草野繁美

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一昨日のこと。声を掛けてくれたあなたへ。

2回目の引っ張り上げたところからエレベーター前まで、どうやって高齢男性が辿り着いたか、今ポロっと思い出した。 実はここが一番大事なところかもしれない。 容赦なく雨はジジイと私に降りかかり、ジジイは転んでドロドロ、私は跪いてドロドロ、合わせて4ドロとなり、傍から見たらただの酔っ払い同士に見えたかもしれない。 ②で書いたように、リーマンと思しき中年男性は、私たちの普通じゃない状況を把握しながらも通り過ぎて行った。こちらも手伝ってと口に出したわけではないから仕方ないのかもしれない

    • 一昨日のこと。③おわり

      脳梗塞になり、麻痺が残ってしまったのは男性のせいではなから本当に同情するし、手助けもしたい。だけど率直に言って「今じゃない感」が半端ない。何者かに私の良心が試されているとしか思えない。 そう言えば、由巳姐は7階から降りて来ないが、一体どうしたのだろう。 無事なのか。 怖い。 あと1回、もうこれで最後だから、と自分に言い聞かせ、力任せにジジイを引っ張り上げた。 ジジイあんた、私を引き倒すつもりなんか!さっきより体重かけとろうが!! 「もうそれ以上引っ張ったら私も倒れるけんね!

      • 一昨日のこと。②

        「ありがとうね。俺、前に脳梗塞ばしとるけん転んだら立てんとよ」 脳梗塞だったのか。 それで呂律が回らなかったのか。 おっさんをただの酔っ払いと決めつけ、色々ためらってしまった私は心が汚れすぎているのか。 男性は道路を横切った時と同じように、またのろのろと歩き始めた。 由巳姐さんが 「おうちは近所ですか?大丈夫ですか?救急車呼びますよ」 と何度も声を掛けたが、男性は 「よか、近くやけん」 としか言わない。 気を取り直し、私も 「雨も降りよるし救急車乗りまし

        • 一昨日のこと。

          誰も望んでいないわたくしの自己紹介を数回に分けて(1回目はすでに公開済)書いていく気満々だったのですが、一昨日、自分では消化しきれない出来事が起きましたので先にこれを書きます。 私はシフトが一緒の時、必ず乗せて帰る仲間がいるのだけど、その夜はザーザー降ってて行き交う車のライトが路面に反射するから「老眼鏡+2.5」使用中の私には余計に辛かった。 車線はないものの、2台が余裕ですれ違えるほどの道の路肩に車を止め、いつものように心理カウンセラー2級の資格を持つ由巳姐さんの「生き

          3年放置で初投稿

          なんか書いてみようかな。 国語の教師が私たち生徒に「蒲田行進曲」を薦めたわけではなかったけど、 えらく興奮して良かった、よかったって言うもんだから、 何となく気になって当時中1だった私は読んでみたんですよね。直木賞も獲ってたし。 買いに行った覚えはないから、多分、また母が先走って買い与えたんでしょう。 で、読んでみたら13歳の子供心にグッサリ刺さってしまい、刺さったまま今に至ります。 環境のせいとか、色々理由をつけるのは得意ですけど、そんなの最早どうでもいいんです。思春期

          3年放置で初投稿