■基礎教室と密接な連携
昭和43年4月第3内科教室の新設にあたり、 二大研究テーマ、すなわち
「肝と免疫」「肝と線溶現象」を新しい構想のもとに発展させようとした。
私は待望の研究再開にあたり過去の経験から臨床教室における研究の発展には基礎教室と密接な連携を保ち、 特に若い有能な医師が基礎教室で指導を受けることが必要であると考えた。 かくして大学院生を中心に生化、生理、 病理、 細菌学教室において多数の教室員が指導を受けるに至った。
第一の着想として、 薬剤は抗原として純粋であるため、 薬剤アレルギー性肝炎の診断にリンパ球幼若化反応を応用すれば起因薬剤の検出に成功する可能性は大であろうと考えた。 リンパ球幼若化反応で確実に診断しえたストレプトマイシンによる薬剤アレルギー性肝炎の症例は今でも鮮明に記憶している。
紛争の終結後、教室の第1回目の大学院生である溝口先生、 次いで山田(尚) 先生が生化学森澤教授の指導下で新しく薬剤アレルギー性肝炎の研究を始めた。 以後、 教室の大学院生は、 毎年大挙して森澤教授の下に馳せ参じ、 この研究は目ざましい発展を遂げ、 当初の「診断法」から、「発生機構」「催胆汁うっ滞因子」の研究に進み、 その成果は国際的に高い評価を受けている。
■「肝と免疫」の研究の発展
Meyer zum Busc-henfelde の「肝特異抗原」 を用いた研究が川合先生により本邦最初に行われた。 Meyerは新興ドイツの明星として台頭し、 今や世界の「肝と免疫」の研究は「肝特異抗原」をめぐって大きく前進しつつある。
さて、教室の研究が緒に就いてまもなく、 Blumberg により肝臓病研究の革命的な発見がなされた。 それはオーストラリア抗原の発見であり、 この研究を通じてB 型肝炎ウィルスが明確にされた。肝炎のウィルスがみつかった以上、肝細胞はウィルスにより直接破壊されるのだから、「肝と免疫」 の研究は不必要になったと考えた学者も少なくなかった。
しかし、「肝と免疫」 の研究はウィルス性B型肝炎の病態を規定する重要な要になることが、やがて判明してきた。ウィルス性B型肝炎では肝細胞の破壊はB型ウィルス関連抗原に感作されたリンパ球によるもので、 肝細胞中にあるB型肝炎ウィルスの排除機構に伴って肝細胞障害が発生するという仮説について、 リンパ球幼若化反応を用いて検討したのは教室が最初であった。これらの仮説は承認されB型肝炎ウィルス自身には細胞性障害は殆どなく、 免疫反応により肝障害が起こると考えられている。
現在、 私は厚生省 「難治性の肝炎」調査研究班の 「自己免疫性肝炎」 分科会長を命ぜられている。
「肝と線溶現象」 の研究は石井内科からの遺産であるが、 これは石井教授が台北帝大の助教授時代に行ったマラリア黒水熱の発生機序の解明を目的とした 「実験的アレルギー性血色素尿症」 と言う有名な研究から端を発したものである。
■第3内科 肝グループ
第3内科の研究が開始されるとすぐ、内田先生、吉村先生が線溶研究に着手した。 この時頭に浮かんだのが東大森教授が行ったシュワルツマン反応による実験的劇症肝炎であった。私はこの実験の成立機序を血管内凝固の観点から検討しようと考えた。 DICの概念が漸く臨床面に導入され始めた時期であった。
第 3 内科は肝、 胆道、膵、消化管 (食道、胃、腸) を含めた消化器病を専門分野とする内科である。 大きく分けて、 肝グループと胃腸グループがある。 前者は門奈助教授、 後者は小林講師がそれぞれ臨床グループの長として教室員の約半数ずつを直接指導している。
臨床研究の基礎となるものは。 先づ確実な診断と病態の把握である。教室で腹腔鏡、 肝生検を施行した例は1,500症例にも及んでいる。 これらの症例は10年間にわたる地道な努力の積重ねにより確保しえた貴重な財産である。この財産は門奈助教授、針原先生、金先生により管理、 整理され、長年の歳月を経て燻銀の様な光を発している。
メルボンの Mackay らがルポイド肝炎の多数例について免疫血清学的な研究発表を行なう秘密は、 これらの症例の血清が保存されていることを知ってから、 腹腔鏡、 肝生検を施行した症例の血清は全部保存、整理することにした。 このことにより、HBs抗原、HBc抗体 e抗原、 e抗体及び免疫学的血清反応に関する研究が多数の症例について一度にまとめて発表しうるようになった。 これらのウィルス性肝炎の免疫血清学的研究は、 輸血部の講師になった黒木先生を中心に行なわれている。
