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【第10話】スタートライン

3年生→4年生に進級するにあたって、またクラス替えがある。

クラスが変わること、不安がないと言えば嘘になる。

隆史(仮)と離れたら…

これに尽きるわけです。

どのクラスになっても、3年1組の残党はいるはずやから前のように孤独になることは無いやろう。

でも、隆史がいないクラスは楽しいのかな?

一年近くで立派に依存していた。

もちろん当時の私は、ただただ隆史ロスによる不安や寂しさを募らせていただけですが…

ーーー切り取りーーー

20才を過ぎた辺りから「男に依存する女」が嫌いな女のタイプになっていた。

「涙を武器にする女、涙を大安売りする女」も…まぁ嫌いだった。

なぜなら20才を過ぎるまでの自分がそうだったから。

男を利用しまくる、それはあらゆる意味で依存していたと思っている。

人生に置いて男に初めて依存したと認識できるのが、この時である。

ーーー切り取りーーー


夏休みも冬休みも、少し離れているとはいえ行けない距離では無かった隆史の放課後生息エリアに私はよく足を踏み入れた。

自宅周辺で隆史と遊ぶことはなかった、何となく町内の子供と隆史を含めて遊びたくなかったように思う。

連絡手段も無い、家の電話を使えば良いけど余程の事がない限り小学生が遊ぼうと誘うのに家の電話なんて使わなかった。

長期休み以外なら学校の帰り際に待ち合わせる約束も出来た。

3年生の夏休み、隆史と遊びたかった私は脳みそフル回転で考えた結果ちょっと…ちょっとだけ悪いことをした。

どんなことって?

家の中にある貯金箱や小銭をいれたガラス瓶から小銭を抜き取る。

あぁ、男のために手段を選ばない初期症状ですね。

もちろん持ち主は両親or祖父母。

そして抜き取った小銭で隆史の家、クリーニング屋に電話をしたのである…っ。

これはもう当時、我ながらナイスアイデアと自画自賛でした。

結局バレてませんしね!!


クリーニング屋に電話をかけて、出るのはいつも隆史のお父さん。

昔から声が低かったのと名前のお陰で男友達と信じて疑わなかったそうです、確か小学校卒業まで。

なので快く隆史と代わってくれたし、不在時にはどこに行ったか教えてくれた。

これ一歩間違えたらストーカー?

いや、立派なストーキングですよ。

隆史も、嫌がること無く日常の中に私を入れてくれた。


終業式を終えて、春休み。

スイミングに初めて1人、自転車で通った日。

相変わらず級は追い付けないままだった。

終わったあと自転車を押しながら互いの家に向かう道の分岐点で少し座り込んで話していた。

「また同じクラスなれるかな…」

ふと言った言葉、無意識だった。

それを聞いた隆史は、

「もしクラスが別でも友達は変わらんやろ」

またいつもの笑顔で答えた。

続けて言った。

「俺、春休みからそろばん教室通うねん。」

クリーニング屋の跡取りやしな、英才教育かな。

「私も行きたい!行く!親に頼む!」

もーほんと依存症。

隆史も無邪気に言う。

「よっしゃ競争やな!」


その日、帰ってからすぐ親に頼むと思いの外…あっさりと了承された。

今も昔もそろばん教室は通わせたい習い事ランキングで上位のためか…

駅の近くのそろばん教室は、隆史の家でもあるクリーニング屋とヘンテコな名前の商店街を挟んだ近い距離にある。

隆史のテリトリーにどっぷり浸かり、隆史への依存が更に深まったのは言うまでもなく…

いかに隆史と一緒にいるか、遊びたいというより一緒にいたいと考えるようになっていた。

それはつまり…


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読んで頂きありがとうございました!

雨による災害に気をつけて💦

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