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東海の味、スガキヤ復活を考える!

中日新聞8月29日の記事より。

ラーメン店「スガキヤ」を展開するスガキコシステムズ(名古屋市)は28日、全店舗の1割に当たる約30店を来年3月までに閉店すると発表した。

東海地方の人間としては安倍首相辞任に匹敵するニュースです。ここ数年、店舗閉店が続いていましたが、今回は規模が違います。

福井県、石川県の店舗がごっそり閉店ですなわち「版図」そのものが大幅に変わるのです。上のMAPを見てください。スガキヤの店舗は愛知、岐阜を中心に中部、機内、北陸に及びます。何かに似ていませんか。そう、あの織田信長の勢力範囲とほぼ符号します。信長で言えば柴田勝家、佐々成政といった重臣が撤退したイメージ。これが織田家だったらば、何人か粛清されたはず。

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ご存じない、または食べたことがない、という人にご説明すると豚骨系&魚介系というスープに細麺。バラ肉チャーシューが一枚にメンマ、ネギ少々ががベース。これに「肉ラーメン」という名のチャーシューメン、ここに卵が加わると特製ラーメン。五目ごはん、サラダ、あるいは甘味とのセットメニューもあります。レジで注文すると端末を渡され時間がくると

「ピッピピーピッピピー」

と呼び出し音がなります。この時の電子音とともにバイブレーション機能が作動し、テーブルに振動をもたらします。「うるさいなあ」と思いつつも実に心地よき響きです。

それで、カウンターに取りに行きます。この間、だいたい3分ぐらい。カップラーメンの3分は結構長いです。しかしスガキヤの待ち時間はむしろそれ自体がエンターテインメント。スガキヤに来たというワクワク感と先客の漂うスープの香りを味わいたいからです。

昔は「スガキヤのスープは蛇でダシを取る」という都市伝説がありました。蛇でダシなんてむしろ高級スープではないか、という気もします。そんな話が出るほど独特の旨さなのです。好きな人はスガキヤと聞くだけで鼻にあの匂いが漂うはず。これは大げさではありません。で、コショウをかけるとまた風味がUP。いやコショウではありません。魔性の粉と呼ばれています、私の心の中で・・。

主な特徴は

●店舗は大型スーパーなどのフードコート、ロードサイド店舗などで展開(昔は街中の独立店舗もありましたが、今ほとんど見かけなくなりました)

安価なメニュー。私が子供の頃は180円でした。

●甘味モノも多くてクリームぜんざい、ソフトクリームといったデザートもあることです。

だから買い物帰りにラーメンと甘味という親子の姿はよく見られます。食事としてはやや物足りない量だけど、だからこそサイドメニューが生きるわけです。あるいは帰宅中の学生さんたちにとってもちょうどいいオヤツになります。

ちなみに15年ほど前に東京進出を果たし話題になりました。店舗は高田馬場駅徒歩5分ぐらいの場所、明治通りと早稲田通りが交差する辺りでしたね。ご存じの通り高田馬場は学生街であり、また飲食店も大変多い。当初物珍しさと関東在住の東海出身者らによって多少、賑わいましたが短期間で閉店という結末。

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東京進出の頃はまだ勢いがありましたが、ここ数年の下降は否めません。現在の価格は値上がりしてラーメンが330円。私が小中学生の頃は特製が300円前後でソフトクリームは70円ぐらい。かなり値上がりしたのです。

スガキヤ不振、なぜ?

最近では人気ローカルタレントの宮地佑紀生さんのCMが印象的ですが、氏の不祥事によってこのバージョンはなくなりました。

それにしてもなぜスガキヤは不振なんでしょうか。もちろん外出自粛の影響も見逃せませんが、ただしそれ以前からすでにスガキヤの業績は落ちていました。

ワカモノのなんちゃら離れではありませんが、東海人のスガキヤ離れ。やはり値上がりが大きいと思います。先述した通り、大人にとっては「食事には物足りない、軽食にちょうどいい」というボリューム。200円前後の価格だから良かったのです。ですが、あの量は330円だとお得感がない。セットメニューにした場合、600円以上。となると「牛丼」「うどんチェーン」の方がコスパが良いというものです。

この通り、飲食チェーン群雄割拠の時代。牛丼、ハンバーガー、ラーメンチェーン、はなまるうどん、丸亀製麺・・競合相手も多数。

私は岐阜出身ですが、上京するまで吉野家なんて見たことがありません。キン肉マンの世界のものでした。ところが今や吉野家どころか松屋、すき家、なか卵、そこいらにあります。マクドナルド、これも昔は特別な存在でしたが今では街中のパン屋の域。こういう時代にあって「スガキヤ」を積極的に選ぶというのはよほどのファンでしょう。

スガキヤさんそこじゃない!

飲食店の多様化という条件に加え、残念ながらここ数年、戦略ミスがあったのは否めません。プレミアム路線として「ラーメン寿がきや」というグレードアップした店舗を展開しました。

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それがこちら。コレジャナイ感満載。プレスハムをのせた冷やし中華に620円はきついです。いかに私のようなスガキヤファンでもこれなら「天下一品」か「王将」に行きます。スガキヤに期待するのはあのシンプルなスガキヤです。もちろんマズイわけではないけども、このメニューから香りは漂ってきません。スガキヤには頭にタオルを巻いて腕組みするラーメン職人はいません。パートのおばちゃんとバイトの若者が中華麺特有の香りと湯気に包まれて産み出すのがスガキヤなのです。

活路はデザートか?

ではV字回復の手はあるのでしょうか。それはとても難しい。そこで新しい味の開拓か!? 否! ラーメン自体は我々が知るスガキヤの味でいいのです。むしろ復活のカギは甘味メニュー。デザート類をもっと充実させてはどうでしょう。今や全国区になった東海の雄、コメダ珈琲ももとはデザート類が人気でした。

おいおいコメダのマネ? と言われそうですが違います。80年代からスガキヤは甘味処の機能も果たしてきました。なによりマスコットのスーちゃんがソフトクリームを持っているのがその証左。ラーメンのスガキヤのイメージが強いですが、甘味のスガキヤも忘れてはいけません。

そして甘味の発展と充実によって特に女性客、親子客を呼び戻す。ここにスガキヤ復活の光明があると思います。

(補足)アイキャッチ画像はスガキヤのマスコット、スーちゃん人形です。某店の開店祝いでもらいました。右手にラーメン、左手にソフトクリーム。つまりラーメンと甘味は左右のエース。どちらも欠かせません。

コメント 2020-09-03 072242


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