パズルを解く
チンパンジーと子どものパズルの解き方の違い
ヒトがチンパンジーと異なることは見た目からすぐにわかりますが、知能に関してはどうでしょうか?
異なる生活環境に適応してきたヒトとチンパンジーの知能を比べることは容易ではありません。
ですから、ヒトとチンパンジーのどちらがより高い知能を持つのか?ということではなく、同じ課題に対しての取り組み方の違いを見ると、とても興味深いことがわかります。
ある研究では、パズルボックスを制作し、3つの異なる難易度の問題を設定しました(下位のレベルを解かなければ上位のレベルの問題には取り組めない)。
すると、チンパンジーは33頭中1頭しか最高レベルの問題にたどり着けませんでしたが、人間の子どもは35人のうち15人が最高レベルに到達することが出来ました。
この違いは、子どもたちが積極的に話し合ったり、教え合ったりしたことにより生まれたのだとこの研究では結論付けられています。
つまり、ヒトは個々人が賢いというわけではなく、協力し合ったり、教え合ったりすることによって賢くなる可能性が、チンパンジーなどの他の種に比べてあるというわけです。
ヒトの知能の源泉は他者との関りの中に見出せるのかもしれません。
参考文献:
Dean, L. G., Kendal, R. L., Schapiro, S. J., Thierry, B., & Laland, K. N. (2012). Identification of the social and cognitive processes underlying human cumulative culture. Science (New York, N.Y.), 335(6072), 1114–1118. https://doi.org/10.1126/science.1213969