「異動だってさ。」 突然の辞令だった。 8人もの人間が収容できる広い会議室。 その会議室にある長い机をはさみ、わたしと部長は向かい合っていた。 2人で使うには広すぎるシンとした会議室に部長の声は吸い込まれるように消えていった。 …突然の辞令という表し方は間違っているかもしれない。 その可能性が十分にあったことについて、 わたしはずっと前から認識していたのだから。 ****************** GW明け最初の出勤日。 月初の業務、かつ長期休暇で溜まった仕事な
****************** ご覧いただきありがとうございます。 このお話は続編になります。 初めての方は是非第一話からご覧ください。 ◼️突然シリーズ 第一話:突然の辞令 第二話:突然の仙台 第三話:突然の辞職宣言 第四話:突然の報告会 ****************** “ 異動なの!?私も異動なの。” ひゅっと息を吸った途端、空気と一緒に麺も気管に入り込んだ。 ゆうこが打った予想外の文字列に前に、身体はコホコホと素直に反応する。 早く咳をとめなきゃ
****************** ご覧いただきありがとうございます。 このお話は続編になります。 初めての方は是非一話目からご覧ください。 ◼️突然シリーズ 第一話:突然の辞令 第二話:突然の仙台 第三話:突然の辞職宣言 ****************** 仙台への内示が出た3日後の月曜日。 わたしはいつもより少し早い時間に会社へ向かっていた。 5月とは思えない強力な太陽光が私の顔をじりじりと刺激する。 いつもより早く起きたのはこのギラギラの太陽のせいだ。 昨
丸っこい体からすっと伸びる黒色の尾羽。 真っ白でふわふわな羽毛に包まれた顔。 チョコペンで描いたようなつぶらな瞳。 特に正面から捉えた姿はディズニー作品の小鳥を思わせるかのようなファンタジーな風貌だそう。 北海道にしか分布しておらず、 その愛くるしい姿から「雪の妖精」とも言われている。 一時期。いや、今もなお絶大な人気を誇る「シマエナガ」。 現在、文鳥やインコ、キンカチョウなど多くの鳥類グッズが販売されているが、一世を風靡したシマエナガグッズはその中でも特に目にするこ
****************** このお話は続編になります。 初めての方は是非一話目からご覧ください。 ◼️突然シリーズ 第一話:突然の辞令 第二話:突然の仙台 ****************** 「ま…じ?」 驚きのあまり言葉が出なかった。 しかし同時的かつ複雑なわたしの感情を表すには最短で最適な言葉だったと思う。 「まじ」なんて言葉を使ったのはいつぶりだろうか。 少なくとも社会人になってからはほとんど口にしていない。 会社で使うには少々…大分フランクな印
このお話は「突然の辞令」の続編になります。 初めての方は是非前編からにご覧ください。 ****************** 「相談には乗るから。」 そういった時の部長は微かに微笑んでいる様に見えた。 元々そういう顔つきだからかもしれないが、 普段となんら変わらないその顔色にわたしは 「私が異動することについて何も感じていないのではないか。」と少し悲しく思った。 そんなことを感じながらも、わたしの脳は「転勤」することで起こり得る可能性、対策について頭をフル回転させていた
可愛いTシャツ、見つけました。 オフィスカジュアルな洋服を買う予定だったのに 見た瞬間から買うという決断をしてしまいました。 一見、オシャレに見える英字。 弱々しい姿の彼女から発せられる愛嬌。 1匹ではなく三匹でこちらに訴えかけてるくのもまた良し。 今年は例年以上にわかりやすい「梅雨明け」。 おうちでも暑さにやられふらふらになっている方が多いと多いと思いますが、可愛いTシャツを探して今夏を乗り切りましょう。 終わり。 ※ちなみに裏はこんな感じ
この話は前回の話(初めての一人暮らし4)の続きとなります。 第一話(初めての一人暮らし)はこちらからお進みください。 ****************** 水分が多い、しかしお粥というには 米の食感が楽しめるご飯を わたしは綺麗に食べ終えた。 お腹がご飯に満たされ、 ご飯で押し出された空気が口からふぅ、、とながれ出る。 決してパンが美味しくないというわけではない。 しかしパンとは異なる優しい甘味。 何より食べる量を気にせずにいられることは 大変な幸せであった。 **
この話は前回の話(初めての一人暮らし3)の続きとなります。 第一話(初めての一人暮らし)はこちらからお進みください。 ****************** 艶々のお米を目の前に、 真っ白な顔のわたしはパサパサのパンを食べていた。 思考は停止していたが、 それでも手は止まることなく少しずつパンを口へと運んでいった。 数分後、大事に食べたにも関わらず、スティックパンは綺麗さっぱり手元からなくなっていた。 変わらないのは目の前のお米だけ。 ****************
※前回の話(初めての一人暮らし2)の続きになります。 翌朝 カーテンが閉じているにもかかわらず、太陽の光は部屋中を照らしていた。 窓際に敷いた布団にも光は等しく降り注いでおり、自分の顔にあたる光に少しの鬱陶しさを感じながら私は起き上がった。 ティンティロリン ティンティロリン 途端、聞き慣れない携帯のアラームが部屋中に鳴り響く。 9時を知らせる無機質なアラームを聴きながら、わたしはぼーっと見慣れない部屋模様を眺めていた。 …そうだ、お金ないんだった。 自分が一
※前回の話(初めての一人暮らし)の続きになります。 ****************** お湯が沸き上がる数十秒前。 私はあることに気がついた おかしい… ここに来てはっきりとその違和感に気がついた。 コップがない。 緑茶が大好きな私のために 一度にたくさんお茶を飲めるよう少し大きいサイズのコップ。 中学の時、誕生日プレゼントでもらったあのお気に入りのコップがキッチンに見当たらなかった。 ああ。 この漠然とした違和感はあれだ。 忘れ物をしたようで、でも確信がない時
3月。 花の香りを含んだ風が歩くわたしを急かすかのように背中を押してくる。 …小説の冒頭部分にありそうな文章だな、と思いながらわたしは歩みを進めた。 実家から最寄り駅までは歩いて20分。 江戸川沿いにある実家から駅までの道のりは 平坦ではあるが、川、住宅地、神社、商店街とコロコロと顔を変える。 普段は特に気にも留めない表情の変化を 初めて歩く街並みのように感じながら 傷一つないスーツケースをお供に歩いていく。 晴天。 寒くも暑くもないちょうど良い気温。 花粉が乗ってま
2021年2月16日 先日はバレンタインということもあり お菓子作りを楽しんだ人も多いのではないでしょうか? 最近では自分へのご褒美に美味しいチョコを。 という"自分チョコ"というものが流行っており、本命チョコを渡す人は当時に比べ半分くらいに減少しているとか…していないとか…🍫 本日は時にはきゅんと、時には苦い思い出のあるそんなバレンタインにまつわるお菓子作りについてお話ししたいと思います。 ********* 何年経っても忘れない、あれはじじだっくんが高校2年生のバ