また、 教室の肝臓病研究の特徴の一つとして、 通称釜ヶ崎、 愛隣地区におけるアルコール性肝障害に関する研究がある。 門奈助教授を中心にして針原先生、 河先生、 丸毛先生が愛隣地区大阪医療センターに出向して、 当初の種々の面にわたる困難性を克服してアルコール性肝障害の実態を明らかにしえた。
また、 超音波検査は装置の飛躍的な進歩により、 確固たる地位を築き一種のブームの時代に入っているが、 早くから本分野で苦労をしていた朝井講師は、 その実力により今や西部における指導者として活躍している。彼の努力の結晶とも言える著書「腹部の超音波断層法入門」「腹部の電子スキャン読影」 は極めてユニークな臨床指導書である。
■第3内科 胃腸グループ
第3内科が消化器病を主たる専門分野として発足するに際し、 当初第2内科において消化器内視鏡に従事していた小林講師、 小野講師が馳せ参じた。10年を経た現在において、 第3内科が消化器病全体を包含する真の実力ある教室に生育したと評価されているのは、 小林講師がチーフとして活躍している内視鏡グループの急速な充実発展があったからである。消化器内視鏡の臨床、 及び、 研究は小林講師に一任され、 文字通り直接指導が行なわれた。
消化器内視鏡グループはさらに、 上部と下部の小グループに分かれているが、 最上部の食道内視鏡は鎌田講師が受持つている。 肝硬変での直接死亡率の最も多い食道静脈癌出血の出血の現場を内視鏡下にとらえ、 多くの新知見がえられた。
この研究は薬剤による胃ピラン、潰療の発生を、胃粘膜の血流、胃酸分泌、さらに生化学的にプロスタグランジンのレベルで検討している若手グループの新しい研究方向に支えられている。
大学紛争が終わり、 まもなく従来の胃カメラから十二指腸ファイパースコープの時代に入った。 教室では十二指腸の内視鏡研究に集中的な努力が払われ、 辰己先生が誕生し、小野講師が十二指腸炎を引っさげて学会に華々しく打ち出して行った。やがて三谷先生が中心になり胆道末端部の運動機能を測定するPressure sensor装置を開発し、 研究が動物実験を経てさらに十二指腸ファイパースコープを応用した臨床研究へと発展した。
当時、 既に日本の消化管内視鏡は世界のトップであったが、 消化管の機能や病態生理の分野においては欧米に遅れていた。 この十二指腸、 胆道末端部の運動機能に関する研究は本邦における従来の消化器病研究の趨勢に新風を送ったものであり、 山田(英)先生によりさらに推進され。 薬理学的、生化学的研究を導入してグループの若手教室員が一体をなって着々と新しい業績を生みつつある。 この研究は十二指腸、 胆道、 膵、 肝臓の病態生理を一連の動態のもとに捉えるものであり、 その成果は国際的に高く評価されている。
■「消化管の免疫」の研究・業績
さらに教室の代表的研究として 「消化管の免疫」 に関する一連の業績がある。 大腸ファイパースコープが臨床に導入され始めた初期に、 この分野の日本のメッカであった弘前大学松永教授のもとに牧石先生が国内留学してその技術を習得して帰った。 やがて牧石先生により大腸ファイパースコープを深部まで挿入し易くするためスライディングチューブが考案され、 これはさらに北野先生によりリーディングコードとして改良され、 現在広く臨床応用されるに至った。この研究は大腸内視鏡の臨床に資する所大であり松永教授からも賞賛の辞を送られた。 私も松永教授に学問の上で報恩しえたことを喜んでいる。
さて、 潰瘍性大腸炎は難治性の疾患であり、 自己免疫現象が病態の発生機序に関与していると考えられている。北野先生はその優れた臨床手技により多数の潰瘍性大腸炎、 クローン病を診断、 治療し、次いで免疫操作による実験的潰瘍性大腸炎の作成を試み成果を挙げた。 潰瘍性大腸炎の免疫学的研究は生理学教室の指導下に山口先生の研究により腸内常在菌と大腸粘膜との免疫学的なかかわり合いに絞られ、 さらに発展して桑島先生、田中先生らによりグラム陰性桿菌の cell wall の免疫アジュパント作用について細菌学教室の指導下に精細な研究が行なわれている。
教室における免疫学的研究が「肝と免疫」、「消化管と免疫」 という二つの領域で平行的に進展していることは、当初の私の夢が実現されつつあることを物語っている。 これらの研究を背景に小林講師が厚生省特発性腸管障害研究班の班員に任命されて大活躍をしているのは喜ばしい次第である。
