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思想で読み解く企業経営

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単なるビジネス書ではなく、企業や事業の構想や理念など、上流にある思想的な部分を、人文学における思想などと絡めて読める本を紹介した記事を集めます
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2020年2月の記事一覧

大衆文化を生む経営~『セゾン 堤清二が見た未来』

「セゾン」という単語は知っていた。ただ、たった1代で、200社-4兆円にも届く巨大企業グループを築きあげた異能の経営者堤清二については、本書を読むまで寡聞にして全く知らなかった。 著者の日経記者時代の取材と、豊富なリファレンスに基づくセゾングループの社史であり、堤清二の解剖記録でもある本書。ビジネス書としてはまぁまぁな出来であるが、財界/民間から国と社会の文化をどう睨み、どう導いていくかを示す文化論としては打って変わって相当面白く読めた。そして、”ビジョナリー”堤清二のスケ

『論語と算盤と私』朝倉祐介

(ダイヤモンド社) 企業経営についての本ではあるが、企業における経済活動とは何か、「経営する」とは何か、と言った視座から、歴史的な系譜も交えながら、よい経営の在り方について紐解いていく。 経営に直接携わる人だけでなく、日々の実務に追われる事業リーダーや役職者にとっても、自身の活動をその根っこの部分に立ち戻って見つめ直すことができる良書。