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なぜ日本アニメの中国輸入部数は減少しているのか

1. 日本アニメの中国輸入数は年々減っている?

2019年日本で放送されたアニメの部数は約187部だったのに対して、中国に輸入されたのは118部、輸入確率は63.1%。この数は2018年では230部中輸入されたのは181部、割合は78.7%。2017年では基本80%以上超えていた。なぜ日本産アニメの輸入確率は年々減少しているのか。

その背景には中国プレイヤーが自ら自社でアニメ制作のノウハウを培う姿勢や政治政策の変化が見られた。

2. なぜ日本産アニメ版権の輸入は減っているのか

①「版権売買」から「共同制作」へ
『炎炎ノ消防隊』、『ヴィンランド・サガ』、『どろろ』等2019年に放送されたアニメはビリビリの会社名が制作員会に入っていることが見られた。その他にも、本来版権代理を主な事業としていた、杰外动漫や羚邦动漫も積極的にアニメ制作に投資を開始し、今までの買う姿勢から一揆に資本や制作面から共同制作をするプレイヤーとなった。

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(ビリビリが政策委員会に参加した作品例)


②中国国産アニメの台頭
2017年、サービスを開始してから5年経つテンセントアニメが月間アクティブユーザー9000万人を突破した。アニメ動画の再生数は合計100億回を突破し、2016年には漫画等のクリエイターに支払った費用は3.7億元を超え、テンセントは多大なリソースを避けて国産アニメの育成に投資をした。
その中で妖怪と人間の恋をテーマにした純愛物語『狐妖小红娘(縁結びの妖狐ちゃん)』はビリビリで初めて再生回数1億回を超える中国国産アニメとなり、他サイトと含めて合計10億回をこえる再生回数を達した。このアニメに対して少なくとも数千万元以上のマーケティング費が投下されたという。

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(ビリビリ動画サイトで再生数が1億回を超えた)


③中国政府の輸入コンテンツに関する取締の強化
2018年9月に発表された《境外视听节目引进、传播管理规定》(海外視聴コンテンツ輸入、配信管理に関する規定)によると、「オンライン視聴コンテンツを提供する企業は、指定された提供可能なコンテンツ数のうち、海外映画・ドラマ・アニメ・ドキュメンタリー及び海外その他のテレビコンテンツが占める割合は提供コンテンツ合計数の30%以上を超えてはならない」と正式的に政策を発表する前に「意見収集」を行った。

このように輸入できる本数が限られる一方で、政府のコンテンツに対する審査のインパクトも大きい。
本来日本のアニメで「進撃の巨人」や「七つの大罪」が中国で一度輸入されたものの、各動画サイトからある日突然姿を消した。「アニメのシーンが残酷すぎる」、「宗教関連の題材」等様々な理由で海外のアニメは突然放送ができなることも多い。国産アニメに投資に一揆に資本が集まったのは、政治的なリスクを回避することも原因として考えられる。

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(『海外視聴コンテンツ輸入、配信管理に関する規定』)

3.日本アニメ版権の輸入、今後はどうなるのか:

日本アニメ版権の輸入はなくなるか?そんなことは起こらないだろう。少なくとも、中国ではアニメ・漫画好きなユーザー規模は年々増加しており、今年でも3億人を超えている。そのうち、日本のアニメが好きなユーザーも少なくない。

しかし、どのような形式で版権輸入するのかは、今後も変化していくだろう。それは、中国から原作を日本のアニメ会社に依頼して制作を行う形式になるのか、それとも政府の審査に備えるため今後は基本共同制作の数が単純な版権売買の数を超えるのか。
いずれにせよ最終的に政治リスク・マーケットリスク等様々な要素が版権輸入にインパクトを与え、新しい産業形態になるかもしれない。

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