■関係各位に感謝
なお、 最後になったが教室における研究の病理形態学に関しては藤山先生を皮切りにしてもっぱら病理学教室藤本教授の御指導を頂いた。前述のように教室の研究に従事した多数の教室員はテーマに関連した各々の基礎教室でお世話になったが、 基礎教室のの教授はそれぞれ独自の風格と強い個性を持っておられ、 厳しい研究過程を通じて教室員の人間形成に強い影響を与えた。
第3内科は大阪市立大学医学部のエキスを栄養として育成され、 10年にして漸く一人前に達することが出来たと思っており、 関係各位に深く感謝の意を表したい。
昭和55年11月 山本祐夫(2022年11月15日) 文責:北野厚生
臓器・機能別に大きく分れた内・外科系のナンバー科・整外科・児科・脳外科のルーツについての記載を終わります。 (田中祐尾)
学生クラブ活動紹介
医学部軟式テニス部
医学部3回生 和田知哲
こんにちは、医学部軟式テニス部です。現在、男子22人、女子14人の計36人で多くが初心者始めです。練習は水・金・日の週2~3回、長居テニスコートと杉本キャンパスで行っています。競技としては、基本的にダブルスの 2 vs. 2 の形式で行います。ペアと2人で連携してうまく点数を取れた時はとても気持ちがいいです。大会は毎年、春・夏・冬の合計3回、兵庫県の神鍋テニスコートにて開催されます。ここ最近はコロナでずっとなかったのですが、2022年の10月にようやく 3年ぶりの大会が開催されました。大会では個人戦と団体戦がありますが、部員全員が個人戦に出場します。また自分の試合が終わっても、他の人の試合の応援もあって盛り上がります。試合はもちろんですが、泊まりでワイワイするのも大会の醍醐味の一つです。部には色んな人がいて、みんな個性豊かで面白い人ばかりです。私たち軟式テニス部に少しでも興味がある方は、ぜひ練習に足を運んでみてください。
バドミントン部
医学部 4 回生 志摩知菜津
医学部バドミントン部は男子22人、女子21人の43名が所属しており、大学からバドミントンを始めた部員も多いです。練習は毎週2~3回、杉本キャンパスの旧体育館や阿倍野スポーツセンターで行っています。医学部、看護学部の部員が一緒に練習しており、先輩後輩の垣根を越えて仲が良いのが特徴です。今年は新入部員を多く迎え、より一層盛り上がりを見せています。ここ数年は新型コロナウイルスの影響で大会が中止となりもどかしい日々が続いていましたが、そのような状況になっても一人一人が立てた目標を達成するために向上心を持って活動しています。今夏には3年ぶりに三市大が開催され、各々が日々の練習の成果を発揮することができました。次の大会での一勝にむけて、新しい技術を習得・実践することができるよう、部員一同、これからも練習に励んでいきますので、応援よろしくお願いします。
ライフサポート部
医学部4回生 杉本喜恵
ライフサポートクラブではAED講習会を開催し、運動部員や病院関係者を対象にAEDの使い方や心肺蘇生法等についてレクチャーする活動を行っています。活動頻度は月に1回程度でLSCの愛称で親しまれています。他部活と兼部している部員がほとんどですが、向上心のある多くの部員が精力的に活動しています。具体的には、学内において心肺蘇生法実習の授業を担当したり、現在はコロナ禍で実施できない状況が続いておりますが、普段は大学病院でも院内講習会などを行ったりしています。先生方のご指導のもと、沢山の人にAEDの重要性を知って頂き、LSCの講習会で得た知識を実際の現場で活かして頂けるように日々精進しております。LSCでは Teaching is learning という考えのもと活動しており、 AEDの使い方をレクチャーすることで自他ともに和気あいあいとした雰囲気の中で楽しく学びながら成長することができます。
学会主催者報告
第18回加齢皮膚医学研究会
会 期:2022年8月 20日~21日
場 所:大阪公立大学医学部学舎4階大講義室(ハイブリッド形式)
主 催:大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学
会 長:鶴田大輔(平成4年卒)
