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【ゲバラ射殺の兵士も治療】米国は世界に武器と爆弾をバラまきキューバは薬と医師を送り続ける(カストロの遺産=医療国際連帯活動)

2月19日「MR・online」
ダニエル・コバリク(ピッツバーグ大学院国際人権教員)
(翻訳・脇浜義明)

 米国はラテンアメリカ諸国に「ウクライナに武器支援せよ」と要請し断られた。NATOは先日、ミュンヘン安保会議でグローバルサウスに「この戦争で中立はあり得ない。我々の味方か、さもなければ我々の敵だ」と決めつけた。ラテンアメリカでグローバル南を象徴する国の一つ、キューバは、武器や爆弾ではなく薬を送っている。(訳者・脇浜)

 トルコ・シリア大地震の被災地に医療団を派遣する式場に、故フィデル・カストロ(キューバの元・国家元首)の写真があった。キューバの医療国際連帯事業の生みの親は、フィデル・カストロだ。2003年カストロは、「キューバは他国に爆弾を落とさず、医者を派遣する」と宣言した。
 カストロは死ぬまで平和連帯運動を続け、存命中に70カ国以上を医療救済した。キューバは2020年コロナ・パンデミックでは40カ国に医療団を派遣。米紙「ニューヨーク・タイムズ」や「タイムズ」ですらa、キューバ医療団を称賛した。

ゲバラを射殺したボリビア兵も治療

 またベネズエラと組んで行った眼病治療では、ラテンアメリカやカリブ海諸国の人々がキューバを訪れて治療を受けた。その中にはチェ・ゲバラを射殺したボリビア兵マリオ・テランもいた。
 カストロは核兵器廃絶運動に努力したことで、中国国際平和研究センターが設立した孔子平和賞を授与されている。また彼は、コロンビア政府と武装ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)の交渉を仲介し、2016年に和平協定を終結、52年間の流血対立を終わらせた。1960年代、仏から独立したアルジェリアを援助した国は、キューバだけだった。キューバは貧困であるにもかかわらず、自国の乏しい資源をアルジェリアに提供した。「物乞いが人助けするようなものだったが、しかし我々は、アルジェリア人民が我々以上に困窮していることを知っていた」と当時の公衆衛生担当大臣のマチャド・ベンチュラが語った。キューバの国際連帯の何たるかを物語る逸話である。 西側は、カストロ指導下のキューバが南アフリカの米欧帝国主義からの解放、南アのアパルトヘイト廃止の闘争で、ソ連と並んで大きな貢献をしたことを知らない。キューバの大きな助けがあったから、ネルソン・マンデラの最初の海外訪問国がキューバだったのだ。「ワシントン・ポスト」紙は、カストロを《アフリカの英雄》と認めた。

チェルノブイリ被曝児童2万4千人を招待

 1989年のチェルノブイリ原発事故の後、キューバは2万4千人の被曝児童を自国へ招待して治療した。その多くは、家族と一緒に今もキューバに住んでいる。
 1991年にソ連崩壊した時、「キューバ革命社会も崩壊するのではないか?」と思われた。しかし、カストロは農業革命などで自給自足を達成すると同時に、世界の貧しい国への援助も継続した。
 トランプ米大統領時代にキューバ制裁・封鎖が強化され、バイデンもそれを引き継いだ。それは、キューバ政府の歳入が1・1兆㌦も減少する財政破局をもたらした。その上、コロナ・パンデミックに襲われたとき、米は薬やマスクの輸入を阻止した。それでもキューバは自力で食糧、薬品、マスクを生産し、困っている国に提供するまでになった。米国がキューバ制裁するのは、そういうキューバの偉業を潰すためである。
 カストロに大きな影響を与えたキューバの革命的詩人ホセ・マルティ(1853~95年)は「この世には2種類の人間がいる」と言った。米国は世界に武器と爆弾を送り、キューバは薬と医師を送っているのである。

(人民新聞 3月20日号掲載)

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