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ロングセラー『日本の原点シリーズ 木の文化』より「杉」の魅力をご紹介

本州北部から屋久島にかけて分布する日本の代表的な樹種の一つとして身近な木材である「杉」。花粉症という言葉が定着してからは、春先には厄介に思われがちですが、「杉」には数多くの魅力があります。
その魅力を解説する、一冊をご紹介します。

「杉」と聞いて思い浮かべやすいのは、社寺の参道にずらっとそびえる杉並木でしょうか。古来より、社寺や築城などの建材に使われてきました。

また、自然素材や国産材とよく耳にしますが、実際木の種類が違うと材として扱われる場合に何がどう違うのか、どう使われ分けているのかわからなかったりしませんか?

本書では、杉の里、信仰としての杉、杉の文化、建築的見地、科学から見た杉、杉を使った杉製品など、杉の魅力を多角的に解説していきます。

・杉の里をたずねる

日本の杉のルーツをたずね、そのブランドとしても名高い「秋田」「吉野」「京都北山」「砺波」の4産地を特集。

林業に携わる人々のインタビューから、杉林としての歴史、林業を発展させた要因、活用などを取り上げていきます。

とくに吉野杉は、歴史の中で、灘の酒造業と結びつき樽丸材の生産を目的に体系的な造林技術が発達し、ひいては山守が培ってきた造林技術が、銘木・吉野ブランドを生み出していきます。

・杉が培った日本文化

人間工学・住宅産業・木材工学者の小原二郎氏による「スギを通して見る木の文化」。

杉がもつ木肌の魅力や、同じ杉でも産地によって材質が変わること、宮大工が尊ぶ自然などその美しさと性能を読み解き、さらに上村武氏「日本の宝、スギ」、鈴木三郎氏「スギと日本人、つきあいの歴史」、井上栄氏「杉と鋸と船」、降幡廣信氏「貸家から高級数寄屋まで」、石川英輔氏「江戸の杉利用」と、学者や建築家たちが杉と人との関わり、生活、魅力を余すことなく解説していきます。

・杉を語る

本の後半では、棟梁、建築家、林業家、家具デザイナーらがそれぞれの立場から見た杉について語ります。

・杉の巨木には神が宿る

迫力ある写真とともに、全国の樹齢数百年~数千年の杉巨木を一挙紹介しています。

三川の将軍杉|縄文杉|洞杉|清澄の大杉|高知、杉の大杉|石徹白の大杉|月瀬の大杉|大船神社の弁慶杉|紀元杉|杉之当の大杉|八村杉

写真で見るだけでも、これらの巨木が信仰の対象であったり、パワースポットと言われる所以がなるほどと感じられます。

そのほか、全国の「杉」がつく苗字や地名などの雑学、地域の杉、杉を使った曲げわっぱの銘品・椅子などを取り上げています。

こんなにも魅力的な素材である「杉」。
山林を見上げる意識が変わるかもしれません。