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②天使セラフィーナの授業『人間界の存在意義』

アリエルの待ちに待った、『人間学』の第2回目の授業が始まります。
セラフィーナ教授が優雅に白い大きな翼を広げて、教室に入ってきました。

生徒たちは興奮と期待に胸を膨らませ、セラフィーナ教授が今日はどのような深い洞察をもたらすのかと待ちわびていました。

セラフィーナ教授は優雅な微笑みを浮かべながら、講義が始まりました。

「こんにちは、みなさん。前回の授業では、人間界がこの天使の世界とは大きく異なる事について、お話ししましたが、今日の授業では、人間界が『存在する意義』について考えてみましょう。」

生徒たちは興味津々といった表情で、セラフィーナ教授の言葉をひとつも聞き漏らすまいと耳を傾けています。

セラフィーナ教授は続けます。
「まず初めに、『孤独』とはどんな感覚か、考えてみてください。」

彼女の突然の質問に、一瞬の沈黙があった後に、生徒たちがどよめきました。

「孤独って、何だ?」「言葉は聞いたことあるけど、詳しくは知らないなぁ。」
そんな会話が、教室のあちらこちらから聞こえてきます。

生徒たちが考え込む中で、セラフィーナ教授は続けます。

「孤独とは、他者とのつながりが欠如され、自分だけが取り残されているような感覚です。これは人間界において非常に強く感じられる感覚の一つなんですよ。」

生徒たちの中には頷くものや、考え込む様子の者が見られました。

すると、生徒の一人が手を挙げます。

「教授、なぜ人間は、自分だけが取り残されている、なんて感じるのでしょうか?みんな、繋がっているじゃないですか?」

微笑みながらセラフィーナ教授は答えます。

「素晴らしい質問です。このポイントを無視して、人間界を理解することはできません。みなさん、覚えておいてください。人間は繋がっていないんです。バラバラなんです。」

生徒たちの間にどよめきが起こりました。


「え~、どうして?」「繋がっていないって、どういうこと?」
と、生徒はかなり混乱している様子です。

セラフィーナ教授は続けます。

「正確に言えば、『つながりがない』と錯覚しているのです。前回の講義でも少し触れましたが、人間は「分離」の概念を持っているからこそ、「孤独」を感じることが出来るのです。

「分離」の概念を持つことで、自分だけ取り残された存在であると感じられるようになります。他者とのつながりが欠如されたと感じることで、「孤独」という感覚が生じるのです。

そして、この孤独感による、さまざまな経験を通じて人間に感動や成長をもたらすことがあるのですよ。

あなたたち天使は、ワンネスの世界に存在しているので、「分離」の概念を持ち合わせていません。ですから、「孤独感」を通して、感動を感じたり、魂の成長を促すことは、この天使の世界では体験できませんね。

「分離」の世界でしか体験できない事や、気づけない事を得るために、天使は人間界に転生し、魂を磨くのですよ。そのために、人間界は存在しています。」

教授の言葉に、生徒たちは混乱と興奮の入り混じった表情を浮かべていました。セラフィーナ教授は微笑みつつ、教室全体を見渡しました。

「今日の講義では、もうひとつのテーマをとりあげます。この『分離』の概念に焦点を当て、それが人間たちにどのような影響を与えているのか、掘り下げていきましょう。」

セラフィーナ教授の言葉に生徒たちは更なる理解を深めることを期待し、次のテーマの発表に固唾を飲み込みました。

微笑むセラフィーナ教授は、天使たちの成長と感動を促すために存在する「分離」の世界についての奥深い理解を、生徒たちに教えられる喜びを感じていました。


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