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収穫の夏

北海道では、生育の早い地域から秋まき小麦の収穫が始まった。

「麦秋」といえば、麦が実って刈り取りを迎えるころとされ、本州では4~5月頃、俳句では夏の季語である。北海道の「麦秋」は、一年でいちばん暑いこれからの時期である。

北海道の秋まき小麦は、9月中~下旬に種をまいて、7月下旬~8月上旬に収穫する。一年のうち、ほぼ10ヶ月間をかけて、畑で育てられるのが秋まき小麦である。

お米が育てられる期間(育苗ハウスと田んぼ)は、せいぜい5~6ヶ月だから、およそ倍の時間がかかっている。ずいぶんのんびりした作物である。

とはいえ、途中12~3月の4ヶ月間は雪の下で冬眠の様な状態でじっとしているのだから、そう考えると生長するのは5~6ヶ月間となり、実はそれほど大きな違いはない。


農家にとっては、その年最初に収穫する穀物が秋まき小麦なので、この収穫量が良好だと、気分良くその年の農作業を進められると聞く。

これからの時期、北海道のあちこちで上の写真のような大型コンバインが動いているのがみられるだろう。ドライブをしていて、大型の農業機械が道路を塞ぎながら走っているととても邪魔なように感じるかもしれないが、ああ、今年もおいしいうどんやパンの(原料の)収穫が進んでいるんだと、優しく見守っていただきたい。


収穫時期の長雨は小麦の品質を一気に劣化させるので、この時期は祈るような気持ちで天気予報を毎日見ている。なんとか好天が続いてほしい。


ちなみに、北海道の小麦は、中力粉原料の品種と、強力粉原料の品種に大きく分けられる。その見分け方は、穂に毛が生えているかどうかでおおよそ判断できる。

・穂に毛のないタイプ:98%の確率で中力粉向け、主に「うどん」用。
・穂に毛があるタイプ:すべて強力粉原料、「パン」や「ラーメン」用。

※なお、本州以西の小麦は毛の有無では何用途か判断できません。北海道だけのウンチクです。こんなことを知っていてなんの得があるはわかりませんが。