恩田陸先生!!

私は恩田陸先生の小説が大好きだ。中学生のときから現在まで10年弱追っている作家さんであり、大体の作品は読んでいる。ただ、人に言ったことはほとんどない。最初に読んだのは最もポピュラーだと思われる夜のピクニック。甘酸っぱい心情とがちで大変なんだなって伝わる身体描写で、現実の高校生を文学的に表したらこういう風になるんだなと感想を抱いた。正直、この時は面白いな〜ぐらいだった。本当に沼に嵌ったのはこの次に読んだ同じく恩田陸作品の中ではポピュラーな六番目の小夜子。これは衝撃だった。1つ目の衝撃はこんなによく分からないのに面白くてずっと読んでいたいずっと騙されていたいと思う本は初めてだ!という衝撃。2つ目は私はこういうジャンルの本が好きなんだ、という衝撃。ここからは目に留まった恩田陸作品は着実に読んでいった気がする。学校の図書館で借りるのは勿論、本屋で買ったことも一度や二度ではない。お母さんが恩田陸?聞いてくるくらい。書店で「お」の棚をチェックするのは最早ルーティーンである。先程挙げた衝撃という点では光の帝国も物凄かった。またよく分かんないし(いつもよく分かってない)不思議だしでもどこか日常的で古くから伝わるおとぎ話のような雰囲気を感じた。ただ、この本は恩田陸史上一番残酷な本だ。酷いとかグロいとかではなく残酷。けれど残酷は記憶に残る。残酷であればあるほど印象は強くなるし風景が思い浮かぶ。本を読んだ体験が思い出になる。光の帝国は光の帝国という本ではなく私の中では光の帝国を読んだという思い出なのだ。思い出はある地点で終わる体験だがまだ引き摺り続けるものもある。みんな大好き理瀬シリーズだ。麦の海に沈む果実を読み終わったときの夢から覚めたような心地は忘れられない。当時中学生の私は読書ってこういうものだっけ、と思ってしまうぐらい我を忘れて没入した。この本を読む前、私はお母さんと喧嘩し、むしゃくしゃした気分のままドタバタと階段を降りた。自室のドアを閉めた後、何となく本棚と
目が合い、何故かその時家にあった謎の本を手に取った。そしてまんまと次の日に三月は深き紅の淵を、を借りた覚えがある。その後も黄昏の百合の骨、図書室の海、黒と茶の幻想、などと続き、理瀬の魅力に今も引き摺られている。引き摺っていると言えば恩田陸作品の中でも何度も読んでいるユージニアである。私はピアニストの辻井伸行さんをニュースなどで拝見する度にユージニアを思い出す。目の見えない人にだけ見える世界が存在するのではないか、と失礼にあたるかもしれないがミステリアス&ロマンを感じてしまう。ユージニアはそんなロマンと厨二心に溢れている。というか恩田陸の本全般厨二心に特大ヒット間違いなしだと思う。個人的に現役よりも大人の厨二に刺さりそうだとも思う。他の作品でも、不連続の世界と月の裏側は主人公多聞の魅力に惹き込まれるし、そこはかとなく外国小説っぽい雰囲気がある。ネバーランドと蛇行する川のほとりは恩田陸の青春系の中ではツートップで好き。ネバーランドは中学生の私には刺激が強かったが青春×闇の塩梅が丁度よく爽やかな読後感。対して蛇行する川のほとりは読書感想文で書いたぐらいのお気に入りだが、ネバーランドの2倍ぐらい闇多めだと感じる。恩田陸作品の女性達は全員美しさを確立している人達ばかりだがこの作品は特に神がかっていると思う。あの女子4人組の秘めた雰囲気とそれぞれの可愛さ、美しさが全くキャラ被りしていない上にマッチしていていつか岩井俊二監督に実写化してほしいと思う。個人的にNewjeansのMVを見た時と同じようなときめきがある。Newjeans好きな人は是非。蒲公英草紙は切なすぎて号泣するし不安な童話は主人公がとにかく好き。不安な童話も連続ドラマ化したら凄く面白くなりそう。象と耳鳴りは装丁も含めて素敵。曜変天目という言葉を初めて知った作品で、恩田陸作品の中で隠れた名作といえばこれだと思う。恩田陸作品あるあるなのかもしれないが主人公が登場人物を評する際の言葉選びに毎回心を揺さぶられる。象と耳鳴りの中でも、主人公関根多佳雄が娘の夏を評する文章があるのだが、とても素敵。夏の人柄が一発で分かり、そんな夏に対していいな、と思わせられる独特かつお洒落な表現なのだ。お洒落ならクレオパトラの夢も外せない。MAZEも好きだけど私はクレオパトラの方が恵弥が自由に動いている感じがして好きだ。ねじの回転も私的トップ5は確定。全然理解は出来ていないのにページをめくる手が止まらないのが恩田陸の魔法。訪問者、7月に流れる花、私と踊って、とかも特に好きな作品。新作早く読みた〜〜い!

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