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内部告発 十三市民病院/マスクも危険手当も支給されない委託労働者/内部告発の「犯人」探しより 万全な院内感染予防策を/十三市民病院労働者 安藤 蘭(仮名)

 大阪市役所に集まった雨合羽は約30万枚。実際、医療センター(都島)に運ばれてきている写真がSNSに出ていました。私が医療センターで勤務する同僚の看護師に様子を聞くと、「ビニールのエプロンがないから、カッパを使っている」と聞いて、情けなくなりました。
 医療センターは、PCR検査を実施して、重篤なコロナ患者を中心に入院させています。その拠点病院がこの有様なのです。
 十三市民病院でも、SNSを通して内部告発が出ています。なかでも、委託業者の社員たちは、「私たちと正社員の仕事のどこが違うの?」、「病院も会社も何もしてくれない! 誰か助けて!」と悲痛な声があがっています。
 私も、この入札による「委託」システムが市民病院の中にあること自体がおかしいと思います。原発作業員と同じく、下請けや委託は使い捨てです。市の正規職員は1日3000円のコロナ危険手当が支給されますが、同じ病院内で勤務しながら業務委託されている清掃・警備・受付・リネン・滅菌業務などは、「患者に直接触れない」という理由で支払われていません。 
 しかし案の定、十三市民病院では、その「委託業者」の社員からコロナ陽性患者が出ました。患者に直接触れなくても感染は広がるのです。また、PCR検査をしてもらえず、体調不良のまま勤務を強いられ、後で陽性と判断された委託社員もいます。十三市民病院は、最初に事務職員に陽性が出た時点で、病院を消毒し、希望する職員には全員検査をするべきだったのです。
 それなのに、「濃厚接触してない」、「家族からの感染」、「感染してから勤務してない」と、病院としての感染防止義務を怠りました。その結果、他の委託社員(同じ部署ではない)に感染した可能性もありえます。靴底からの感染もあるからです。
 これについて、委託社員がSNSで告発すると、会社が削除を命令し、犯人探しが始まりました。今や、全員が自分の投稿を削除しています。SNSへの投稿は、ルール違反なのでしょうか? もしそうだとしても、弱い立場で誰にも頼れない人たちが投稿する愚痴を制限する権利などあるのでしょうか? 吉村知事は、病院勤務の私たちのために、大阪城のライトアップをしたそうですが、十三から大阪城は見えないし、見ても不安は消えません。危険手当も説明も何もない病院に何人の従業員が残るのか? 勇気ある告発者を排除して、ただただ、我慢を強いるような病院・政治家は必要ありません。
 委託会社の中でも事務系の人たちは、「医療に直接関係ないから」と、マスクも配られていません。病院には、海外からの応援物資も届いていますが、配られるのは市の職員や正社員だけです。一方、委託会社の社員にはマスクの数を制限したり、渡さなかったりしています。職業差別・委託業者いじめです。
 病院の裏方として、毎日患者さんと病院を支えている私たちのために一緒に声をあげてください。

雨合羽

集められた雨合羽を仕分けする大阪市役所の職員

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