初コミティアは、当日14時からのサークル参加……!?ジヘン作家に聞く、コミティアとジヘンについて。
コミティアは、自主制作した漫画を発表・販売する展示即売会。ジヘンでは東京コミティアを始めとした各コミティアに出張編集部として参加し、次代のジヘンを切り開く漫画家の発掘を行っています。
今回は、ジヘンにて『バベルの設計士』を連載中の芦藻 彬(あしも あきら)さんにインタビューを行い、コミティアやジヘンについてのお話を伺いました。
ジヘンで連載する以前について
――まず初めに、ジヘンで連載する以前のことをお聞きしたいと思います。
漫画はいつ頃から描かれていたのでしょうか?
芦藻:漫画を描き始めたのは、それこそ幼稚園の頃ですね。
チラシの裏なんかに、プレステのゲーム『どこでもいっしょ』のキャラクターの二次創作をずっとしていて。理由はよく分からないんですけど(笑)
――イラストではなく、その頃から漫画を?
芦藻:最初は4コマ漫画みたいな感じでコマ割りしていました。しばらくはトロ(『どこでもいっしょ』のメインキャラクター)を描いていて、その後は『ドラゴンボール』の漫画を描きました。
――小学校中学年くらいになると、ジャンプの影響が強くなりますね。
芦藻:中学二年生の時に仲良くなった漫画好きの友達が、今市子さんの『百鬼夜行抄』を貸してくれて。それにすごくハマって、少女漫画や青年漫画を読み漁るようになりました。『蟲師』にも大きく影響を受けていると思います。
――そこから描くものも青年誌寄りに?
芦藻:少しずつ青年誌っぽい作品を描くようになりましたね。
中三くらいの時に初めて、ちゃんとGペンで全部ペン入れした読み切りを完成させました。
それまでは原稿を完成させたことがなくて、一本読み切りを完成させたのが、その中三の時で。『蟲師』テイストが強く出た話でしたね。
――漫画家になりたいと思われたのはいつ頃だったんですか?
芦藻:割と小さい時から、漫画家になりたいと思っていました。
蟲師にハマった時くらいから、死ぬまでに四季賞を獲りたいと思うようになり、アフタヌーンに持ち込んだところ、幸運にも担当について頂けることになって。
賞に応募し始めたのが2015年くらいで、冬の四季賞で佳作を頂くことができました。それからしばらくは、アフタヌーンに向けた読切を描いていましたね。
コミティアについて
――コミティアで何冊か同人誌を出されていますが、参加したきっかけは何だったのでしょうか?
芦藻:初めてコミティアに参加したのは大学一年生の時ですが、存在は昔から知っていました。大学生になったら出るぞー、と思っていて。
――初めてのコミティアはどうでしたか?
芦藻:ようやく出られるコミティアということで気合は十分だったんですが、自分のスケジューリング力の未熟さで勢い余ってしまい、案の定惨敗でした。
全然間に合わなくて、当日の14時から参加するみたいな(泣)周りはもうほぼ終わって、まったりした時間が流れていて……。
――それは一般参加の話ですよね?
芦藻:それがサークル参加の話なんです。もう帰っている人も多くて。隣の人に「何人か探しているお客さんがいらしてましたよ」と伝えていただいた時、申し訳なさでいっぱいになりました(その時来てくださっていた方、本当にすみません…)。おまけに合同誌だったので、あんなに迷惑をかけたのにまだ一緒に本を作ってくれているサークルの仲間には本当に頭が上がりません。
――遅刻の原因は、やはり作品が完成しなくてということでしょうか?
芦藻:実は、全部自家製本するという企画だったんです。昔から本が大好きで、製本オタクなんですよね。
個々のページは基本的に平面の情報ですけど、それが積層して三次元の立体物になるのが面白いなと感じていて。めくりなどで動きも生まれるじゃないですか。空間といってもいいかもしれません。
そういう部分にこだわりすぎて、家で印刷して製本して帯をつけて…という事をやっていたら全然間に合いませんでした(笑)
――なるほど……。2回目のコミティアの時はどうでしたか?
芦藻:大学の忙しさなどで少し時間が空いてしまったんですが、僕がTwitterで「アメリカでは同人誌のことZINEっていうらしいよ」とツイートしたら、ミュージシャンやってる友達から「ZINE作ろうぜ」ってリプライが来て(笑)
――ZINE作ろうぜ、と言われて作ることになったと(笑)
芦藻:さらに短歌を作ってる友達がかぶせて来て、「俺、短歌詠んでるんだけど、入っていい?」みたいな調子でトントンと企画が走り出しまして。それで短歌・音楽・イラストを組み合わせた、複合的な同人誌になりました。
――その時は、14時より前に来られたんですよね?
