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#遍路02 苦労や不便は黄金スパイス。あずまやで出会ったイケオジ

「昨日は通夜堂に泊まって、今日はここに寝るよ。明日は流石にお風呂に入りたいから宿に泊まろうかなと思ってる。基本は3日に1日泊まれたら十分いけるね」

あずまやと言われる休憩所で話をしたイケおじは、こう話してくれた。

今の時期だと日中に長距離を歩いていても、そこまで汗だくになるわけではない。じんわり滲む程度なので、強烈な汗の匂いはしない。

お遍路さんを歩くと、1日にかかる費用はおよそ1万円と言われている。

つまり、旅の日数=旅費になり、15日歩けば15万円、1番から88番のお寺まで歩くと6週間ほどかかると言われているので、48万円前後かかる。

なかなかの大金だ。

その旅費のほとんどは宿代が占める。仮に、お寺が無償で提供してくれる通夜堂や、寝泊まりできる休憩所で休むと、旅費を大きく節約できる。

イケオジの旅の仕方は、経済的にはかなりエコと言える。

とはいえ、そう簡単な話ではない。夜は冷え込むので寝袋やマットは必須で、なるべく荷物を減らして歩きたいお遍路さんでそういった荷物を背負って歩くのは Super Hardだ。

寝袋やマットを積んでないぼくの荷物でさえ10kg弱あるし、それだけの重量を肩に背負って25kmも歩くと、バックパックが食い込んだ両肩、山を登り降りすら度に負担がかかる両足からは、「積載量オーバーやぞこら!」とクレームがくる。

さらに休憩所はご厚意で設置されてるものなので、基本的には「外」だ。雨風がしのげるくらいの期待値だと言っていい。

場所によってはもっときれいです

夜になると蚊が寄ってきて、なかなか眠れないこともあるという。

そんな状態で1夜を過ごし、翌日また30km前後の道のりを進むのはExtra Hardだ。

・・・にもかかわらず、出会ったイケオジからは全然悲壮感を感じなかった。それどころか不便を楽しんでるように見えた。

あんな爽やかな「疲れたー✨」を、未だかつてぼくは聞いたことがない。

なんか、人生って心構え次第なんだなって思えた。どんな状況だろうが、楽しめる人はいる。

お金があると便利にはなるが、思い出は薄くなるのかもしれない。

不便や苦労は、見方によっちゃ思い出作りの黄金スパイスだ。

よく人生を旅に例えたりするが、仮に人生を旅に例えるなら、不便や苦労が多いほど濃い人生を生きれるからかえっていいのかもしれない。

人生を終える時、今日のイケオジ並みに爽やかな「疲れたー✨」でこの世を後にできたらきっと幸せだろうなと思えた。

イケオジとさよならして、歩みを進めながら見る暮れた夕陽に照らされた徳島はとても美しかった。

徳島万歳

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