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作品振り返り『志怪伝「子龍」』

作品詳細

2021年5月製作 コミティア用同人誌 21ページ
使用画材 CLIP STUDIO
https://www.pixiv.net/artworks/98867946


製作までの経緯

「ヒロイックステージ」を掲載会議に提出する少し前。
僕はコミティアの参加準備を進めていた。
前年のコミティアがコロナに中止になり、ようやく開催される折だった。
コミティアに参加した理由はいくつかある。

・ツイッターで繋がった作家さんに挨拶をしたかった。
・出張編集部に完成原稿を持って行った事がなかったのでチャレンジしてみたかった。
・ヒロイックステージを作る過程で学んだ知識や技術を一度形にしてみたかった。
・ずっとアイビスペイントで製作していたのでそろそろCLIP STUDIOに慣れる必要があった。
・ネーム作業ばかりだったので漫画を完成させる事でフラストレーションを解消したかった。
…等々

そうして息抜きや習作を兼ねて完成したのが本作だ。

あらすじ

古代中国。謎の殺人鬼「アツユ」の調査を行っていた若き役人、『張進』が殺害された。
彼を無残に惨殺したのは『子龍』という元軍人の男だった。
完全に息絶えたかと思われた張進だったが子龍への怨念から悪霊としてこの世に残留する。
自らを殺害した危険な男、子龍に悪霊の力を用いて復讐すべく張進は子龍の元へ向かう。

解説と講評

僕のフェチである所の「屈辱へのリベンジ」、「怒り」をテーマにした本作。
愛する者を奪われた男が如何に復讐を成し遂げるか。その部分を特にクローズアップして描いている。

最初主人公だと思った男が実は悪役という構成のギミックも組み込んでいる。

本作を描くにあたって取り入れたかったアイディアは以下
・主人公に関するミスリードを取り入れる
・怒りという激情に身を任せるキャラ
・「愛する者との死別」「愛する者との復讐」という分かりやすい動機よ目的で分かりやすさを重視する
・主人公が勝利したと思わせてからの両者のあと一手という戦術の攻防

作画こそ荒いものの、全体的なセリフ量などはここまでの作品に比べるとかなり削減されている。
構成も矛盾がない。
息抜きで描いた割には意外にまとまった印象だ。

しかしコミティア当日。この作品を出張編集部に持って行った所、担当どころか名刺一枚もらう事はなかった。

少しは評価されるだろうと思っていたのに、なぜ?

本作に関して出張編集部で頂いた意見を記述する。(内容は要約)

・作画をもっと上達させるべき
・「南北朝時代」など、読むうえで必要のない情報が登場している。何かこだわりがあったのかもしれないがノイズになるのでストーリーに関係ない情報は排除するべき。
・バトルを描きたいのに、キャラクターの全身や位置関係がわかるコマや描写が存在しない
・最後ピンチの夫を妻の霊が助けるが、夫の復讐劇なので主人公が決着をつけるべき

というものが挙げられた。

基本的な作画の未熟さをベースに構成や情報取捨選択の粗さを指摘された形だ。
一応本作も担当さんに提出してみた所、「ストーリーに意外性がある」などお褒めの言葉をいただき新人賞に出してみるかという話も出たものの次の向けた企画の話が持ち上がった為、結局本作がコミティア以外で日の目を見る事はなかった。

しかし、作品のそのものはやはり目に余る程ではないと思う

また、作品内の結論も動機が弱いように思う。
これは最終結論に至る為の問題の提示が弱かったからだろう。(妻は主人公に人を守る為に〜というが、その前フリはどこにもハッキリと描かれていない)

評価こそされずコミティアでの売り上げも芳しくなかった本作だが、本作の製作が前年に初めて賞を取った『花よ鳥よ』を製作して丁度1年経った頃だったことを考えると幾分かの成長が見られる。
しかし、まだまだプロと肩を並べるのは程遠いのは誰の目にも明らかだ。

果たしてここまでの教訓を先々に生かすことはできるのだろうか…?


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