見出し画像

児発放デイ令和6年度報酬改定の検討事項(10/18版)

児童発達支援や放課後等デイサービスの運営情報を中心に配信していきます。
記事前半を読むだけで十分な情報となるように心がけていますが、記事後半の深掘りはコミュニティ限定とさせていただいています。ぜひコミュニティにご参加ください。

令和6年4月の報酬改定が、児発や放デイを運営されている皆様としてはもっとも注目の話題ではないでしょうか。10月18日に「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」が開催され、児発・放デイの報酬について検討されました。後に紹介しますが、厚労省・こども家庭庁から提示された資料の11個の論点におおむね賛同されていて、資料通りに報酬改定が検討されると考えられます。
児発・放デイに関わる要点だけまとめると、「支援時間に応じた報酬区分」「児童指導員加算は常勤・非常勤と経験年数に応じた評価」「専門的支援加算において専門性の評価と特別支援加算の統合」となると考えられます。児発・放デイ共に支援時間に応じた報酬区分が導入されることはほぼ間違いなく、短時間の支援を行っていた事業所には厳しい報酬改定になることが想定されます。一方、専門性の高い支援や長時間の支援を行ってきた事業所に対しては、物価上昇なども考慮に入れ報酬増が想定されます。
今後の予定として、12月頃に「基本的な考え方の整理・取りまとめ」、2月頃に「報酬改定案のとりまとめ」、3月に「関係告示の改正、通知等の発出」、4月から適用と、いつも通り慌ただしい日程となっております。


令和6年度報酬改定の検討について

10月18日に「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」において、児発・放デイの報酬・基準について検討されました。資料PDFが約100ページ、論点が11個と大変ボリュームのある内容となっています。URLを下記に示していますので、資料を一読いただければ思います。

資料1 児童発達支援・放課後等デイサービスに係る報酬・基準について[PDF形式:5.9MB]

検討チームにおいては、アドバイザーの意見が大きく影響しますが、全員が概ね賛成となり、資料から大きな変更なく今後の報酬改定が進められていきます

論点1:児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実

児発センターは、福祉型と医療型の類型の一元化(児童福祉法改正で決定済み)に対応した報酬検討がされています。

  • 報酬は全類型の一元化を検討し障害特性に合わせた評価

  • 福祉型・医療型の類型の一元化は決定済みだが、新基準の適用については経過措置を設ける

  • 機能・運営の強化により4つの中核機能を備え、体制や取組みに応じて段階的に評価(配置専門職種の強化も)

    1. 幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能

    2. 地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能

    3.  地域のインクルージョン推進の中核機能

    4.  地域の発達支援に関する入口としての相談機能

論点2:総合的な支援の推進と特定領域への支援の評価等(児発・放デイ)

  • 5領域すべてを含めた総合的な支援が重要

  • 5領域とのつながりを明確化できる個別支援計画のフォーマットをガイドラインにおいて示すことを検討(各ガイドラインの見直しを検討)

  • 5領域とのつながりを明確化した事業所全体の支援内容を示すプログラムの策定・公表を求めることを検討

  • 特定領域支援は、相談支援や個別支援計画書等で丁寧に判断し計画的に実施されること、また主治医との連携も重要

  • 習い事のみを提供する支援は相応しくないと考えられ、個別支援計画書において5領域とのつながりを明確化すること

  • 児童指導員加算については、配置形態(常勤・非常勤)経験年数に応じた評価(専門職の支援は専門的支援加算により評価)

  • 専門的支援加算及び特別支援加算について、両加算を統合し、支援体制と専門人材による個別・集中的な支援の計画的実施を2段階で評価

  • きわめて短時間の支援は算定対象外とし、支援時間に応じた評価

  • 長時間の支援について、延長支援加算を見直し(論点10参照)

  • 自己評価・保護者評価については実施方法などを明確化

論点3:関係機関との連携の強化

  • 関係機関連携加算(Ⅰ)について対象となる機関に医療機関や児童相談所などを含めることを検討

  • 関係機関連携加算(Ⅰ)を個別支援計画書作成時以外に情報連携を行った場合の評価を検討

  • セルフプランについては、自治体と障害児支援利用計画(セルフプラン)と個別支援計画書を共有して活用する仕組みの検討(自治体にモニタリング機能を求める)

