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放射脳と反ワクチンとPCR信者

放射脳という言葉は、最近は辞書にも載るようになって、「放射能による人体・環境などへの悪影響を恐れるあまり、しばしば非理論的な主張をしたり放射能に関係のない事実を持ち出したりして害悪を訴える人々、またはそうした人々の思考回路を揶揄ったスラング。(Weblio辞書)」のことだが、これと反ワクチン派が相当な頻度で重複することに驚いている。
その根幹にあるのは、得体の知れないものへの生理的恐怖であろうと思われるのだが、それ以外にもう一つ、確率や統計というものを全く理解できないか、又は敢えて無視する態度があるのではないかと思う。
確かに、重篤な副反応が出るのは1万人当たり数人ですよと言われても、自分がたまたま当たるかも知れないじゃないかと考えるのは理解できる。だけど、そういう人は絶対に自動車を運転すべきじゃないし(日常的に運転している人の100人に1人が一年以内に事故に遭う)、たとえ家でじっとしていても死ぬ確立はゼロにならない(40歳男性のケースで、毎年10万人に1人が何等かの原因で死亡する)。つまり、どんな問題についても、リスクをゼロにすることはできない。或いはそうする意味が無い。

一方で、反ワクチン派は、ウクライナへのロシア侵攻は米国の謀略だからロシアは悪くないんだといった、いわゆるアナザーファクトを言い立てる人達とも重複していて、これはどうも放射脳とは一線を画しているようにも見える。確かに、大国が主導する国際世論も、世界のメインストリームマスコミもこぞってロシアが一方的に悪いと非難しはじめれば、一度立ち止まって考えてみようとするのは、極めて重要かつ正しい態度だ。しかし、当事者が意図的に流すフェイク情報の存在を前提にしても、一方的に侵攻して多数の市民を犠牲にしているロシアには、一分の理さえ無い。

では、これらのちょっと考えればわかりそうな常識的な結論を覆してしまうドライブは何なのだろう?
一般的に良く言われるのは陰謀論の方が分かりやすいということだ。世の中は複雑に絡み合っていて、ある事象の原因を見つけるのも、その解決策を提示するのも決して簡単ではない。あちらを立てればこちらが立たず、さりとてこのまま放っておくわけには絶対に行かないということばかりだ。
そのような状況下で、うまく行かない絶対的な悪(陰謀論など)を規定し、それを取り除きさえすれば、全てが解決するという主張はまことにわかりやすい。
自分の知識では複雑な事象に付いていけない、さりとてハナから勉強し直すような苦労はしたくないというところへ、わかりやすい陰謀論が提示されればそれに飛びつくという構図である。

限られた経験ではあるが、陰謀論にハマる人は必ずしも無教養な人達ではない。ただ、自信>能力 の傾向は総じて見られるように思う。



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