この度、第18回日本皮膚病理組織学会総会・学術大会を大阪公立大学医学部 学舎4階 大講義室(ハイブリッド形式)で主催致しましたことをご報告申し上げます。加齢皮膚医学研究会は、加齢に伴う皮膚病変の正しい理解および診断・治療法の向上を図るために2005年に発足し、毎年研究会を開催しております。加齢皮膚医学は、今後再生医療やAI分野に匹敵するホットな皮膚科学臨床・研究領域になり得る分野であると考えます。
今回の研究会では、加齢皮膚医学講座は、近畿大学医学部皮膚科学教室 大塚篤司先生に「高齢者に生じたメラノーマに対する治療戦略」について、ヘアーアンドスキンクリニック 長井正壽先生に「自毛植毛術による脱毛症治療の実際」についてご講演頂きました。大塚先生には、メラノーマに対する分子標的薬・免疫チェックポイント阻害剤の有用性、高齢者に対する使用の難しさと適切な治療の選択などについてご講演頂きました。長井先生には、正しい自毛植毛、不適切な例、新しい技術の開発などについてご講演頂きました。また、加齢皮膚医学研究会とロート製薬株式会社により設立され、加齢皮膚医学に関連する基礎的また臨床的調査・研究を広く奨励助成することを目的とした「加齢皮膚医学研究基金:ロート賞」の受賞記念講演も執り行われました。5つの共催セミナーも充実したものとなりました。一般演題では、ハイブリット形式の利を生かして、現地・オンライン双方からの活発な議論が出来ました。第19回加齢皮膚医学研究会は日本医科大学皮膚科学教室 船坂陽子教授を会頭として開催される予定です。本会が盛会のうちに終了しましたことをご報告致しますと共に、関係者各位に御礼申し上げます。
第49回日本マススクリーニング学会
会 期:2022年8月 26日~27日
場 所:大阪市中央公会堂
主 催:大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学
会 長:濱﨑考史(平成8年卒)
第49回日本マススクリーニング学会学術集会を 2022年8月26日(金)、 27日(土)に大阪市中央公会堂にて開催いたしました。第7波の真っ只中での開催となりましたが、幸い緊急事態宣言の発出もなく予定通りに開催することができました。関係者をはじめ多くの皆様のお力添えで、参加者登録者は300名を超え、現地での参加者数も160名とコロナ禍にあって、十分に意見交換ができ、実りある学術集会になりました。
日本マススクリーニング学会は、当教室の高井教授、大浦敏明講師が新生児代謝とくにフェニルケトン尿症の早期発見・早期治療を目指して1973年に代謝異常スクリーニング研究会として1973年に発足し、その後、当科の歴代の教授としては、 1987年に一色玄教授が、第15回を開催、2013年に新宅治夫教授が、第40回の学術集会を開催して以来の大阪での開催となりました。
今回の第49回学術集会では、「子どもたちの健やかな成長のために我々ができること」を基調テーマとし、基調講演としてミネソタ大学のアイゼンガート先生に、米国での新生児スクリーニングの現状を紹介いただき、教育講演として、日本小児保健協会の理事長の小枝達也先生をお招きして、小児保健の時代による変遷、小児保健における新生児スクリーニングの位置付けについて講演いただきました。特別講演では、大阪公立大学ゲノム免疫学の植松智教授よりメタゲノム解析の最前線の講演をいただき、今後のコラボレーションに期待が膨らみました。
第29回日本門脈圧亢進症学会
会 期:2022年9月8日~9日
場 所:グランキューブ大阪(大阪国際会議場)
主 催:大阪公立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学
会 長:河田則文(昭和61年卒)
日本門脈圧亢進症学会は、門脈圧亢進症および食道胃静脈瘤に関する研究ならびに治療法の発展を図ることを目的として1994年に設立されました。総会は、年1回開催されている定例学術集会であり、付置研究会として肝不全研究会、脾臓研究会、 BRTO・TIPS研究会が同時に開催されます。
本邦においては、依然として肝臓疾患の罹患率が高く、多くの医師・研究者により消化器・肝臓病学および門脈学に関する基礎的及び臨床的研究が現在も続けられており、その成果は国際的にも高い評価を得ています。消化器・肝臓病学および門脈学の研究・診療に携わる日本全国の内科医・外科医・放射線科医・病理医が一堂に会し、様々な観点から門脈圧亢進症に関する高度な研究発表と活発な討論が行われる本学会は世界に類をみない門脈に特化した非常に注目されている学会です。
