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根源を問う~哲学のススメ

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哲学書のレビュー集です。自身、専門家ではないので、比較的読みやすい本の紹介や、読みにくいものであっても非専門家の言葉で噛み砕いていきます
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2021年11月の記事一覧

マルクス資本論入門の快作〜『超訳・資本論』

言っちゃ悪いが、まず著者の経歴が怪しさ全開だった。 ゲームクリエイター出身の投資家。 2013年には韓国のセキュリティソリューション企業、株式会社アンラボの大株主のひとりだった。 KAIST(旧称・国立韓国科学技術院)大学院卒(工学修士)。 「Kingdom Under Fire」シリーズなどのゲームの企画・プログラミングに参加。 様々なプロジェクトの経験から、組織作り・リーダーシップを研究するようになり、ビジネス・リーダーシップ関連の著作を多数執筆。 主な著書に『超訳 孫

統治と差異~『帝国』『マルチチュード』ネグリ/ハート

その名を、〈帝国〉という。 世界を支配しつつある、グローバルな政治権力のことである。 人々の行動を規定し、万人を従属させながらも、それは目に見えない。制度や法・社会的なルールのうちに巧妙に織り込まれながら拡大を続け、いまも片時も休まずに全世界を管理=監視しつづけている権力。 現代ヨーロッパを代表する政治哲学者アントニオ・ネグリが、弟子のマイケル・ハートとの共著『〈帝国〉』(2000)で指摘したことである。 話題を呼んだ『〈帝国〉』の問題提起 その権力は形を持たない。従