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ピンキリだけど「欧米系外資企業で働くってどうよ?」にお答えします。

こんにちはJinです。今回は社会人経験ない学生向けくらいの内容で、欧米系ってどうよってことを書いていこうと思います。

前提として、僕は日本では日本企業でしか働いたことありませんが、シンガポールではフランス系金融グループでの経験と、現在進行形で台湾では欧米系金融グループで働いているので、日系と欧米系の違いは実感していること、逆に在日本の外資企業の経験はないですし、業界が違えばまた異なるってのもあると思います。

外資=欧米系ではない。どこの国からコントロールされているか

まず、外資系企業の定義は、国内企業に対して外国資本がコントロールしている企業ってことなので、近年力をつけている中国企業、韓国企業、台湾企業が日本企業を買収して外資企業になったというケースもあるので、欧米企業に限りません。便宜上なのか、狭義の意味で外資=欧米系企業とイメージされている人も多いかもしれませんが、先述のように日本国内で外資といえば色々あってフワっとしすぎているので、もう少し絞った言い方のほうがわかりやすいのかなと思います。

特に海外で働いている人との会話のコンテクストの中で、「外資系」って響きは違和感あることがままあります。海外においては日系企業も外資系になるわけなので。

ちなみに現在僕が働いている会社は元々米国発祥であったものの、10年程前に吸収合併や税制の関係で英国に本社を移しているものの、グローバルの社長は米国拠点なので、欧米企業と表現してます。そんな関係でこの記事は台湾系でも中国系でもなく、欧米系企業に絞ってお話させて頂きます。

欧米系企業は基本的に裁量と自由がある傾向

日本企業はある意味親切という側面もありながら、マイクロマネジメントを好む傾向にあるので、ホウレンソウや進捗確認、制約の中で誰かと確認しながらの許可とりながらのプロセスにわんさか時間が取られます。1から10まであるプロセスのうち1,2,3,4,5,6,7,8,9,10と順番に決まった手順で管理される傾向にあると思う。

一方で、欧米系企業は非日本人である上司が日本語わからないから実務の詳細まで突っ込まないということや、ある意味丸投げということもあるかと思いますが、基本的には部下に裁量と自由を与え、1から10のプロセスのうち、1~9は省いて結果の10だけ報告すればよく、大型案件だけ案件の実現可能性を確認するためだけに7とか9のプロセスも報告する必要があったりはしますが、あとは自分で考えて自由にやってくれという完全結果主義の上司も結構います(僕の現在の上司がこういうタイプ)。日本企業と比べて無駄なこともなくはないが少ない傾向で、そのあたりで余計なストレスを抱えなくてもよい。

日本企業の場合は、役職以外にも社歴での「先輩後輩構造」があって、先輩にアドバイスを受け、指導してもらうっていうのが新入社員では当たり前になっていると思う。新入社員としても「先輩と課長と部長で言っていることが異なることがあって困る」というのはよくあることで、そういうことを解決していくには人間関係に気を遣いながら進める必要があるのでかなり面倒である。

欧米企業は部門には一人のボスがいて、その一人のボスの言うことを聞いていればよく、部門内のその他の役職や入社年数が長い先輩達も基本的にはただの同僚であって、先輩たちには後輩たちに指示・命令する立場にない。だだの先輩・同僚はそういう意見もあるんだね程度でボスの言うことだけ聞いていればそれでよいのである意味ラクである。

先輩・同僚とは並列だから社内はフレンドリーだが、一方で、ボスが持つ権力が大きく、日本式だと思われがちな「上を立てる・持ち上げる」というスキルは重要であり、むしろ欧米系のほうがボスを持ち上げるスキルが上手くなければ生き残れないと思う。

実務の自由さと会社としてのトップダウン構造

欧米企業は実務のうえでは自由と裁量がある傾向であると言ったが、一方で、決まった会社の方針のようなことは異国の本社から降ってくる。それも突然、各国の事情も考慮せず、トップダウンで有無を言わさずなことがしょっちゅうである。

2社での実例を挙げよう。在シンガポールのフランス企業で日系部門で働いていた。当時の部門には13~14人いたが、採算性の問題となり全員バッサリ切られるかたちとなった。対象従業員への告知は2か月前で、シンガポールは労働法が雇用主に有利なのであっさりだった。

昨年のコロナ禍で欧米各国での運営に不安がよぎった5月、グローバルの社長が世界全体の当社グループ社員の給料を一律20%(一部の高給取りについては50%)削減との発表し、台湾法人はビジネスに影響がほぼなかったにも関わらず、「我々グローバルカンパニーは、会社と従業員を守るために痛みを分かち合う」ときた。台湾法人では社内でも給料が低く生活に影響がでるジュニア・アシスタント職は削減対象免除で、これを食らったのは中堅以上、年収NT$xxx万以上の約70%の社員だった。

