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蟹工船の漫画見たけど地獄だこの国・・・

蟹工船 (まんがで読破)」を読んだ。

Kindle Unlimitedに入っていれば無料で読めることが多い「まんがで読破シリーズ」だけど、蟹工船は絵のタッチも迫力があって、とっても地獄だ。

主人公?の森本さんかっこいい↓

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えっ? 「無職がKindle Unlimitedなんて入ってるじゃねぇよ」って?

3ヶ月99円のときに入ったんですぅぅぅぅううう!!

さて、「蟹工船」と言えば、日本では共産主義を勧める悪書みたいな扱いを受けている・・・かは知らないけど、私はそんなイメージでした。

作者の小林多喜二は、天皇や日本国に逆らうものを徹底的に取り締まっていた特高警察により拷問を受け、惨殺されます。

軍国主義が進み、それに都合が悪いものは殺しても構わない。

それが当時の日本なのです。・・・地獄だ。


いかに地獄かは漫画の一番最初のセリフからも伺えます。

おい 地獄さ行くんだで

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ああこれはもう地獄行き間違いなしですね・・・


日露戦争で運送船などで使われていたボロボロの船を改造した船に乗り、船は宗谷海峡へ向かいます。

このとき、この船には帝国海軍の駆逐艦が護衛についています。

船はロシアの領海に入り、漁業を始めます・・・いや領海はまずいでしょ!

ロシアの監視船に見つかれば沈められるぞ」という船長に対して、主任監督の浅川が言い放ちます。

帝国海軍の駆逐艦が俺たちについてるのは、つまりこんな時のためなんだ

ロシアがなんと言おうが武力で黙らせるというわけですね。

現在は日本側がやられ放題というのが、悲しい話ですけど…


さて、蟹工船とはなにかといえば、カニを獲り、それを船の中で缶詰加工し、しばらくすると中積み船に缶詰を渡して、またカニを獲り・・・という無限地獄を繰り返す船のことです。

カムサッカの夜明けは午前2時。労働者たちは叩き起こされ、そこから16時間労働休日なし)が始まります。

蟹工船の労働者たちは風呂も月2回に減らされ、ノミとシラミが体中に湧く一方で、労働者を使役する立場の人間は毎日風呂に入り、酒を飲みます。

労働する側と使役する側の圧倒的な格差。

陸上ではなく船だからこそ、より格差が際立つ感じがしますね。


さて、そんな地獄のカニ加工生活のある日、船は時化(しけ)に遭遇し、森本さんが乗っていたカニを穫るための小舟は、親船に戻れなくなってしまいます。

暴風の中、海を漂う労働者を乗せた小舟……残念ながらほぼ助からないのが普通です。

しかし運良くロシア船に助けられ、温かい食事をごちそうになり、そこに乗っていた中国人の男から共産主義を教えてもらうのです。

働かない金持ちが労働者を過酷な条件で酷使し、利益は労働者ではなく金持ちにばかり還元される世界はおかしい、労働者は一致団結し、それに対抗してまともな条件を勝ち取るべきだ

これを赤化といい、日本では国家の敵扱いになるわけですね。

なんかおかしいこと言ってない気がしますけど。

さて、森本さんはその後、親船に無事に戻ることが出来たのですが、ロシア船から戻ったということで「あいつ何かやるんじゃねぇだろうな…?」と主任監督の浅川は警戒します。

そして森本さんは労働者たちに団結してストライキをしようと提案。

労働者たちは言います。

「ストが成功する保証は?」「失敗したらどうなる?」「このまま従ってれば殺されることはないだろ」

「まだ行動する時じゃない。殺されそうになったらやるべきだ」

・・・そこで労働者の1人が放った一言。

今 殺されているんですよ。 ゆっくり・・・小刻みにね

それを聞いた労働者たちの一部はスト要求への覚悟が決まり、いよいよ行動に移す時が来ます。

労働者みんなが賛同したわけではないですが、少しでも事態は動く。

ロシア船の中国人から教わった、「星火燎原」。

星の光のように小さな火が、原野を焼き付くす巨大な炎となる。

一番最初の小さな火を森本さんは起こしたわけですね。

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団結した労働者たちは、監督に要求条項と誓約書を渡します。

これに応じられないならストライキに突入する!

しかし監督はそれを受け取るとこう告げます。

後悔しないかい・・・?

引き下がる監督。返事は明日の朝ということになりました。


次の日の朝、甲板に集められた労働者達。

森本を含めた代表者9名が監督と対峙します。

すると、なにやら近くにいた駆逐艦から小舟が近づいてきます。

労働者たちは歓喜。

「士官が助けに来てくれた!!」「帝国海軍 万歳!!!」

しかしなにやら様子がおかしい。

駆逐艦から蟹工船に乗り込んできた軍人たちはおもむろに武器を取り出すと、森本達9名に暴行を加え始めるのです!

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ストライキは、失敗に終わりました・・・。

森本さんは海軍に引き渡され、もういない。

結局は帝国海軍も資本家の下僕。労働者に勝ち目など無かった――

労働者の反抗に怒り狂った監督の厳しさは更に苛烈さを増し、労働環境は更に悪化しました。


しかし、労働者たちはまた立ち上がります。

今度は300人全員でストライキ要求をしたのです。

全員を海軍に渡せるなら渡してみろ!」

「カニの缶詰作るやつは居なくなるがな!!

確かに!!

正直できれば一発目からそれで行きたかったけども!

ということで、このストライキは成功!

労働者たちは行動によって自分の未来を変えたわけですね。


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蟹工船で語られていることは、なんだか今の日本のブラック企業にも関連するところが多い気がします。

過酷な労働でも文句を言わずに働き続ける日本人。

生ける地獄から抜け出せない人は多いですよね。

森本が偶然ロシア船に助けてもらったことで行動を変える機会ができたように、今の日本人も本や動画や他の何かで、労働者について学び、行動しなければ状況は改善しないんでしょう。

そしてブラック企業はそういうことをさせないために、労働者から考える時間や機会を奪うことが大事だと思っているんでしょうね。

私が前に勤めていた会社でも言っていました。

休ませるとすぐ辞めること考えるから休ませたくないわ


やはり地獄。

そして未だに支給されない私の失業手当。

もうホント・・・地獄だこの国。

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