芦藻:そこはちゃんと、前回の反省を活かして(笑)。
1回目は時間もなくてあまり会場内は回れませんでしたが、2回目は隣の方とお話しできたのが嬉しかったです。みなさんが「好き」を追求されているので、色々話に花が咲きますね。
――作るのが好きだったり、参加する人は読むのが好きだったり、好きな人たちが集ってきますからね。
芦藻:良い空間ですよね。あの場にいるだけで、創作へのエネルギーを溜められます。
――書き手と読み手の距離が近いのも、コミティアの魅力ですね。読み手からすると、意外と話しかけるのに勇気が必要だったりしますが……。
芦藻:分かります(笑)ただ、サークル参加して話しかけられると嬉しいというのを体感してから、自分から感想を伝えるようにしています。
ジヘンについて
ーージヘンとの出会いについて、教えて頂けますか?
芦藻:編集長の鹿島さんがブースにいらして、名刺を渡してくれたことがきっかけです。作品もその時買って頂いて。
コミティアに出て5回目あたりだったと思います。建築学科の卒業制作で作った漫画をたまたま同人誌として持って行ったんですが、編集長が自分も建築学科を卒業しているということで声をかけてくださって。
――編集長も建築学科出身だったんですね。知りませんでした。
芦藻:僕もびっくりしました(笑)「建築の漫画描こうよ!」って誘って頂いて。そこから建築を題材に連載ができないかということで企画が始まりました。
――そこでジヘンというレーベルと縁ができたんですね。実際に連載が始まるまでのやり取りで、ジヘンにどんな印象をお持ちになりましたか?
芦藻:新人の育成にとても力を入れているなと。
最初に編集長からジヘンに関するプレゼンシートを見せていただいて、紙の雑誌が減り、漫画の形態が変わってきている世の中で、Webでも紙と同じように品質の高い作品作りをしたいという思いを伺いました。色々分析されたデータも見せていただいて、意義のある試みだなと思いました。
――他社とのやり取りもあったと思いますが、そういった中で最終的にジヘンで描こうと思われた理由は何でしょうか?
芦藻:編集長との打ち合わせが、すごく明解だったのは大きいと思います。
何をすればいいかが明確で、止まることなく手を動かして企画が進んだということが決め手になりました。
連載中の作品について
2018年10月から、『バベルの設計士』の連載が開始されています。どれくらいの期間、準備をされていたんですか?
芦藻:ちょうど一年ですね。留学することがほぼ決まっていたんですが、編集長から「留学しながら連載って面白くない?」と言われて(笑)
――このインタビューも、イタリアから一時帰国されたタイミングでお話を伺っているわけですが、留学中に連載をするということを、新人作家はまずやらないと思います。やはり大変だったのではないでしょうか。
芦藻:本当に、怒涛の日々です(笑)出発前も原稿やりつつ、留学の準備しつつ、ドタバタしてました。
私費留学だったので、向こうの大学と直接メールやり取りしたり、大使館に行ったり、思っていたよりずっと手続きに時間がかかりました。
――落ち着いて漫画を描ける状況とはほど遠いですね。
芦藻:ビザがまた大変で(笑)住む場所を見つけなきゃいけなかったのですが、それが全く見つからなくて…。イタリアに電話をして、手伝ってもらって何とか……今はとても素敵な場所に住むことができています。
――『バベルの設計士』はどういう発想から生まれた作品なんでしょうか?
芦藻:先程も少し話をした部分ですが、建築を題材にした漫画というところから企画がスタートして、最初は建築探偵物みたいな漫画を考えていました。ただ、企画打ち合わせの時に、建物にテーマが込められると良いですよね、という話が出て。
最初の方に例え話で、バベルの塔みたいな、テーマに建築が詰まっているような題材がいいですよねって話が出ていたので、「それならいっそ『バベルの塔』がいいんじゃない?」という話に。しかもバベルの塔って、崩れた塔の伝説じゃないですか。その謎が面白いなと思って、最終的にはそれがテーマになりました。
終わりに
――最後に一言、コミティアへの思いを頂けますか?
芦藻:一言…。
――一言じゃなくても大丈夫です(笑)
芦藻:刺激し合える空間であり、まさに創作が生まれている場所です。
プロアマの垣根を超えた特殊な場所で、一つの文化を形成していると言ってもいいかもしれません。
今は海外留学中なのでなかなか会場に行けていませんが、帰国したらぜひまた参加したいです!
――ありがとうございました。
【編集後記】
現在イタリアに留学中の芦藻さん。コミティア128では本人は不在ですが、合同サークル内でヴェネツィアの漫画を頒布されるとのことです。
興味のある方は、「U09a 羊々工社」まで足を運んでみてはいかがでしょうか?
【ジヘン編集部からのお知らせ】
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