でも、欧米系金融はリーマンショックのときもそうだが、基本的にファイナンシャルクライシスに陥ったときはレイオフをして切り抜けるのが常套手段であったにも関わらず、今回のコロナショックでは「コロナを原因として誰も職を失わせない」という今までとは異なった方法で押しのけた。グローバル全体で一気にやったものだから各国現地の労働基準法なんかもグレーゾーン超えていたところなんかもきっとあったはずだ。業界トップ企業でもそんなもんなのである。

結果、不幸中の幸いで思ったより業績がガタ落ちではないということが早期にわかり、給料削減は2ヵ月で終了。削減されていた分は後から小さな利子をつけて補填された。

一気にやって、ハレーションが起こった部分にはすぐさま対応はしていた。とにかく決定は迅速で「走りながら考える」的な傾向は日本企業にはかなり稀だと思う。

普段はある程度の自由と裁量権を享受できる代わりに、いらない人材から真っ先に切られるというリスクも日系企業よりも高いというのは感じているところである。

欧米系金融、特に僕の業界なんかはレベニュー(売上高だが、製造業でいうところの粗利にあたる)に対する人件費が50%~60%なので、大型不況なんかは真っ先に人件費カットに走るしかない。

一般的に台湾人はお互いの給料を教え合う文化だというが、うちの会社の場合は雇用契約書にも給料の口外禁止が盛り込まれていることや、同じ役職でも人によって倍以上差があることがあるらしく、牽制し合っているので、社内で給料教え合うって文化ではない。ただ、このときにxxx万以上が削減対象となったので、やっぱりみんなそれくらいはあるんだというのは再確認した。

日本国内の外資系はローカライズされているので、結局日本企業と大差ない部分もあると思う

在日本の欧米系企業でもピンキリだと思いますが、基本的に在日本の欧米系企業はジャパナイズ(日本テイストに現地最適化?ローカライズ)されているということで、英語はほぼ使わなくても生きていける社員が一定数(もしくは大多数)いますが、日本国外の欧米企業で日本人が働くとしたら、まず間違いなく英語は必要です。(BPOコールセンター除く)

僕は在日本の欧米企業で働いたことはありませんが、現在の会社でもシンガポール時代での経験でも、日本支社に訪問したり、日本支社の人達と協力して案件を進めていくことは多々ありますが、英語は出来る人は出来るけど、出来ない人も結構います。外資と言っても労働集約型であれば状況は異なるかもしれないが、知識集約型であるとやはり英語が出来るのは当たり前な人が重要なポジションを取っていくのが現実のようです。

海外の欧米系企業で日本人が働く場合

海外の欧米企業で日本人が働く場合は大きく分けて①海外現地の日本人・日系企業向けにサービスを提供する要員、②現地人と同等以上の語学能力と特殊能力があり、現地人と海外顧客向けにサービスを提供、もしくはマネジメント等があります。言うまでもなく②は高い語学能力と特殊能力が必要で、ここに入る日本人はかなり稀です。①②共通して英語圏以外の国であれば英語に加えて現地語の習得も必須となる場合が多いと思います。

僕の場合は①ですが、主に日本人向けのサービスを行いながら、最近は少しづつ非日系ビジネスにも絡むようにはしています。ポートフォリオ理論としては日系が全て上手くいかなかった場合へのリスク分散的観点と個人の経験・能力向上のためです。大企業内の個人事業主になったような感覚です。

日本人として第三国(僕の場合は台湾)の欧米系企業で働く場合は、現地人の同僚と同じことだけしていたらほぼ劣等生となってしまうので多少プラスアルファの努力が必要だと思います。


海外の欧米企業で働くメリットとしては

①日系業務はほぼ独占となるので社内での差別化が出来る、②少人数でやっているので(もしくは他にいないので)会社の代表として現地の日本商工会議所に参加出来、日系企業現地法人トップクラスとの人脈が形成出来る、③前述に付随して裁量権が大きくなる、④自社の日本法人は本社ではなく、姉妹会社、つまりは法人格は同格なので、社内で日本法人の顔色を伺うということは少ない (ただし、日系ビジネスをする上では顧客の本社を握っているのは日本法人だったりすること、また、法人格は同格でもシニアが多いのは日本なので結局は先輩であるというのはある)。⑤場合によっては給料や福利厚生などの待遇面は日本法人と比べても大して変わらない。(うちの会社の場合、むしろ福利厚生は日本法人より台湾法人のほうがよいような気がする) ⑥他国のグループ会社に転籍や他社の欧米企業への転職は敷居が低い。⑦やる気と実力があれば不自由しない待遇には手が届く(と思う) ⑧個人的に、総合的な経験としては日本国内よりも自己の成長には繋がりやすいと思う。

といったところでしょうか。他になにかあれば逆にアドバイスください!





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