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オランダの小学校でお昼の見守り先生として働きはじめた。

今週からわが子の通う小学校で、お昼休みの監督係として週に2〜3度働きはじめた。勤務時間は1時間、一応僅かばかりながら給与らしきものは出るが、半分ボランティアみたいなもんだ。ただ、半分ボランティアではあるものの、責任ある「仕事」であることは間違いない。

なぜ、そんな仕事が存在するのか?

オランダでは、その昔はお昼になれば子ども達は学校から自宅に戻り、ご飯を食べるものだったらしい。この古き伝統がいまでも残っていて、お昼休みというのは保護者の管理下という位置付けで、学校はそのために利用可能な「場所」を用意する責任があると切り分けられているらしい。そういう訳だからオランダの小学校では、お昼休みは先生も休憩する。

実際には、そんな伝統も形骸化しており、お昼休みに親が迎えにきて自宅へ戻る子どもは圧倒的な少数派。いくらワーク・ライフバランスが優れたオランダと言えども、そんな事できる家庭はそうはない。となると、誰が親に代わって子ども達の面倒を見るのか?という訳で、学校が見守り要員を手配してくれて、その費用を保護者から徴収するという形になっている。

この見守り要員(今回の私の仕事)は、大体は時間に余裕のある保護者が請け負うことが多いけど、18歳以上であれば別に保護者である必要もないらしい。資格は必要ないが、過去に子どもに関わる犯罪等を犯していないかのチェックはある(これについては別の機会に書こうと思う)。

子どもがお昼休みを学校で過ごすために支払うお金

うちの子の学校だと、一回あたり€1.25(およそ150円)
もしくは回数券のような形で販売されるお昼休み用カードを購入する事もできるし、半年、または一年分まとめて支払うこともできる。

うちは子どもが3人とも小学校に通っているけど、全員お昼休みは学校に残ってもらっている。3人合わせて年間で€460(およそ6万円)払っている。なかなかのもんである。

ところが、お昼休みの指導員をすると、自分の子どものお昼休み居残り費用は免除される(うちの学校のローカルルールかもしれない)。実は今回、お昼休みのおばちゃん職に立候補した理由の一つだったりする。

もう一つの理由は、最近になってオランダ語をある程度は操れるレベルになってきた実感が多少なり出てきて、自分のオランダ語の腕試しも兼ねてのチャレンジでもある。実際には、そんな私の小さな自信は早々に別の形で打ち砕かれたのだけれども。。

お仕事の中身はこんな感じ

私が担当を任されたのは、Group1-2という、日本で言うところの年中・年長さんにあたる児童のクラスだ。お昼休みに自宅へ戻る子どももいるので、監督する児童はおよそ20名ほど。ちなみに、オランダ社会の中で働くことも初めてながら、20人近くの子どもを一手に引き受けるのも生まれて初めてである。冷静になって考えると、無謀としか言いようがない。

およそ一時間の昼休みを、前半はお昼の時間として、後半は外遊びの時間として過ごす。

最初にやらなければならないのは、出席確認と支払い有無のチェックだ。「名簿」と「お昼カードの束」と「子ども達」を見比べて、いる子・いない子、いる子の場合にはお昼カードの有無について名簿にチェックを入れていく。まず、当然ながら20人の子どもの顔と名前がまだ頭に入っていないので、この作業でもたつく。その最中も「先生、これ開けて」「先生、靴の紐が解けちゃった」「先生、あの子が私を叩いた」・・・とひっきりなしに横槍が入る。

こっちが作業でもたついたり、他のことに気がとられていると、一部のやんちゃな子ども達は「自分の席で座って静かに食べる」というルールを頑無視して、テーブルの下にもぐったり、クラスを走り回ったりし始める。これに待ったをかけて、もとの場所に戻すことを繰り返す。が、一人が好き勝手なことを始めると、連鎖的に、学級崩壊的にクラスがざわついていく。とにかく、子ども相手の真剣勝負で、こっちの話しをガツンと言って聞かせる必要があるんだが、今のところ連敗だ。

お昼が終わったら、弁当箱を片付けさせ、コートを順番に取りに行かせ、教室内で並ばせてから校庭に連れ出す。校庭には、外遊び専門の外部スタッフがいるし、基本は静かに見守るだけでよい。この時間は少しだけほっとするけど、教室に連れ帰るタイミングでまた若干パニック。「戻ってこい!」「教室に入るからここに並びなさい」と言ってもなかなかすっとは行かない。なんとか教室に連れ帰り、すでにクラスに戻ってきた担任の先生に状況を報告したら終了である。

めげずに頑張ろう

この仕事を引き受ける前は、私の「オランダ語」が通じるかを心配していた。けれど実際には思った以上に「言葉」は通じるし、子ども達の言っていることも分かる。それよりも私に足りてないのは、この人の言うことは聞いておこう、と思わせる大人としての「迫力」「存在感」であった。

どうしたらそれを身につけられるのかはよく分からないし、すでに私から見たら迫力満点のベテラン風の同僚が言っても屁ともしない子ども達が他にもわんさかいるのを見ていると、オランダの子ども達は相当手強いな、とだけは思う。

この仕事を平気でやれるようになったら、新しい自分になれる気がする。


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