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青森りんごの定義を考える


青森りんごって?

「青森りんご」。
その名前を聞くだけで、甘くて美味しいりんごを思い浮かべてくださっていると思います。
ですが、青森りんごとは一体何でしょうか?青森県で育てられたら、それだけで「青森りんご」と呼べるのでしょうか。それとも、そこに込められた思いや情熱こそが青森りんごを形作るのでしょうか。

家業としてのりんご栽培

青森のりんご産業は、長年にわたり家族や親せきが力を合わせ、「労働集約型」の農業として発展してきました。「マルバ栽培」と呼ばれる伝統的な樹形の栽培はその象徴です。この方法は、職人技ともいえる経験と勘を頼りに、りんごの樹を手入れし、最良の果実を実らせます。このスタイルの背後には、技術だけでなく、りんごと向き合う深い愛情やときには悲しみ、そして文化的な背景が深く詰まっています。

マルバ樹栽培- まるで人間のように多種多様な樹形となる

産業としてのりんご栽培

一方、時代の流れとともに、新たな挑戦も始まっています。近年注目されている「高密植栽培」は、イタリア発祥の省力化を目的とした資本集約型の栽培方式です。この方法は、効率的でマニュアル化しやすく、新規就農者にも取り組みやすい点が特徴です。省力化と効率化を追求するこの方法は、未来の農業を支える可能性を秘めています。

高密植栽培 - 画一的な樹形

栽培方式での対立

しかし、ここで立ちはだかるのが「伝統」と「革新」の間にある溝です。伝統的な手法を守る生産者と、新しい技術を導入する生産者が、互いの価値観を認められず批判し合う場面もあります。その結果、青森りんご全体が持つ魅力や可能性を損なうことにもなりかねません。
こうした状況だからこそ、いま「青森りんごとは何か?」を改めて考える必要があると思っています。

伝統的な「マルバ栽培」には、長年受け継がれてきた知恵と愛情が込められています。一方で、高密植栽培が提供する効率性は、次の世代に青森りんご産業をつなげるための重要な選択肢でもあります。
どちらが正しい、どちらが間違っているではなく、互いにリスペクトし、補い合うことで初めて青森りんごの価値がより深くなるのではないでしょうか。

私見

「青森りんご」とは、ただ生産地を示すラベルではありません。それは、りんごを愛し、育て、届ける人々の思いがつながってできたひとつの物語なのです。その物語を共有することで、消費者もまた、青森りんごの一部になっているのだと思います。

この問いを常に胸に抱きながら、りんご栽培に取り組んでいます。「青森りんご」を未来につなげるために、伝統の知恵を守り、新しい技術を取り入れながら、多くの人とともにこの土地のりんごを育てていきたいと考えています。

あなたはどう思いますか?青森県でつくられたら、それだけで青森りんごと呼べるのでしょうか?それとも、そこに込められた想いがあってこそ、青森りんごと呼べるのでしょうか。いまこそ、「青森りんごとは何か?」を一緒に考え、未来の青森りんごに想いを馳せてみませんか?

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