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電動のアドバンテージ

週末、FIMのE~Xplorerの第一戦大阪ラウンドを観戦してきました。

言わずとしれた2025年に万博を目前にした大阪として、1970年の前回万博のシンボルである太陽の塔の前で、電動のレースを開催することには大きな意味がある、と吉村知事は、開催前の挨拶の中でコメント(実際にオフロードバイクのウエアを着用して、ヘルメットを持って登場。最初に乗ったバイクはCBとのことで、バイクは大好き。知事になってから大型バイク免許を取得)。

#写真はHRCのCR Electric Protoに乗るFrancesca Nocera選手(イタリア国内のモトクロス選手権4連覇、エンデューロ3連覇)ちなみにトップの写真もWomanのスタート写真)。

思い入れがある人は、「太陽の塔」にグッとくるかもしれませんね(万博リアルタイムの方々と、21世紀少年的世代と)。

ところで。

15年くらい前、とあるエンジニアの方と、「電動」の使い方のブレストをしたことがあって。

その方は、当社の電動製品(自転車、ゴルフカー)を長らく担当された方だったけど、次の言葉が印象的だった。

『「短時間」「空気のないところ」「瞬発力」が求められるところじゃないかな?』

「短時間」
エンジンに比べると、走行時間、距離が限定的でもいいところ。今回のレースの走行時間の定義は「8分経過して、先頭のライダーがFinish  Lineを通過後、+1周」でした。

「空気のないところ」
宇宙は言い過ぎかもしれないけど、わかりやすいところで言えば「地下」。
私も前の仕事で沢山の鉱山にもぐりましたが、地下で人が働くこと、地下でエンジンを動かす乗り物を使うには「鉱山環境における吸排気」の観点で、非常にコストがかかっている。これまで屋内でレースするなんて考えなかったけど、電動であればやってみようかな、ってなるね。マリオカートの世界も夢じゃない。Formula EのLondonなんて、屋内と屋外を走るコースになってる(半分はWet、半分はDryになったこともある)

「瞬発力」
これはトルクの差からくる、停止状態から、一気にパワーを出せるところ。

当時はDisney Landの地下の運搬専用通路なんていいかも、なんて会話したなあ。E-xplorerのイベントを見ながら、「15年前の会話」が少し現実に近づいた気がしました。

コースデザイナーのEric Peronnardとの雑談の中で「結構電動を意識して、設計してきたし、一周40秒で回ってくることにはあまりサプライズはないね」とのこと。その視点では、Max10分のスプリントレースという設定。

#ちなみにEricさんは、昔フランスで当社バイクの代理店を17年やっていて、その後ラスベガスでも代理店を経営。10年前に売却して、今はレース関係の仕事(X-Gamesのコースデザインが一番わかりやすい仕事かな)をしておられます。曰く「俺には青い血が流れているよ(笑)」

いつも、電動のレースに行くと、都心から近い場所、あるいは地下鉄で行ける場所など、「レースに来たぞ」感がなくていい(これは特にFormula Eで感じること)。また、小さな子供を連れてきている家族(うるさくないから)、また別の目的で来ている人が「お?」という感じで見ていくこと。

まだまだ、モノとしても、イベントとしても、エンジンのイベントには勝てないと思うけど、いいところもある。

例えば、「音がない」こと。

ちょっと目を閉じると、ラジコンカーのレースのような音に感じる。

一番上に貼った写真のスタートなんて、陸上競技、あるいは水泳のスタートみたいで音が消える(日曜日にバレーボールブレス浜松の試合を見たけど、そのサーブもおんなじ感じ)。音が全くない状態で、観客が静まり返ったスタート。経験のない緊張感。これって、バイクのレースではすごい違和感があるけど、スポーツという視点では、よくある風景なので、案外スッと受け入れられるのかもしれない。

また、それにより、「音のイベント(DJのパフォーマンス)」との相性は抜群。ライダー曰く、「お客さんのちょっとした会話も聞こえる時がある」らしい。

もし、屋内で開催されれば、「空気がない」ことがアドバンテージになるところもある。時々、ゴーカートの屋内版なども欧州aでは見るけど、屋内と電動の相性はすごくいいと思う。

イベントとしてみると、まだ発電機を回して、充電しないといけない、とか、いくあつかのチャレンジはあるけど、これからそれなりの発展をしてくると思う。

昔、Mercedes のRace責任者が、「何故Formula Eに参戦するのか」と問われた際に、「F1はLegacy、ルールも、内容も、歴史に縛られていて、変えにくい大企業のようなもの。反面、これからルールも変わっていく、Try&Errorを経験するFormula Eはスタートアップのようなもので、違った意味での挑戦だと思う」とコメントしてた記憶がある(うろ覚え)。

若い頃、トライアルをやっていた私の憧れであった成田匠(今回はホンダさんのWebが多いな)さんと、並んで観戦。成田さんは、ここ10年位、フランスのElectric Motionという電動トライアルの会社の開発を担当してきているので、「クラッチがある方が(今の車両はクラッチがなく、モーターから直接出力される)、違和感が消えると思うんですよね。」とコメントしつつも、「電動が最初の人は、そうじゃない可能性も出てきますけどね」と表現。

「モトクロスも、James  Stewart前と後で全く跳び方が変わったように、電動のモーターサイクルも、大きく変わるタイミングかもしれない」、って。

こういう話を聞くと、この「雑誌とipad」の映像を思い出す。



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