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手元に集められた数奇な石たち ①ロードナイトについて調べた


はじめに

 名も知らぬ鉱石について、情報をおもに机上のPCでネットをつかい調べた。「畑ちがい」のわたしがしごとのあいまの休憩時間にやってみるとどうなるか。ウィキペディアにたよらずに、まあそんなに大きくはまちがっていないだろうと独断で情報をたどってみた。

「鉱物」、「鉱石」、そして「石」の各語をあいまいなままつかい、さらに調査内容に問題があるかもしれないのでその点はあしからず。


桃色の鉱石

 数奇な縁で各種の鉱石30種あまりを入手できた。ところがいくつかの石は初見。なかでも目をひいたのはタイトル写真の石、ロードナイトはわたしの好きな桃の果実に似た色をおびている。ただそれだけの理由から調べる対象に選んだ。

この石に関してどのような素性の持ち主なのかネット上でわかる範囲で調べた。するとロードナイト、和名ではバラ輝石(ばらきせき、薔薇輝石、rhodonite、ロードナイト)と画面にさかんに出てくる 。

石を研磨した販売サイトが多い。原石は手におさまるほどで数千円程度。ふんふん。これらはあくまでも参考としてわたしの興味はあくまでも鉱石としてのバラ輝石。

よくありがちな…

 似た名前の輝石(きせき、pyroxene、パイロキシン) 。こちらは中学校理科の地学で鉱物のひとつとして石英や長石などとともに、数種類の代表的な有色鉱物として名前があがる。教科書には火成岩や変成岩にふくまれるケイ酸塩鉱物と記されている。う~ん。これではつかみどころがない。

ところがもとにかえって鉱石としてのバラ輝石。輝石を名前にふくんでいるが、輝石の仲間でないと近ごろになって判明した。実際には準輝石に属するとのこと()。まったく関係ないが、ふと以前に冥王星が惑星の要件に合致せず準惑星のグループに入れられたのを思い出す。

バラ輝石が準輝石へグルーピングされたとの記載はここをはじめとして各サイトにみられるが、残念ながら一次情報にたどりつけなかった。孫引きは用心しないと…。

化学式は(Mn,Ca)5Si5O15 (数字は下つき)と、マンガン(Mn)を含んでいる。マンガン鉱として鉱床を形成。ああ、なるほど。化学式の組成からするとMnの含量がそこそこある。マンガンの供給資源のひとつなんだな。乾電池のみならずこの元素の用途は数知れない。その元になっているのかとわかる。

分類を調べてみると

 ここで分類上の位置づけを岩石鉱物詳細図鑑(2)に基づいて大分類から順に行う。

バラ輝石は、

10種ほどある化学組成にもとづく分類では、ケイ酸塩鉱物

6種あるケイ酸塩鉱物のうち、ケイ酸塩の重合度のちがいにもとづく分類では、イノケイ酸塩鉱物

5種ほどあるイノケイ酸塩鉱物のうち、準輝石グループ

4種ほどある準輝石グループのうち、バラ輝石

とたどれた。このサイトは貴重で位置づけを概観しやすい。ばら輝石がイノケイ酸塩鉱物の輝石グループに以前には分類されていたんだと理解できた。

つまり、準輝石グループのバラ輝石は、輝石とはケイ酸塩の重合度に違いがあるのだとおのずと判明。サイト運営者の沢田さん、わかりやすい情報をありがとう。キーワードのサイト内検索欄があるとさらに便利かも。

国内にも

 このバラ輝石。わたしのものはオーストラリア産だが、国内にも産地があったようだ。岩手県の野田玉川鉱山跡。町の観光案内にはマリンローズパーク野田玉川(https://www.noda-kanko.com/kankou/spot/marinerose.html)として記載があり、鉱山の一部を見学できる。

 産総研の地質調査総合センターの地質ニュースのバックナンバーをみると、以前には日本国内の各地にマンガン鉱山があったようだ()。
日本近海の海底にはマンガンノジュール(団塊)など資源になりそうな鉱物があるとのこと(4)。夢のある話だ。


おわりに

 ひょんなことから入手してそのままになっていた石たち。地元で化石探しをほそぼそときまぐれで行っているわたしとしては、鉱石についてもっと知りたい。そのいいきっかけを30種の鉱石がつくってくれた。感謝しないと。

目下、地元に多い白亜紀層から生物の化石を見つける目標を達成しようと、まずは知識の基盤づくりが必要と調べはじめた。仕事の合間の趣味の世界。
これでもまだまだ。さらにくわしく知りたくなる。のこり30種あまりの石たち、待っていてね。

参考としたサイト

(1)鉱物図鑑 https://mineral.imagestyle.biz/keisan/bara-kiseki.html
このサイト運営者(不明)が参考にした書物:
 「検索入門/鉱物・岩石」・保育社、「エフロン・岩石鉱物」・保育社、「フィールドベスト図鑑15 日本の鉱物」・学習研究社、「日本の鉱物」・成美堂出版、「岩石と鉱物の写真図鑑」日本ヴォーグ社、「国立科学博物館叢書5 日本産鉱物型録」・東海大学出版会、「図解雑学鉱物・宝石の不思議」・ナツメ社、鉱物分類図鑑/見分けるポイントがわかる」・誠文堂新光社、「理科年表・丸善」(この部分はHP原文より引用) 

(2)岩石鉱物詳細図鑑 https://planet-scope.info/rocks/minerals/pyroxene.html
planetscope(https://planet-scope.info/index.html)のひとつのカテゴリ。沢田輝氏(海洋研究開発機構JAMSTEC研究員)運営。

(3)産総研、地質調査総合センター地質ニュース 
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/59_11_03.pdf

(4)産総研 研究成果(2019)
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2019/pr20191211/pr20191211.html


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