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【アメリカ】民主党内でぶつかる格差是正と大資本の思惑。BBB法案は社会変革をもたらすことができるか

アジャム・バラカ(緑の党活動家)/10月14日付「カウンター・パンチ」

 米国バイデン大統領の大型コロナ対策予算や岸田首相の「新資本主義」は、コロナが明らかにしたネオリベラル政策の矛盾をつぎはぎ的に修理しようとする道化芝居だ。
 前回、バイデン法案をめぐる民主党の内部争いを紹介したが、今回は「より良い復興」(BBB)という社会的投資法案をめぐる党内の争いとその性格を紹介する。(訳者)


 BBB(ビルドバックベター)法案をめぐって、米・民主党内が分裂状態になっている。これを「革新と中道の派閥争い」とする報道は、事の本質を見誤らせるものだ。これは資本主義の危機回避に向けた戦術をめぐる、支配階級内部の争いなのだ。
 事の本質は、BBB法案によって労働者階級に少しばかりの恩恵を与え、心理的に安心させて、反乱に向かわないようにする一派と、そういう譲歩すらも許さない一派の争いである。
 右派(法案反対派)は、「社会福祉的支出はインフレを招く浪費であり、自分たちの階級的利益を脅かすものであり、労働者階級の力を強化するものだ」と主張する。企業への補助金などを別にして、国家の経済や福祉への介入や支出に反対するネオリベラル政策に固守している。
 民主党内左派、とりわけ黒人など被差別人民を代表する左派は、「階級的視点からBBB法案を批判的に捉えるべきである」と考えている。単純にBBBを歓迎するだけであれば、資本の政治的意図・プランに乗っかることになる。

ーー全国民への再配分を主張する大資本家

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