第6話 一人で乗る観覧車

 快速電車で一駅だけだといっても、みぃちゃんがご近所さんではなくなってしまった。僕は僕が思うよりみぃちゃん中心に生きていたんだ。

 お風呂に入りながら僕はしみじみみぃちゃんのことを思い出していた。

 みぃちゃんと観覧車に乗ったことがある。一緒に乗るんだと思ってたけど、みぃちゃんは一人で乗った。仕方ないので僕もすぐ後の車輌に乗ったのだった。

 「どうして一人で乗るの?」

 「一人で観覧車を独占したいから。」

 みぃちゃんはそう言っていた。やっぱり集団生活が嫌いなんだね、みぃちゃん。

 一人で進むみぃちゃんの車輌を、僕はずっと同じ距離をたもったまま追いかけて行く。寂しいような気もするけど、みぃちゃんはずっとそこにいるから寂しくない気もする。

 みぃちゃんの世界はあの観覧車と同じだ。すぐそばにいる僕も空もなにもかも、みぃちゃんに近づくことはない。みぃちゃんはずっとその世界で生きていくんだな。僕はただみぃちゃんの後を追って、ぐるぐる回るだけだった。

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