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大阪市役所コロナ補償交渉 松井市長に直談判/委託の医療労働者に危険手当を。住民票のない野宿者に給付金を

「合羽で仕事をさせないで」の声に
「ないよりマシ」と松井市長 逃亡

 本紙既報の、コロナ被害生活補償を求める大阪市役所座り込みと要請交渉は、ほぼ毎週月曜日に続いている。4月27日からは大阪府庁でも交渉を開始した。
 誰でも要求できる拡大交渉として、また炊き出しなども行う広場として、参加者は増え続けている。5月11日は、大阪市役所に約50名で、①一方的にコロナ指定病院にされた十三市民病院の委託労働者の待遇改善、②住民票のない野宿者や不安定労働者にも10万円即時支給、③緊急事態宣言と公共施設の閉鎖は不当であり、開放を求める、などの要求を新たに行った。


 ①の病院待遇改善交渉のため、市役所5階の健康局へ階段を上がったところ、松井一郎市長の囲み記者会見にぶつかった。双方ともに驚くなか、まず病院労働者が「(市長が募集した)雨合羽で仕事をさせないで」と叫んだ。市長は「ないよりマシです」と開き直り、参加者は怒り心頭。

 「当事者の声を聞くべき(参加者)」「会見の邪魔をするな、正当な手続きを踏め(市長)」。「病院にマスクが届いてない(病院労働者)」、「送った(市長)」「手元に無い(病院労働者)」と応酬。病院には届いたとしても、非正規の委託労働者には渡されていないのだ。答えに窮した市長は、2分ほどで会見から逃亡した。


 「逃げるな松井」の怒号のなか、残された記者たちに病院労働者が「委託労働者も医者や看護師と同じ人間です。コロナリスクのなか、誰が手術後のガウンを洗っていますか。なぜ私たちだけ危険手当が払われないんですか。差別をやめて」と訴えた。

 さらにコロナの影響で仕事が激減したフリーランス労働者も会見パネルの前に立ち、「現金補償は、手続きでたらい回しにされ、いまだに支払われない。市長が先頭に立ち補償を」と訴えた。 その後も「市長、出てこい」と2時間座り込み、慌てた市は通常なら出て来ない課長級が対応した。全てyoutubeで流れ、反響を呼んだ。市長のトップダウン政策と現場労働者のずれが明らかになったからだ。


 市長は5月18日だけ、会見の前日告知と会見自体をやめた。次回要請行動が予定されていたからだろう。2度目の「逃亡」をといえる。

野宿者への現金給付は急務
市のゼロ回答に怒り


 5月11日は、「釜ヶ崎センター開放行動」などが、市民局総務部との交渉を行った。日雇い仕事がなくなり、ネットカフェも閉鎖、家も仕事もない野宿者が全国で増えている。10万円給付が急務で切実だ。ところが行政は、野宿者が持てない「住民票」を給付条件に挙げている。


 東京では、渋谷や山谷の野宿者当事者たちが行政交渉を始めた。大阪市との交渉でも、①住民票確認不要、②即時現金での手渡し、③役所窓口での簡素な手続き、の3点を要求した。市は「検討する。15日に文書回答する」としたが、後日、18日に延ばされた。


 回答の5月18日、13時から、市役所前広場で青空交渉が行われた。役所入口には市職員や公安警察が立ち並び、厳戒態勢。市は「今日は文書の回答を渡すだけで、質問には答えられない。質問に答えるのは協議の場で行う」と繰り返し、内容は何一つ説明しない。また3点の要求の回答も、単に国が定めた規程に従って対応すると述べただけ。つまり、住民票がなければ支給せず、窓口対応もしないと言ったに等しい。全く検討していない。


 野宿者・支援者らは「釜ヶ崎の仲間はスマホもパソコンも住所もない。10万円がどれだけ切実に必要なのか、理解が全くない」、「住む所もない人間にこんな仕打ちをするのは許せない」、「大阪市はみんなが集まる釜ヶ崎のあいりんセンターを勝手に閉めて知らん顔。私らは電気も水道も寄り場も失い、それでもみんなで支え合ってきたんだ。なんでまた意地悪するんだ」と次々発言。2時間の押し問答の末、次回は40人は入れる部屋を用意させることを決めた。


 終了後の参加者まとめ集会では、「大阪は補償をせずに『出口戦略』と称して、自粛解除をはじめた。市は約1600億円もの財政調整基金(財源に余裕がある年度に積み立てておき、災害などで財源不足が生じた年度に活用する資金)を残しているが、都構想に残すため補償に消極的だ。釜ヶ崎も再開発にさらされている。開発から人命優先への抜本的な転換をさせていこう」という発言も出た。


 大阪市や府との交渉・抗議は続く。今後の予定は6月1日12時〜大阪府庁交渉、8日13時〜大阪市役所交渉だ。(編集部・園)

市役所でメディアに訴える病院労働者▽

2面市役所上

現金給付求めて野宿者と仲間が▽

2面「現金即時支給を求める野宿者と仲間たち」


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