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抗うつ薬ブーム(?)に思う

 いわゆる「お薬手帳」を健診医としてチェックする。
 気になるのが、抗うつ薬を処方されている受診者が多いことだ。処方元も、精神科だけでなく、内科や婦人科など幅広い。
 急に「うつ病患者」が増えたのか?
 それとも、新しい抗うつ薬が出まわったせいか?
 いずれにせよ心配で、診察のあと必ず「よく眠れていますか?」と聞くことにしている。

 スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン博士は、著書『スマホ脳』で推論する。
「心の不調で受診する人が、ここ10年、特に若い人の間で著しく増加している。その一因は、一気にデジタル化したライフスタイルにあるのではないか?」と。
 確かに、診察室でもスマホを手放さない受診者は少なくない。

 20万年前に人類は誕生したらしい。
 飢餓に対応できた人間だけが生き延び、その遺伝子を一万世代も持ち続けた子孫が飽食の現代に〈生活悪習慣病〉として苦しむのも皮肉な運命だ。
 食事にとどまらず、コミュニケーションにおいても問題を抱えている。かつて対面での会話しかできなかった人類は、自らが作り出した文明社会に対応できず逆にうろたえている。
「人類の一万世代にくらぶれば十世代に足るか文明社会は」医師脳

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