客観的世界の崩落~ユクスキュル『生物から見た世界』
生物が世界を認識する「環世界(Umwelt)」という挑戦的なモデル提示によって、我々が見ている世界の虚構性を明らかにした超有名本。
人間とモノ自体の転覆宗教に限らず、人間を他の生物に比べて特権的な存在として一段棚上げする論は根強い。進化論が受容されはじめ、生物学の進展も著しかった20世紀初頭においても、その認識は未だ健在であった。
例えば、デカルトは『方法序説』において、魂を持った人間と異なり、動物は自然法則 ―デカルトの「自然(physis)」は絶対的で一なる神の概念と