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丹波哲郎VS丹波哲郎

別にB級特撮映画の話をしようというのではない。(トップ画像は丹波哲郎とは関係ありません)
あることを調べていた時に、過去に調べたことと矛盾が発生してしまいました。(クイズあるある?)
そのことについてお話をしようと思います。

きっかけはこちらのデイリー新潮の記事。

https://www.dailyshincho.jp/article/2023/11221103/?all=1#goog_rewarded

この記事によると1973年の国内の映画興行収入ランキングは、1位が「日本沈没」で、2位が「人間革命」となっています。
これを読んだ時に私は「あれ?」と思いました。

私の中で「日本沈没」とセットで覚えていたのは「人間革命」ではなく「ノストラダムスの大予言」だったのです。
慌ててそのネタ元の本を開いて確かめました。
ちなみにその本はUMA研究家の天野ミチヒロ氏による「放送禁止映像大全」です。タイトルの通り、なんらかの事情でお蔵入りになった映画やドラマをまとめた本になっています。
この本の「ノストラダムスの大予言」の章から一部引用します。

この作品が製作された1970年代は、日本中の人々が五島勉の超ベストセラー書籍『ノストラダムスの大予言』に影響を受けて、思い悩んでいたころだ。当時は「人類が滅亡するときオレは×歳なのか」などと「そらから恐怖の大王が降ってくる」はずの1999年7月を死期として、将来を悲観していたものである(バカ騒ぎしていたのは日本人だけなのだが)
このブームに便乗した東宝は、6億5千万円もの巨費を投じて映画化。前年に公開した東宝の大ヒット映画『日本沈没』に続いて、劇場は連日の大入り(1974年度の方が興行収入では第2位)となるのだが、公開1週間後に異変が起きてしまう。

放送禁止映像大全

やっぱりおかしい。ここで「日本沈没」に次いで2位だったのは「人間革命」ではなく「ノストラダムスの大予言」なのです。年も1年ずれていますが、これは公開日によるものでしょう。「日本沈没」の公開日は1973年12月29日であり、これを1973年中の興行収入でまとめると3日分しか集計できなくなってしまいます。(しかも当時の世相からいって、年末年始に映画館が開いてなかった可能性も高い)

とにかく「日本沈没」に次ぐ2位が「人間革命」なのか「ノストラダムスの大予言」なのかという問題が浮上してきてしまいました。
ふと思ったのは、この両者はどちらも主演が丹波哲郎なんですね。もしかしたらその辺りで何かデータが入れ替わってしまう事態があったのかもしれません。
とにかくこんな時はインターネットで検索をかけるのが近道です。

様々なランキングを紹介しているこちらのサイトによると、1973年の1位は「日本沈没」、2位は「人間革命」(11.9億円)となっています。

「ノストラダムスの大予言」は翌年の1974年に登場し、5位で8.8億円。ただ今回の話は邦画に限定しているので、それでいえば1974年は1位が「日本沈没」、2位が「ノストラダムスの大予言」で合ってそうです。
ちなみにWikipediaの「年度別映画興行成績」というページによると、1973年の日本映画は正確な数字が発表されていないとのこと。なお「人間革命」に関しては13億円と書かれていました。上記ランキングと大きな矛盾はない数字と言えそうです。

ちなみに1番信頼性が高そうな「一般社団法人 日本映画製作者連盟」のサイトでは1980年以前のランキングが存在しませんでした。その意味ではWikipediaの表記が正しいのかもしれません。

・結論
1973年の邦画興行収入1位は「日本沈没」、2位は「人間革命」
1974年の邦画興行収入1位は「日本沈没」、2位は「ノストラダムスの大予言」
どっちも正しい!

驚くべきは「日本沈没」が12月29日というド年末に公開されながら1973年の興行収入1位を獲得し、翌年でも1位を獲得したというその大ヒットぶりでしょう。
私もそんなことがあるわけがないという思い込みがあったために、デイリー新潮か「放送禁止映像大全」のどちらかに間違いがあったのだと思い込んでしまいました。
2年連続で主演映画がワンツーフィニッシュを決めた当時の丹波哲郎の充実ぶりもまた驚くべきものがあります。(「日本沈没」も主演ではないですが重要な役を演じています)

何か間違いがあるに違いないと思って調べ始めた話ですが、見つかったのは間違いじゃなくて丹波哲郎の人気がすごいということでした。

もっとも「人間革命」の動員に関しては組織票がかなり大きいと思われるので、そこは人気というよりゴニョゴニョ・・・

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