今回、私が担当しました第29回日本門脈圧亢進症学会総会では、メインテーマを「門脈圧亢進症の“New Normal”」と銘打ちました。本学会の魅力である、内科、外科、放射線科、病理のクロストークを重要視して、大きく変貌する門脈圧亢進症診療に関して、病態生理・診断の最新研究から薬物、内視鏡、IVR、手術に至る治療法までを広く発表・討論できるようにシンポジウム、パネルディスカッション、ワークショップなど数多くの主題を企画させていただきました。また、海外のエキスパート4名による講演も企画しました。さらに、学会前日には、スペイン・スイスの著名な研究者3名をお迎えし、大阪公立大学大学院医学研究科主催のOsaka Metropolitan University International Liver Forum(肝臓病の最新情報:基礎から臨床まで)も開催し、世界の肝臓病学の動向や最先端の研究内容についての報告と意見交換を行いました。新型コロナウィルス感染症の現況を鑑み、現地と Web のハイブリッド開催となりましたが、400名を超える参加がありました。全体懇親会など対面での情報交換の場が持てなかったことは残念ではありますが、3年ぶりの現地開催が叶い、いわゆるニューノーマルの学会運営が行えたと思っております。運営に際しましては同窓会の先生方に多大なご協力を賜りましたことを、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
第97回大阪透析研究会
会 期:2022年9月11日
場 所:大阪国際会議場
主 催:社会医療法人愛仁会井上病院
会 長:辻本吉広(平成7年卒)
第97回大阪透析研究会を2022年9月11日(日)、大阪国際会議場にて開催いたしました。年に2回開かれる研究会ですが、コロナのため延期~WEB開催が続いておりましたため3年ぶりの現地開催でした。
“多職種チーム医療で透析患者さんを元気にする”を大会テーマとしましたので、同タイトルのワークショップで大阪府下の多くの透析施設から、医師、看護師だけでなく透析の現場にかかわる多くの職種の方に発表をしていただきました。また、特別講演1は山形の矢吹病院の政金生人先生に「患者中心の透析医療はスタッフを育てる」を、特別講演2は福岡の才全会の松嶋哲哉先生に「患者と医療スタッフが共有する運動療法」をご講演いただきました。 お二人ともさすがという取り組みをされており大いに勉強になりました。透析患者は特にCOVID-19感染で重症化することも多いにもかかわらず、週3回の透析治療を同じ空間で集団で行わなければなりません。透析医療にかかわるスタッフは、感染対策でピリピリした雰囲気の中で日々の診療を行っておりますので、かなり疲弊気味になっているのではないかと感じています。そんな中での久しぶりのFace to faceの会ですので参加の皆さんも自然に笑顔になっているようでした。現地開催ならではの良さで各会場での討議は熱気に満ち溢れており、たくさん刺激をお互いもらうことで参加者皆が、『よーし、また明日から頑張るぞ』というような気持にきっとなれたのではないでしょうか。
845人の方が参加してくださり、盛況のうちに会を終えることができました。井上病院のスタッフ、私の出身医局である大阪市立大学代謝内分泌病態内科学・腎臓病態内科学の繪本正憲教授をはじめとした多くのスタッフのお力添えのおかげだと感謝しております、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
日本消化器病学会近畿支部第117回例会および第70回教育講演会
会 期:2022年10月8日
場 所:大阪国際交流センター
主 催:大阪公立大学大学院医学研究科 肝胆膵外科学
会 長:久保正二(昭和56年卒)
このたび日本消化器病学会近畿支部第117回例会および第70回教育講演会会長を拝命し、2022年10月8日に大阪国際交流センターにおいて同例会および教育講演会を開催しました。新型コロナウィルス感染が一次的に落ち着いていた時期ではありましたが、厳重な感染対策のもとに現地開催としました。
