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#遍路道04 イケオジが教えてくれた「喜捨」と「恩」

「喜捨って知ってる?」

偶然宿を共にしたイケオジと、今日は1日一緒に遍路道を歩いた。

お遍路さんには「お接待」という文化があり、歩いていると街の人が声をかけてくれて、食べ物や飲み物をいただくことがある。

ありがたいことに、ぼくもこれまでの道中で本当にたくさんのものをいただいた。(写真以外にもたくさんもらいました)

泊まった宿で「お昼用に」ともらったおにぎり
「持って帰って」といただいた柿
「休憩していき!」と寄らせてもらったときにいただいた鳴門金時

お接待をいただける機会があれば、イケオジはすべていただくようにしているという。

その理由が、「喜捨」だ。

仏教において喜捨というのは、「自ら喜んで財や所有物を僧侶や貧者に施す行い」のこと。喜捨を行うことで、自らの執着を滅することができる尊い行いとされている。

「施しを断るというのは、相手から喜捨の機会を奪うことになる」

イケオジは以前、別の人からそう教わったそうだ。それ以来、施しを断ることはしなくなったと教えてくれた。

「それに、気持ちよく受け取った方が、施す側も気持ちがいいよね」

爽やかな笑顔でそう話すイケオジ。

友人から「飴いる?」とか「ジュース奢ろうか?」といった施しの機会がある際、「あ、大丈夫だよ。ありがとう」と断っていたりしたのだが、今後は「いいの?!ありがとう!」に変え、すべて受け取ろうと決めた。

ーーー ✂︎ ーーー

イケオジはさらに、「恩」についても教えてくれた。

「もらえる恩はすべてもらっておきなさい。そしていつか自分に返す余裕ができた時、もらった恩を別の人に返してあげるといいよ」

かつてお遍路さんをした時、とあるおじいさんから1万円もらったことがあったという。

すべて受け取るようにしているとはいえ、さすがにそんな金額はいただけないと初めは断ったそうだが、近くにいた娘さんが「どうせ使い道もないし、もらってあげてください」というので、ありがたく頂戴したそうだ。

これまで台湾からきたという旅人にご飯を奢ったり、お腹を空かせている若者にご馳走したりしたことがあったというが、それはあのときいただいた恩をただ返しているだけだという。

たくさんの恩を受け取ることで、よりたくさんの人に恩を返すことができる。

だからこそ恩をいただける機会には、「ありがとう」と言ってすべて受け取る。

「喜捨、そして恩について勉強させてもらった今日は最高の1日だな」

そう思いながら歩いていると間もなく、大粒の雹がすごい勢いで降ってきた。

・・・晴れの日もあれば雹の日もあるさ。人生それがいい。

明日はどんな1日になるかな。

今日も読んでくださってありがとうございました。それではまた明日。

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