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『ノラや』内田百閒

古本屋で手にしたとき、明らかに猫の毛とおぼしき白い毛が挟まっていた。

猫のことを書いた本に、猫らしき毛、これは読まねば。

猫の描写はその仕草が目に浮かぶよう。悲しい出来事に、驚くほど泣いてしまう著者がかわいらしいといったら失礼だろうか。悲しみの日々がそのまま綴られている。

失踪した猫と、最期を看取った猫、両方の悲しみを抱えながら、でも最後まで看取った猫の方は、著者の心情というか悲しみの度合いが少し違うように感じられる。「看取った」ことで昇華された感情があるのかもしれない。

猫が好きなのではなく、ふれあった2匹が特別なんだという。そのことはよくわかるなぁ。


ちょっと困ったのは、この古本を手にしていると持病のぜん息が刺激されたこと。猫の毛が挟まっていたくらいだから、何かしらケモノ由来のアレルゲンがあったのかもしれない。猫を飼うのは難しいかもな。


そういえば、この本は「かも選書」でもあったのだ。追記しておく。