人生観

人生はイカダである。人間は自分が生まれきた意味を知らない。そしてその後の人生は激しい川のような環境により決まる。イカダから落ちないように人間は試し続ける。その努力によって進行方向を変えることは可能だがイカダが止まることは無い。つまり意志によって変わることは限られており、そのわずかな意思さえも環境によって形成されたものだ。自らの意思で決定的に変化を作れる唯一の方法はイカダを放棄して川に飛び込むことのみである。ゲームオーバーの文字が目の前に映し出されて、もうこれ以上終わりの見えないゲームを続ける必要もない。人間はこの権利を持っている。それなのに何十億人は意地を張ってゲームをやめない。そんな人間になってみたかった。私はイカダに寝そべって空を見つめている。空は灰色で、過ごしづらい気温、川は魔女が調合した薬のようであり、その川の両端は気味の悪い虫が多いジャングル。なんて憂鬱なんだろうか。帆を動かしてジャングルに突っ込んだらたまったもんじゃない。そんな風に思いながら今にも雨が降り出しそうな空を見つめている。それが私の人生であった。

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