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【昭和探訪】ガンプラ将棋倒し事故

戦前からあった将棋倒し事故

10月29日深夜、韓国・ソウルのイテウォン地区でハロウィーンイベントに集まった若者らが人波に押しつぶされ154人が死亡する大惨事が発生しました。大変痛ましい事故です。

祭りやイベントなどの圧死事故は国内外問わず発生しており、古くは京都駅跨線橋転倒事故(1934年)、彌彦神社事件(1956年)、近年は明石花火大会歩道橋事故(2001年)などがあります。

死亡事故ではありませんが昭和はガンダムブームが原因の将棋倒し事故がありました。

ガンプラ将棋倒し事故

1982年、千葉県のダイエー新松戸店で起きた「ガンプラ将棋倒し事件」です。

当時、ガンダムのプラモデル、通称「ガンプラ」は空前絶後の大ブーム。各地で品薄が起きました。そこで同店にガンプラが入荷したところ小中学生が殺到し将棋倒し事故になったのです。

今の時代、家電量販店の玩具売り場でガンプラは散乱しています。ところがブーム当時はホントにガンプラはプラチナ商品でした。

ガンプラを知らない人にはピンとこないかもしれません。「武器セット」ってあるんですよ。これはガンダムに登場したモビルスーツ(ロボット)が使用した武器だけを集めたプラモデルでした。

これだけ持っていても意味がありません。私が最初に入手できたのがこの悲しき「武器セット」でした。それでもガンダムを冠したプラモデルを得ることは無上の喜び。

今思えば、あんな鉄球や青龍刀みたいなの作って何が面白いんだ? と思うけどそれは言いっこなし。

悲惨な抱き合わせ商法

一般的なオモチャ屋さんにガンプラはなかなか入荷しません。しかし縁日などテキヤ稼業はバッチリ仕入れます。特殊なルートがあったのでしょう。

確かにガンプラを入手できました。しかし「抱き合わせ販売」という悩ましい障壁が少年たちの財布を襲います。

当時人気だったのは144分の1スケール(300円)でした。小学生のお小遣いでも十分手が届きます。

誰でもガンダムは欲しい! そこでテキヤ連中は消費者心理をついて「お前どこの誰や!」みたいなイモロボット(80年代風表現)のプラモデルをガンプラに抱き合わせ売りつけます。

ビニールひもで二つを縛っているから分離や不可能。300円×2で合計600円。価格的にかなりハードルがあがります。

早い話がガンプラを600円で買い、誰もいらないイモロボットがおまけについてくる格好です。その組み合わせがまたよくできていました。

みんなが欲しいガンダム(主人公搭乗機)+イモロボ
シャアザク、ドム、グフ(ガンダムに匹敵する人気)+イモロボOR昔人気だったロボットアニメのプラモ
ガンキャノン(ガンダムの支援機)+イデオンのザコキャラ(同時期に放送されたアニメ)

つまりお目当てのガンダムをゲットするには確実にイモロボを押しつけられます。
二番手人気はイモロボ、またはマジンガーZのプラモデルとか。名作には違いないけど、82年頃にマジンガーZはきついです。

とは言えガンプラが欲しい子供にとってはイモロボを強制購入させられたとしても重要な入手経路でした。

こんな時代だったからガンプラを求め人が殺到するのは仕方ありません。

怖い群集心理

これが一般的なお祭りや施設の入場ならば例えば時間で分散したり、抽選にしたり策が講じられます。しかしハロウィーンのような自然派生的に人が集まるイベントは制御困難です。

主催者が仕切るイベントとは異なり偶発的な要素が強いハロウィーンはよりトラブルの可能性が高まります。

2018年ハロウィーンの渋谷駅前。

しかも仮装を見せたいという自己顕示欲によって群集心理がさらに暴走する地獄絵図。時代は変わって本来は人のマナーが向上しているはずなのにこの「群集心理」だけはコントロールできませんね。



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