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初めて登った山は「焼石岳」

ことしは雪が降らないし、暖かな年なので、早く山に行きたいなあ。
どこがいいかなあ。大寒で雨降る日に、うつらうつらと考えていた。
3月なら、金ヶ崎の駒ヶ岳かなあ。順調なら、そのまま経塚山や天狗森にもいけるので楽しみだ。
久しぶりに焼石の平七沼もいいなあ、そんなことを考えながら、山やカメラの入っている箱を整理していたら、生まれて初めての、登山の記録がでてきて、懐かしさのあまり、記録として投稿することにした。
昭和46年4月から社会人になった。
毎日の通勤や仕事にも少し慣れてきたころだった。
通勤途中のスポーツ店の入り口に、焼石岳登山参加者募集のポスターが、控えめに貼られていた。水芭蕉や高山植物の宝庫だと添えられていた。
焼石岳を知らないし、何を持って行けばいいのかもわからなかったが、登るのは6月なので、まだ1カ月以上もある。その間に準備しておけばいい。
店内に入り、山の参加者募集の申し込みをした。700円だった。
初めてなので、とりあえず靴とザックを揃えた。
靴はキャラバンシューズ。2400円だった。なんかだ格好よく見えた。
ザックは、袋みたいな形で青い色を選んだ。1500円。
ザックやシャツはいまだに現役だ。登山用品は丈夫で長持ちするもんだ。
当日、街の集合場所でバスに乗り、一路つぶ沼へと進む。
途中で参加者をひろったり、なんだかんだで2時間近くかかった。
つぶ沼は、キャンプ場にもなっているようで、広い芝生が気持ちいい。
準備をして、8時45分、いざ出発だ。日差しが暖かい。
途中の石沼は、登山道の下にある。とても神秘的な感じがした。
中沼分岐をすぎ、ようやく銀明水に着いたのは11時35分。3時間近くかかった。雪が壁のようになって残っていた。木造の小さな山小屋があった。
ここで早めの昼飯を食べ、12時に歩き始める。
広くて急な雪渓を2か所ほどこえて行く。滑りそうで怖い。雪を歩くのは疲れる。足が上がらない。長い雪渓歩きがやっと終わり、ゆるやかになると姥石平に着く。泉水沼はすぐそばにあり、高原の風が吹く広大な花畑だった。

当時はすべて白黒フィルムだった。
写真は数年前の6月1日
雪が多くて泉水沼はまだ雪の下だ


ゆっくりしたいが、時間がないので鳥海山の見えるところまで頑張って歩く。ここで始めて秋田側の景色が見える。一息つく暇もなく、最後の急登を、這うようにして登り、13時30分頂上。人生最初の山頂だ。
写真を撮り、一休みして10分後には下山。名残惜しいなあ。
下りはみなさん早かった。最後は膝がガクガクして、震えが止まらない。
これを膝が笑うというらしい。
銀明水~石沼~金山沢を快調に飛ばして、登山口のつぶ沼には16時30分に着いた。登りは5時間近くかかったが、帰りは2時間50分で下山した。
今日は天気穏やかで、生まれて初めて鳥海山を見た。まだ真っ白だった。
広大なお花畑には、白い花が一面に咲いていた。ハクサンイチゲと知った。

登山道までハクサンイチゲが咲き誇る
これを見たさに全国から集まる
姥石平から東焼石岳への途中


会社の人達も参加していて、山の話に花が咲いていた。
帰りの車中は、疲れていたが、山頂に立てた満足感で寝ることができず、今日歩いたコースを思い出したり、一緒に歩いた皆さんが言っている、岩手山や早池峰にも行ってみたくて、ワクワクとドキドキが止まらなかった。
この2か月後、まさか早池峰の頂上に立てるなんて、思いもよらなかった。
当時の写真(フィルム)がどこかに埋まっている。
若干の投資が必要だけれど、フィルムのデジタル化しよう。
遺跡発掘じゃないが、時間の発掘に挑戦だ。

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