週半ばの休みは次の日に響く

夜更かしした。一日中しぬほど眠い。風も強いし寒くてツラい。
二日酔いでも、低気圧でも、花粉がひどくても、風邪気味でも働きに出る。
気分は最悪だ。
こんな状態で職場の嫌なやつに立ち向かうのがダルすぎる。

一人なら、別に夜更かししようが酔っ払ってようが、どうだっていい。
一人でやる仕事ならその日は休んでしまえばいい。

というわけで、会社に属している時点で、自分の身体は自分だけのものではなくなる。
週に2日、身体は自分の元に戻ってくるが、週5日は会社の所有物として振る舞うことになる。

心にもない謝罪の言葉を毎日のように吐き、空気を読んで黙りこくる。
うざったい職場のアイツにもキレ散らかさず、ハイハイと頭を下げる。
そのたんびに心がキュウとなる感じがするのを無視しながら、たまに知り合いに会えば二言目には俺は社会不適合者だと言って回る。

ネガティブじゃなくて理想主義者と言ってほしい。
理想と比べてこの現実は世知辛すぎる。
だからこんな細かいことに一々悩みながら、世の中良くなんねえかなあと夢想してみる。
ありのままの現実を生まれたときから何も考えずに受け入れ続け、傍には「私の長所はポジティブなことです」とか言って回り、コイツは道具として優秀だと判断され、中には事業を成功させて小金持ちになってみたりし、仕事を終えれば自分の元に返ってきた身体を縦横無尽に使い回し、一生をいわゆるマトモでタノシイ思い出で埋め尽くすような、脳天気という言葉が相応しすぎる人種にとっては、一生に一度も考えることもない悩みを毎日毎日持ち続けている。

卑屈で嫉妬深いヒトの醜さが詰まったような人間に、子どものときの自分はなりたいと思ったことはなかったはずだが、いざこの場に立ってみれば、子どもの自分でもそれ以外に道はないだろうと思う。
多分何度生まれ変わったってこんな生き方をする。
そんでもって、寝て食べてウンコしなければ生きていけないこの身体を呪い続ける。

布団の中でだらだらしたいし、美味しいものも食べたいし、自然の空気も身体全身で感じたいので、電子生命体になりたいとは思わないが、それに類する刺激をシミュレーションしてくれるなら、そういう生命体には今すぐになりたい。

俺はマトリックスの人間電池で大歓迎だが、せっかくならあんな現実世界に似たシミュレーションなんかじゃなくて、電子の夢でうなされたい。

確かに考えてみればワケの分からない夢を見た日の朝はレム睡眠のせいで眠いダルいしんどい三拍子揃い踏みだが、気分だけは妙にウキウキしている。
あんな現実のどこにもないエキゾチックな世界は映画でもゲームでも美術館でも見たことがない。
俺の夢は夢なのかもしれない。
だって理路整然としたこんな世の中は飽き飽きだもんなあ。
クスリをやっているやつだって、多分現実にはもう興味ない。
そう思うと、アメリカのゾンビ街の人たちはリアルの人間電池にも見えてくる。
あの人たちを何かに繋げて活動エネルギーを吸い取ったって、本人には気付かれすらしないかもしれない。







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