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根源を問う~哲学のススメ

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哲学書のレビュー集です。自身、専門家ではないので、比較的読みやすい本の紹介や、読みにくいものであっても非専門家の言葉で噛み砕いていきます
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2022年12月の記事一覧

歯車ぐるぐる、はたらき生きる霊性~シモーヌ・ヴェイユ『工場日記』

はたらく、とはなんだろう。日銭を稼ぐ手段?自分の夢の叶えるための階段?それとも、他者とのつながりを感じるための行為だろうか。仕事がほとんど人生そのものと一体化している人だっている。 そういうことを、工場労働者としてはたらきながら突き詰めた哲学者がいた。大戦の時代を生きたフランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユである。 シモーヌ・ヴェイユと工場労働~「狂気の沙汰」の哲学者 パリの高等師範学校を卒業したのち哲学教師をしていた彼女は、突如休暇を取って知り合いの機械工場に飛び込んだ。