明治のはなし(あきつしま)30
明治29年
1896年、清国と日本との戦争は終結し、その後の東アジア情勢が激しく動き始めた年だった。この戦争の結果、清国は朝鮮の独立を正式に認め、戦争の賠償金として日本に2億両(テール)を英国ポンド金貨で支払い、さらに遼東半島、台湾、澎湖諸島を割譲することを承認した。日本国内ではこれを大きな外交的成果と喜ぶ一方、東アジアのパワーバランスはこの新しい秩序の中でさらに不安定になっていった。
4月23日、突如としてロシアがドイツ、フランスを巻き込み、日本に遼東半島の還付を要求した。「三国干渉」である。
これは、日本にとって自ら勝ち取った権益を強国によって奪われる屈辱の瞬間だった。国内ではこの干渉に対し国民的な反発が高まり、「臥薪嘗胆」の言葉が掲げられ、いつかこの屈辱を晴らす日が来ることを日本の若者たちは誓い合うのだった。