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みぃちゃんとぼく

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2016年1月の記事一覧

第35話 みぃちゃんとお母さん

 「みぃちゃん、みぃちゃん。すごいね、すごいね。ぼくたち、宇宙の中に立ってるんだね。」

 さっきからみぃちゃんがずっと考え込んでいるふうだから、ぼくはみぃちゃんを現実に連れ戻そうと声をかけたのだ。

 「うん。そうだね。すごいよね。宇宙ってとっても真っ暗で星がキラキラしてるんだね。」

 みぃちゃんが宇宙空間を眺めながら言う。

 「ねえ、みぃちゃん。みぃちゃんが前に、星と星は遠くて離れてるから

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第34話 みぃちゃんと小さな星

 かつかつかつ。

 カツカツカツ。

 カツカツカツ。

 洞窟の中に足音が響く。

 バタンッ。

 大きな音がして、扉が乱暴に開け放たれた。

 「何ごとだ。騒々しい。」

 長老の執務室に集まっていた龍師隊(りゅうしたい)が振り向き、扉の方へ向き直った。

 「なによ、あんたたち。人の娘を連れ去っといて、よくそんな口がきけるわね。いい、今すぐ、みいこを返してもらうわよ。あなたたちがみいこを

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第33話 みぃちゃんとこころのふあん (第2章1話)

 日の国の軍と巨大ハムスターとの闘いから三ヶ月が過ぎた。

 宇宙線にさらされた地球上には少しずつ活気が戻り始めていた。人体に有害な宇宙線から身を守り対処し適応した者は地上で生き残り、適応できなかった者たちは地下に隠れ潜んだ。

 みいこたちはケイロンの洞窟で日々を過ごした。山々を駆け回り、川で泳ぎ、焚き火をして新たな仲間たちと友情を育んだ。そして、彼らの三ヶ月はただそれだけではなかった。みいこと

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第32話 みぃちゃんと巨大怪翼鼠

 「なにこれ、なにこれ、なにこれ、なにこれ。」

 「ふふっ、どうだい、みぃちゃん。俺っちの背中、いかすだろ。」

 「わっ、トマトがしゃべったー!」

 みぃちゃんは誰かが立った時みたいに驚く。

 「どうしてなの、アセン長老。トマトにいったい何をしたの!!!こんなにでっかくなっちゃって、かわいくないよ、うえーん。」

 みぃちゃんがなげいた。途端、

 「ぎゃあああああぁ、落ちるううううぅ。」

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第31話 みぃちゃんと脱走ハムスター

 「おやすみ、みぃちゃん。」

 「おやすみぃこ。みいこだけに。」

 そう言うとすぐに、みぃちゃんは寝てしまった。

 食堂でご飯を食べた後、ぼくたちは蟻の巣みたいに要り組んだ洞窟内をガイアスに案内されて、この部屋で寝ることになった。みぃちゃんと二人きりで。

 みぃちゃんはかわいいなあ。ぼくは隣のベッドのみぃちゃんの寝顔を見つめて、今日あったことを思い出していた。

 そういえば洞窟内をここま

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第30話 みぃちゃんとネッラ

 洞窟の奥、地底湖のほとりに長老が一人立っていた。三角ペイント兄さんは澄んだ湖面を見つめるその三角ペイント長老をやっと見つけて、話しかけた。

 「アセン長老、こちらでしたか。」

 アセンはじっと湖を眺めている。少しして、声の方へ振り返った。

 「ここを見つめていると、いつでもあちらの世界に行けるようなそんな気がする。なあ、ガイアスよ、私たちの星は遠いの。」

 アセンは瞳をうるうるさせた気弱

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第29話 みぃちゃんと太陽の王国

 「みぃちゃん、みぃちゃん、このハンバーグ、すっごいおいしいよ。ボーノボーノだよ。」

 「ほんとほんと、このグラタンみたいなのも、チーズがトロトロとろけてほんとにボーノ、ボーノ、ボーノ。」

 ぼくとみぃちゃんはボーノ、ボーノと言い合いながら、珍しい異星の料理をたくさん食べた。どれもこれも、ほんとうにおいしい。ぼくはいつの間にか、みぃちゃんとガイアスへの嫉妬心も忘れて、夢中になってスプーンを動か

