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内部告発 十三市民病院③/大阪府知事・市長のでたらめなコロナ医療政策/委託会社労働者を差別するな/十三市民病院労働者 安藤 蘭(仮名)

 大勢の市民が政府の新型コロナ対応の遅れで被害を被り、生活が困難になっているのに、国も大阪市も対応を急ごうとしない。本紙前号で大阪市と松井市長への直談判の記事を掲載した。私も半日休暇を取って駆け付けた。問題を整理し、その後の経過をお伝えする。

 私は大阪の十三市民病院の中の委託会社の非正規社員だ。4月に吉村府知事が十三市民病院に突然現れて、5月1日からコロナウイルス指定病院に決めてしまった。
 その上、医療物資が足りないのに市税を使わず、「使っていない雨合羽があれば寄付して」と全国に呼びかけ、30万着を超える雨合羽を集めた。市役所職員は他の仕事を放り出して、雨合羽の仕分けに追われている。
 雨合羽は医療用に作られていない。雨合羽を使用したインドネシアでは、院内感染が起きた。私が雨合羽使用に反対するのは、医師と看護師を感染から守らなければ、他の病院内に勤める従業員にも感染する恐れがあるからだ。感染した医師たちと同じ従業員入り口やトイレ、食堂、売店、エレベーターなどを使えば、院内感染が広がる。
 医師や看護師以外の病院に勤める労働者は、「委託会社」の非正規社員が多い。私たち委託会社の社員は、患者に直接触れないという理由で、医師と看護師が受け取る1日4000円の危険手当を受け取っていない。その上、感染しても使い捨て。委託会社の社員は滅菌、清掃、警備など病院には絶対に必要な職種であるにもかかわらず、重視されていない。委託会社は入札で決められ、社員を解雇しても何も補償しない。社員は5年に一度、仕事がなくなるかどうかの恐怖にさらされるのだ。
 おまけに委託会社の社内でも、正社員・契約社員・パート・バイト・派遣と区別があり、それぞれ退職金やボーナスの支給に大きな差がある。どこまで差別するのか?
 十三市民病院に勤める事務員が、病院の物品不足などをSNSで告発をした際に、松井市長から「何らかの形で対応する」とメールを受け取った。そして吉村府知事は「コロナ義援金」として、10億円以上の寄付を集めた。それなのに、いまだに支払いを渋っている。
 さらに自分のお金でもないくせに、「患者に5回以上触れた社員にだけ支払う」と根拠のない条件を設定した。告発した事務員が患者に5回以上触れたとは考えられない。そして、告発者は自らの委託会社からSNSを削除させられた。

危険手当出さず 感染したら解雇
労働者差別・分断許さない

 一方で、私たちの訴えとSNSの力で、十三市民病院には多くの医療用ガウンが寄付されている。押し付けられた雨合羽を使用しなくていいと思うと、本当にほっとする。
 私の会社も、コロナ応援金をほんの少しだが支払ってくれた。しかし、これは民間ではなく、行政がやるべきことだが、大阪府は善意や助け合いにばかり頼っている。
 院内感染や院内クラスターを起こせば、地元のための市民病院には戻れなくなる。危険な雨合羽は、病院側も受け取りを拒否するべきだ。
 私は松井市長に直談判した件で、病院の職員から「市役所の職員に怒鳴るな」と問題をすり替えられ、凄まじい批判・いじめを受けている。彼らは私に「嘘つき」「活動家」のレッテルを張り、「すぐに噛みつく」と非難する。しかし、病院を裏で支える委託業者の非正規社員たちの存在を認めさせるまで、声を上げ続けたい。
 私たちには、「医療従事者への拍手」も「大阪城などのライトアップ」も必要ない。市長が「無いよりマシ」と言い放ったシロモノで未知のウイルスに感染する危険にさらされている現状を変えるために、大阪府のHPに「全病院労働者に危険手当を払え」「医療用のガウンを購入せよ」と声を送ってください。
 コロナ指定病院内で働く誰にでも感染リスクはある。大阪市は職業差別・委託会社社員差別をするが、コロナウイルスは誰も差別をしないのだ。

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