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『コロナパンデミックは本当か?』(日曜社)の書評(末尾に編集部追記)

杉村昌昭(龍谷大学名誉教授/フランス現代思想)

 2020年はテレビが朝から晩まで「新型コロナ」の脅威を画像と数字で煽り立て、人々を不安と恐怖に陥れ続けた一年だっだ。この騒動に多くの人々が巻き込まれ、「新型コロナ」の正体が医学的に不確定であるにもかかわらず、メディアがあたかも確定的事実であるかのごとくに流し続ける情報に右往左往した。 
この本は、そうした「コロナ騒動」の背後にある真実、実際に何が起きているかを真摯に調査し、克明に描き出した出色の科学社会学的著作である。
著者の二人はドイツの医学研究者(感染症や疫学の著名な研究者)なので、コロナウイルスをめぐるさまざまなデータも充実している。しかし医学的見地からのコロナ騒動批判もさることながら、国家権力と結びついたメディア装置がこの騒動にいかに深く結びついているかを分析していて圧巻である。著者たちは、これは「コロナ・パンデミック」ならぬ「メディア・パンデミック」であるとさえ言っている。事例は主にドイツであるが、この権力とメディアの癒着によるコロナ騒動の演出は、ほとんどの先進諸国でもまったく同様に見られる(もちろん日本も例外ではない)ことに読者は気づかされるだろう。特に、政権やマスメディアに抱え込まれた医者や医学者に異論を唱える医者や医学者がドイツで排除される有様を描いている箇所を興味深く読んだ。これはドイツに限らずフランスなどヨーロッパ諸国でも起きている現象であるが、日本では、そもそも異論を唱える医学者が皆無に近いこと(本書の解説を書いている大橋真氏は例外中の例外)は、なんとしたことか。情けないとしか言いようがない。しかし、それ以上に問題なのは、テレビなどマスメディアが、異論どころか、このコロナ騒動の問題点をまったく黙殺していることである。
 この本を読んだら、毎日テレビで流されるコロナ情報がいかに愚劣な犯罪性に満ちているかを痛感するだろう。感染者の増加を大げさに報道しているが、そもそもPCR検査なるものがいかにいかがわしいか(「陽性者」を「感染者」と称しているが、そのうち90パーセントが無症状もしくは軽症)を知らねばならない。つまり通常のインフルエンザとかわりはないということだ(著者たちは「中くらいのインフルエンザ」と考えているようだ)。したがって、PCR検査による「新型コロナウイルス探し」をやめて、通常のインフルエンザ対策のための医療体制を充実させれば、騒動は収まることを本書は示唆している。しかしそうなったら困る勢力がいて、この勢力が騒動を演出しているということである。なぜ困るかといえば、製薬企業の出番が少なくなるからである。すなわち、その勢力とはワクチン開発に精を出す製薬企業であり、それをバックアップする新自由主義勢力に他ならない。この勢力が各国政権を政治的に利用して(各国政権にとっても反体制派を鎮圧するための治安対策に利用できるので好都合)、世界を意のままにしようとしているということだ。
 この本を読みながら、PCR検査を発明してノーベル賞を得たキャリー・マリス(2019年8月に死去)が、生前「PCR検査は感染症の診断に用いてはならない。政治的に利用される恐れがあるから」という言葉を遺していることを思い出した。日本のあるクリニックの医師は、「マリス博士が生きていたら今回のコロナ騒動はなかったと思われます」とブログに書いている(日本にもまともな医学者がいて正直ほっとした)。
 まさにこの政治的利用を行なっているのが新自由主義勢力であり、WHOに多額の出資をしている(資金の80パーセント)国際製薬企業シンジケートをフル活用し、「グレートリセット」と称して新自由主義の延命を図っているのだ。つまり、ネオリベ製薬企業によるワクチン開発を軸に各国政権に「ワクチン接種ファシズム」を肩代わりさせ、世界支配を続行しようとしているのである。
 接種はすでに始まっている。日本でも2021年はオリンピックに向けたワクチン接種の大波が押し寄せるだろう(ワクチンを接種しない者は、マスクをしない者同様、「非国民」だと言いわれかねない雰囲気がつくられるだろう)。
アメリカのファイザーなどの製薬企業が開発したワクチンが「遺伝子操作によるワクチン」であること(効き目も定かではなく、なによりも副作用がいつどのように現れるかわからない、と多くの識者が指摘している)についてマスメディアは完黙している。かつて「遺伝子組み替え作物」(GMO)に多くの人々が反対したことを思い起こそう。本書は欧米で現在接種されはじめているワクチンについても、その危険性を詳しく説明している。
新自由主義勢力が国際製薬企業や先進各国政権と結託して「コロナ危機」を演出してつくりだしたこの「世界的ファシズム戦略」との戦いに向けて、われわれが「良識の陣形」を組むために、本書は多くの重要な情報を提供してくれる。そして何よりも、テレビなどマスメディアの洗脳情報に振り回されず、「自分の頭で考える」ことによって未来を切り開くことの重要性を本書は示唆している。

 この書評に対して以下の感想が寄せられました。また、twitter上でも同様の批判が複数寄せられているため、編集部の見解とともに紹介します。
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新型コロナ禍、すなわち「コロナ・パンデミック」は現に起こっている事実であり、書評者のいう(本に書かれているという)「メディア・パンデミック」ではありません。また、PCR検査を否定していますが、同検査は新型コロナへの感染を判別するために現状では不可欠な医療行為であり、上記のような意見を私は聞いたことも見たこともありません。
ワクチン開発についても確かに製薬企業ファイザー社のようなグローバル企業(多国籍企業)が新型コロナウイルスを「商売のタネ」としてワクチンの製造や販売に強力なテコ入れはしているでしょうが、何らエビデンスのない陰謀論とレベルが同等で、極めて信憑性の低いデマです。
私はこんな信頼性の低い書評を人民新聞がnoteに掲載したことに強い懸念を持っています。ネットや現実の世界で広まってしまうのも時間の問題だと思っています
私としては、人民新聞の責任として、何故あのような陰謀論に過ぎない書評記事を掲載したのかという経緯の説明と、何らかの対応をなさる(例えば医療専門家の方に反論を書いて貰う等)のが必要なことではないかと考えています。
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編集部より
 集団免疫論は、人民新聞紙上でもフランスの重光さんへのインタビューという形で紹介したとおりですが、現在のワクチン至上主義ともいうべき事態には、大いに疑問を持っています。教育・保健・医療を民営化し、公的医療体制を破壊してきたのは、新自由主義勢力(日本では、小泉首相に始まる自民党政権)であり、その結果として多くの人命(特に貧困層・マイノリティ)が犠牲となっています。重光さんも公的医療体制の整備こそが抜本的な対策だとしていますし、そうした観点から「集団免疫論」を紹介しています。
 ワクチン至上主義については、「公的医療体制の整備」を棚上げしたうえで「唯一の解決策」かのように宣伝されています。杉村氏の書評のなかでもワクチン至上主義の背景についての記述は、当を得た分析だと考えています。
 ただし、編集部は、PCR検査=無用・弊害論は、採っていません。感染の実態を知ることは対策を講じるうえで必要不可欠です。ただし、同検査の精度(感度=7割程度、特異度=99%)とともに、無症状の感染者を隔離・治療する必要から医療逼迫が起きているのも現実であり、なおさら「公的医療体制の整備」こそ急がれるべきだと考えています。
 新型コロナを「中程度の風邪」と軽く見ることは、危険です。予防原則に立って最悪を想定しながら対策は練られるべきであると考えています。


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