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第28話 みぃちゃんとケイロン人とぼく

 「みぃちゃんのお父さんって官僚さんだったの?」

 僕は龍の民の人の後ろを歩いている。みぃちゃんもキョロキョロと周りの松の木やどんぐりや白い小さな花やハクセキレイやコマドリに気をとられながら、一緒に歩いている。

 「そうだよ。」

 興味がなさそうにみぃちゃんは言う。そのみぃちゃんの腕のなかではトマトがカラカラと音を立てて回し車を回している。トマトのゲージが少し重そうだ。空はもう暗くなりはじめ

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第27話 みぃちゃんとウグイスの谷渡り

 どのくらい経っただろうか、辺りはジッと静まりかえり、僕たちだけがここに取り残されたみたいだ。

 遠くの方からうぐいすの谷渡りが聞こえてきた。すると、

 「ぴーちゅ、ぴーちゅ、ぴーちゅ。」

 と、みぃちゃんが鳴き真似をする。

 「ぴっちゅぴっちゅぴっちゅ。」

 と、僕も繰り返す。

 「ぴーちゅぴーちゅぴーちゅ。」

 「ぴっちゅぴっちゅぴっちゅ。」

 そうして僕たちはウグイスになった

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第26話 みぃちゃんと風

「みぃちゃん、風が気持ちいいね。」

 龍の背の上で僕の体はとても強い風を受けていた。みぃちゃんも隣で肩まである髪をなびかせている。太陽の強い光が反射してみぃちゃんの髪はきらきらしている。さっと吹いた風を顔で受けてみぃちゃんが微笑む。その横顔には僕が初めて見る輝きがあった。

 「はるくん、なに見てるの。あっ、髪に何かついてる?」

 ばさばさっとみぃちゃんは右手で髪を払った。髪が波のようにふわっ

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第25話 みぃちゃんと龍

 「えっーーー。そんなひと、おらんよーー。」

 僕は三角ペイントのおじさんの冗談に合わせて、特に前世でよく真似していたある人のセリフで突っ込んでみたのだった。だけど、おじさんはきょとんとしていた。もしかしておじさんはテレビをあんまり見ない人なのかな。

 「あっ、トマトがえさ入れ引っ掻いてる。そうだ、ねえおじさん、トマトの食べ物何かないかな。」

 みぃちゃんが突然わがままを言う。やっぱり中学校

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第24話 みぃちゃんと龍の民

 「ねえ、ねえ、ちょっと、前の人。」

 みぃちゃんは相変わらず失礼である。

 「うむ、それは私のことかね。だがね女の子よ、私は人ではないのだよ。」

 おじさんは振り返らずに答える。

 「はいはい、非・人間ね、わかったよ。それじゃあ、おじさんはどうして、顔に変なマーク描いてるの?」

 みぃちゃんは両手を壁につけて、ゆっくり進む。

 「マークか。これはじゃな、我々龍の民のシンボルみたいなも

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第23話 みいこの洞窟

「みぃちゃーん。みぃちゃーん。」

 洞窟の中に向かって何度もみぃちゃんを呼んだけど、みぃちゃんからの返事はない。足音も聞こえない。急に心細くなる。今日はみぃちゃんと朝からずっと一緒で、町に出ても二人きり、山のなかでも二人きりだった。とっても楽しかったんだ。

 「みぃちゃーん、待ってよー。僕を置いて行かないでよー。」

 僕はもう半分泣きながら、みぃちゃんを追いかけた。足元も見えない真っ暗な洞窟

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第22話 みぃちゃん、山登りに出発

 正体不明の人体に有害な宇宙線が世界全土を汚染していた翌日、僕とみぃちゃんは自転車に乗って、僕の家から10kmほど先の県境の小さな山の麓まで来ていた。

 あの事故のあと、なぜ宇宙線が世界をおおったのか。TVでは専門家がしきりに「分からない、分からない。」と繰り返し、ニュースキャスターもアイドルも、それぞれ不安を口にした。

 深夜の特別報道ニュースで続報があった。H大学の准教授によると、本来なら

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