子宮頸がんにかからない方法2 ビタミンDを増やす
子宮頸がんのリスクは交通事故の半分以下だとわかりましたが、それでももちろんかかりたくはありません。
生涯に1%と言われるリスクをさらに下げるには、どんな方法があるでしょうか?
前回、HPV感染だけでは子宮頸がんができない、他の条件が必要だと言いました。
その他の条件とは、第一にビタミンD欠乏です。
一昨年、非常に画期的な論文が発表されました。
参考文献1) 子宮頸部上皮内腫瘍の代謝状態と制御へのビタミンD長期サプリメント摂取の効果
Effects of long-term vitamin D supplementation on regression and metabolic status of cervical intraepithelial neoplasia
前癌病変が見つかった患者に、2週間ごとにビタミンD3を50,000IU(=1,250マイクログラム、IU:アイユーは国際単位、ビタミンD 40IU=1マイクログラム)か偽薬を投与して比較したところ、6ヶ月でビタミンDを投与した患者で有意に多い84.6%に前癌病変の後退が見られたというのです。
前癌病変ができた人は、ほぼHPVに感染しています。この研究は、たとえ病原性の高いHPVに感染しても、ビタミンDを十分に補えば、前癌病変の多くは癌化することなく、消えていく可能性を示しています。
ちなみに、偽薬の患者でも53.8%は後退がみられています。何もしなくても半分以上は後退するということです。
ビタミンDはサプリメントで投与されなくても日光や食べ物から知らないうちに補充されますから、サプリメント以外で補充されたのかもしれませんし、あるいはもともと持っていたビタミンDで半分以上の人は前癌病変を後退させたのかもしれません。(多くの人のビタミンDは夏に補給され、春に最も低くなります)
いずれにしても、前回見たように、前癌病変は必ずしもいつか癌化するわけではなく、多くは半年で勝手に後退していく、ビタミンDを補うとその割合は大幅に上がるということです。
もう一つ、素晴らしい研究をご紹介しましょう。
参考文献2) 日本人女性の食事によるカルシウムとビタミンD摂取と子宮頸がんの関係
Association between dietary calcium and vitamin D intake and cervical carcinogenesis among japanese women
これは名古屋大学の研究で、食事からのビタミンD摂取量が多い女性が子宮頸がんにかかるリスクは、食事からのビタミンD摂取が少ない人たちより36%低いことを明らかにしました。
この研究のすごいところは、サプリメントでも日光でもない食事からのビタミンD摂取量だけでも有意な差が出たということです。
食事から摂れるビタミンDというのは、実はあまり多くありません。
例えば1日に必要とされる4,000IU(=100マイクログラム)を摂るのに、しらす干しなら160g以上(6~7人前)、紅鮭なら260g(切り身3~4枚)、卵なら84個必要になります。
サプリメントなら、摂ろうと思えば一口で何万IUも摂れます(吸収されるかどうかはまた別ですが)。
値段も安く、1年分で2000円以下で手に入ります。
日光なら、顔と両手だけを出した状態で7月の関東のお昼なら1時間ほどでビタミンD4,000IUが作られます。色白の人は2割ほど早く、半袖短パンや水着など皮膚の露出が多くなれば何倍も早くビタミンDが作れます。
日光のUVB照射量が多い地域ほど子宮頸がんが少ないという報告もあります。
参考文献3)日光のUVBと癌リスク減少の関係
The Association of Solar Ultraviolet B (UVB) with Reducing Risk of Cancer
それに比べれば、食事から摂れるビタミンDはごくわずかに過ぎません。
参考文献2)の研究では、大きなビタミンDの供給源である日光やサプリメントではなく、食事からのビタミンDの違いだけでも、子宮頸がん発症率に有意な差が出たのです。
日光やサプリメントを使えば、さらに子宮頸がんのリスクを下げることができることが期待できます。
ビタミンDは、子宮頸がん細胞の増殖も抑制することがわかっています。
以前、乳がん細胞でお伝えしたように、子宮頸がん細胞でもビタミンD受容体が活性化していて、ビタミンDが与えられると正常な細胞に分化したり、消滅したりするのです。
参考文献4) 婦人科がんのビタミンDとビタミンDレセプター:システマティックレビュー
Vitamin D and VDR in Gynecological Cancers—A Systematic Review
以上から、私がおすすめする子宮頸がんにかからない方法、その最も大切なことは、身体のビタミンDを増やすことです。
私が子宮頸がんやその前癌病変が見つかって相談を受けた女性は、いずれもインドア派の色白ぽっちゃりタイプ。見るからにビタミンDが低そうな方々でした。(ビタミンDは肥満を防止する効果もあります)
日光でも食事でもサプリメントでも、方法はいずれでも構いません。
食事(魚、キノコ)なら美味しいですし、日光なら無料ですし、サプリメントなら簡単(5000IU1日1粒が目安)です。
それによって、一生、子宮頸がんにかからないリスクを、99%から少なくとも99.4%以上にできるのです。
(Facebook2019年11月3日より)
ビタミンDサプリメントの摂り方はこちらもご参考に。
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