道理と中庸の経営哲学~渋沢栄一『論語と算盤』
やや古めかしく晦渋な本だが、資本主義の虚しさと手元業務の虚しさの狭間でグルグルしてしまうビジネスパーソンは、本書が1つよすがとなるかもしれない。
まず、著者の渋沢栄一(1840-1931)は、日本経済の父とも日本の近代資本主義の父とも言われている人物である。日本初の民間銀行である第一国立銀行(現みずほ銀行)や東京証券取引所、理化学研究所などを始め、帝国ホテル、キリンビール、東急、東京海上、王子/日本製紙などなど、渋沢が設立に携わった企業は500社以上に登る。青年時代にフラン