同例会は若手医師の登竜門として長年の歴史を持ち、また新進気鋭の中堅医師による運営やシンポジウム等での最新情報に関する発表、質疑応答を行う場であることが特徴です。シンポジウム(消化器癌に対する薬物療法と低侵襲治療)、パネルディスカッション(高齢者と消化器疾患)、ワークショップ(消化管、肝胆膵疾患における各種診断法)、さらに、一般演題、Young investigator session、Freshman session など約180題の発表があり、研修医、専攻医の先生方が生き生きと発表されておられたことが印象的でした。久しぶりの対面での開催であったこともあり、800名を超える参加者によって各会場とも熱心な討議が行われました。
一方、教育講演会では、院内感染対策、癌遺伝子パネル検査を含むゲノム医療、保険適応が拡がった重粒子線治療、最新のロボット手術および肝臓・膵臓移植の最前線について、近畿地区においてこれらの領域の最先端を担っておられる先生方に講演を賜りました。臨床現場に即した重厚な内容の講演によって、多くの最新情報を学ぶことができた充実した教育講演会となりました。
最後になりましたが、新型コロナ感染症が完全には鎮静化していない中、大きなトラブルなく、本例会および教育講演会を盛会裏に無事終えることができましたのは、参加者の皆様や本学肝胆膵外科学医局員のご協力と仁澪会の皆様のご指導、ご支援によるものと深謝いたします。ありがとうございました。
編集後記
令和4年4月1日は大阪公立大学 医学部としての1期生が入学した日でありました。彼らの卒業する6年 先に初めて大阪公立大学医学部卒の肩書が付けられ、それまでは入学時の市立大学卒となるそうです。つまり来年は最後の1年間だけ公立大学 を味わった市立大学生が、再来年は 2年間だけ…といった具合です。この大阪公立大学生という身分の人達が、いったん大阪を出た各地で活動中に「大阪公立大学(医学部)って どんな大学ですか?」と問われたとき、どう答えるのか。特に公立大学生としての実績が少ない初めの数年間が問題であると思われます。
此処では過去の(医学部の)歴史特にその「生い立ちと経過」に興味を持たれるのであって、各医局の業績そのものは余り興味の対象となりません。医学部に関する「生い立ちと経過」は『仁澪』での「大阪市立大学医学部78年と附属病院98年の歴史」現在まで36回の連載の内容がその総てでありまして、まるで今日のためによくぞ続けてきたものと自画自賛しています。偶々これまで基礎医学各科を経たのち臨床の各科、とくに数年前「機能別・臓器別各科」に分かれた多くの臨床各科のルーツすなわち第一外科・第二外科・第一内科・第二内科そして第三内科のエ ピソードを旧各科のOBたちによっ て漸く書き終えたのが今号なのです。これらのナンバー科の歴史は今掘り 起こしておかないと、歴史の彼方へ薄れてゆく運命にあります。『仁澪』のバックナンバーからこの部分だけをUSB にでも編集して内的・ 外的PR に備えるのが宜しいかと思います。
今後は若返って増田 博副理事長以下、竹内一浩・福島若葉・栩野吉弘・蔵城雅文といった広報委員の手におそらく移ることとなり、私はこれにて引退となります。長い間有難うございました。(昭44卒 田中祐尾 記)
施設紹介協賛広告掲載のご案内
謹啓
時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素は、当同窓会事業にご協力を賜り御礼申し上げます。
一般社団法人仁澪会では同窓会員相互の親睦を深めるとともに大阪公立大学医学部医学科発展を期して各種協賛、補助事業を実施しております。入学祝賀会開催、白衣授与式、卒後研修会開催、学生や教員表彰として仁澪賞・仁澪奨励賞の贈呈や奨学金事業などの諸事業を行って優秀な若手医師の育成を支援しております。4月より発足した大阪公立大学医学部医学科をバックアップする同窓会活動の重要性がますます高まっております。
また、卒業を迎えた学生や研修医に研修先選びの一助となる情報提供を行うべく大阪公立大学関連病院の施設紹介を医学部同窓会報「仁澪」に掲載しております。
貴施設におかれましても若い先生方への広報を目的にした、施設紹介協賛広告のご掲載について、ご検討いただけますようお願い申し上げます。
敬白
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一般社団法人 仁澪会 大阪市阿倍野区旭町1-4-3 06-6645-2936