論点4:将来の自立等に向けた支援の充実

  • 放デイにおいて通所や帰宅の機会を利用した自立に向けた支援(公共交通機関の利用の同行など)の評価を検討

  • 放デイにおいて、高校生について学校や地域連携の下、卒業後の生活に向けて、就労等を見据えた支援の評価を検討

論点5:医療的ケア児・重症心身障害児への支援の充実

  • 認定特定行為業務従事者の支援の評価

  • 重症心身障害児への全体的な報酬の見直し

  • 入浴支援の提供検討

  • 送迎支援の見直し

論点6:強度行動障害を有する児への支援の充実

  • 強度行動障害児支援加算について評価の見直しを検討

  • より強い強度行動障害児に手厚い評価の検討

  • 放デイ個別サポート加算(Ⅰ)は予防的支援を充実させることから評価見直しの検討

10月18日の検討会とは別に、10月23日に「強度行動障がいを有する児者への支援」が検討されました。主に障害者への支援の検討でしたが、関わる点としては次の点があります。

  • 行動関連項目による判定結果が24点中10点以上を対象としているが、さらに重度となる者に対して手厚い支援と評価

  • 幼児期から家族を含めライフステージを通して地域生活を支えていく体制づくり

  • 高い支援力のための中核的人材の配置の評価

  • 高度な専門性により地域を支援する人材(広域的支援人材)による事業所訪問などで支援方法の整理、環境調整を行う集中的支援の評価
    (発達障害者支援センターに配置されている発達障害者地域支援マネジャーの役割として追加)

論点7:ケアニーズの高い児への支援の充実

  • 児発の個別サポート加算(Ⅰ)の評価の検討

  • 放デイの個別サポート加算(Ⅰ)のより課題のある児への評価を検討

  • 個別サポート加算(Ⅱ)こども家庭センターやサポートプランに基づく支援との連携を推進し評価見直しを検討

  • 難聴児で人工内耳を装着している児への支援を評価検討

  • 視覚・聴覚・言語機能に障害のある児について、意思疎通に関し専門性を有する人材の配置した支援を評価検討

論点8:継続的に学校に通学できない児童(不登校児童)への支援の充実

  • 放デイにおいて、学校との連携の下、継続的な通学につながる具体的な支援を評価検討

本件については、学校への登校が最終目的と捉えられるような表現とならないよう、多様な在り方を評価するようにアドバイザーから意見がありました。

論点9:家族への相談援助等の充実

  • 家庭連携加算について訪問支援を促進する観点から評価の見直し

  • 事業所内相談支援加算についてオンラインによる相談援助を推進する観点から評価見直しを検討

  • きょうだいの相談援助なども対象であることを明確化することを検討

  • 児発・放デイにおいて、家族が支援場面などを通じて、こどもの特性や、特性を踏まえた子供への関わり方などを学ぶことができる機会を提供した場合の評価を検討

論点10:預かりニーズへの対応

  • 預かりニーズに対応した支援時間に応じた区分の設定を検討

  • 延長支援加算の見直しを検討

  • 延長時間帯の職員配置については安全性確保の観点から2名以上の配置を求める(児発管の対応を認める)など運用の見直しを検討(現状1名配置)

論点11:インクルージョンの推進

  • 児発・放デイにおいて、並行通園や保育所等への移行、インクルージョン推進の取組みを求め、個別支援計画書などにおいて具体的な取組みの記載と実施を求めてることを検討

  • 保育・教育等移行支援加算について、移行前の移行に向けた取組みについても評価を検討


前半の記事のおわりとお礼

ここまでを前半の記事とさせていただきます。
前半の報酬改定の11の論点だけでもけっこうなボリュームのある記事となり、ここまでお読みいただきありがとうございました。

後半のコミュニティ限定では、報酬改定の論点から気になる点や予測を配信しています。概要は目次を見ていただくと分かるようになっています。

ここから先は

3,408字

ベーシックプラン

¥500 / 月
初月無料
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?